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■ひきだしバレエ(ダンス)覚書>キーロフ・バレエ(2003)


 
先日の東京出張中にキーロフ・バレエ、3演目5公演を見てきました〜。とても楽しかったです。五日も通うと、「ダンサーが替わると同じ演目でも雰囲気がちがうな〜」とか、「今日、マキューシオを踊ったのは、『シンデレラ』の王子役だった人かー(驚)」とか、「あー、この道化は、この前四季の精を踊った人だ」などという楽しみ方ができて大変おもしろかったです。

それに生演奏ってやっぱりいいですね。演奏は、無骨な感じで、ときに速すぎて「ダンサー、ついて行けるかぁ!?」と可笑しくなったり、「ひょっとして音はずしてる?」と思ったりもしましたが、あばたもえくぼと申しましょうか、私はとても気に入りました。それは多分、音がしっかり出ていて、かつ、音色がよく、耳障りなキンキン音が全くなかったからだと思います。
それでは、見た順番に感想をば・・・・。演目及びキャスト等は、下の表をご覧ください。


 
●シンデレラ(12月3日)
これはシンデレラ役のヴィシニョーワがよかったです〜。本当にチャーミングなシンデレラ。いきいきとしていて活発そうな中にもたおやかさがあって、周りの空気が柔らかく彼女を包んで彼女の動きについて行っている感じがしました。

全体的には、衣裳も振付も現代的(緞帳からしてニューヨークの摩天楼っぽくて、ビルの一つの窓に明かりが灯る演出はよいですね〜)で、お話に大して感動的なところはなくて「まあまあ楽しい」というくらいでしたが、ヴィシニョーワの踊りの他にもところどころ気に入ったところがありました。
その一つが四季の精。4人のダンサーすべてが男性で、秋と冬の人の踊りがきれい〜。それにゴレンジャーみたいな派手な衣装や髪型が奇抜で、動きも愉快なところがあって笑えました。

もう一つが二幕の舞踏会の男性ダンサーの燕尾服。いや〜、かっこいいです、きれいです。燕尾服があんまりよすぎて、タキシードの王子がかなり見劣りいたしました。王子も燕尾服にすればよかったのにぃ。

更にもう一つ、三幕で王子がガラスの靴を持ってシンデレラを探すところ。王子は、女性ダンサーの集団に誘惑されかかって幾分引きぎみながらも、「もしかして、あなたたちの中にこの靴が合う人は・・・?」とガラスの靴を差し出した途端、「なにこれ。興味ないわ。はい。」と靴を返されるのが可笑しかったです。

で、それよりもっと笑えたのが男性ダンサーの集団(これがクネクネ踊りでかなり妖しい感じ)に誘惑されかかって、やはり引きぎみながらも、「もしかして、あなたたちの中にこの靴が合う人は・・・?」とガラスの靴を差し出した途端・・・(以下女性ダンサー集団のときと同じ)。
これって、王子は、シンデレラが男だった可能性がないとはいえないと思ったんですよね?女をさんざん探して見つからなかったから、「もしかして男?(ちがうとは思うけど・・・)」という気持ちがふと起こったのだろうと私は解釈しています。

●シンデレラ(12月4日)
四季の精を見たくて、残り席を買ってしまいました〜。
私は四季の精にいっぱい拍手をしたのですが、脇役で拍手が多かったのは、継母と二人の姉のトリオでした。私はこの三人の踊りは、荒っぽくて今一つ好きになれなかったです。振付自体が役柄に合わせて荒っぽいのでしょうが、別の人が踊るとまた違う味が出て好きになれるかもしれません。

で、四季の精は、やっぱりいいな〜。「春の精は、こんなに小さかったっけ?」と思い配役表で確認したら、3日とは別の人が踊っていました。凄いジャンプ力。
一幕で継母と姉たちにダンスを教えるダンス教師役(男)の人も代わっていて、「昨日の人よりスレンダーで上手くてカッコイイわ〜。三幕の男性ダンサー集団のリーダーに踊りが似てるぞ。」と思ったら、そのとおり。男性ダンサー集団のリーダーも演じていて、3日に引き続きクネクネしていました。

この日のシンデレラ(ソログープ)は、テンパっている感じ。子供ぽっく、わがままにも見えました。あんまり好みの踊りではなかったです。
ただし、王子がしっとりと落ちつきがあって、子供っぽいシンデレラとはいい組み合わせかも。3日の王子よりは好みの踊りだったし。
あと、妖精もこの日の方がよかったです。弱々しいおばあさんといった風情で登場するのですが、いざ、魔法をかける段になるとガラッと変わって踊りだし、舞台のセットが大きく変わるのとも雰囲気がピッタリでワクワクしました。
それにしても、一幕は振付が重厚な音楽に合ってないような気がしてなりませんでした。


 
●ロミオとジュリエット(12月6日)
これは観客として非常に損な見方をしてしまいました。
パリ・オペラ座の「ロミオとジュリエット」のDVDは、ヌレエフの振付・演出を生かし切ったダンサーの踊りや演技はもちろん、舞台美術や衣裳もすばらしく、わたくし、深く印象に残っているのです。だから、どうしてもパリ・オペラ座のDVDが頭に浮かんで、いやでも比較せずにいられなかったのです。

もちろん、キーロフのよいところもありました。
マキューシオとティボルトが死んだ二幕の幕切れでは、音楽の素晴らしさもあって悲劇が胸に迫ってきました。
また、三幕のロミオとジュリエットの初夜から別れのときまでは、キーロフの方がいいと思います。
夜が明けて愛し合った喜びの余韻を感じられる一方、ジュリエットがドアの向こうに人が来やしまいかとうかがう様子やロミオが隠れる様子が描かれているのがよかったし、別れ難さがひしひしと伝わってきました。

ジュリエット役のオブラスツォーワは、踊りがすばらしいし、少女の可憐さがよく出ていました。キラキラ輝いているのが、またいいですね〜。後に彼女がプリンシパルでもソリストでもないコール・ド・バレエの人と知ってビックリ。コール・ドの人を主役に据えることがあるんですね。あれだけ踊れるのだから抜擢は大正解だと思います。

それから、マキューシオがチャーミングな踊りで大変よかったです。ティボルトに刺されたのを皆に心配かけまいと(?)「大丈夫、何でもないよ」というふうに踊ってみせるけど、潮のごとく痛みが押し寄せる断末魔。この一番の見せ場だけでなく、どの場もグー。「誰だ?」と思ったら、3日に「シンデレラ」で王子を踊ったメルクーリエフでした。「シンデレラ」ではパッとしなかったけど(ごめん)、マキューシオは素晴らしかったです。


 
●白鳥の湖(12月8日)
すばらしかったです〜。この日の公演が一番よかったです。残り席を買ってよかった〜!
オデット/オディールを踊ったロパートキナというダンサー、もう、本当にすばらしい!登場と同時に舞台の空気が変わりましたね〜。一幕二場では、うっとり。別世界です。麻薬です。宇宙遊泳です。浸りつづけていたかったです〜。

二幕の王子をたぶらかすオディールは、もう少し灰汁があっても(もっと悪役っぽくしても)いいんじゃないかなと思いましたが、考えてみると王子がオデットと間違うわけだから、あんまり別人に演じると「全然ちがうのに、見分けがつかない王子ってアホ」と思われかねないわけでして、これくらいでもいいのかも。これなら王子が、「この前と違って気ぐらいが高そうだけど、漂う気品は、やはりあの方」と思って間違ってもおかしくありません。

それにしても、後日知ったことですが、ロパートキナは、怪我と産休から復帰したばかりで、まだ本調子じゃないというのが大方の意見だったようです。
驚きましたね。あれで本調子でない!あれ以上に踊れる!もしかしたら本調子のときは、オディールをもっと悪役っぽく踊れるのかもしれませんね。

それから、コール・ド・バレエ。こちらも、すばらしかったです〜。王子の誕生祝の一幕一場なんか音楽のおかげもあるけれど、踊りがそろって華やかできれいでワクワクしました。
もちろん、2場の白鳥の群れもよかったです。

<<追記>>
演出で気に入っていたところを書き抜かっていたので追記します。
一幕一場は、これまで見たDVDではお城の中で宴を開いていましたが、この公演は屋外でした。牧歌的でよいな〜。それに、日が暮れて、ちょうちん(みたいな)の明かりを手に手に持って客人が暇乞いするのがなんとも風情があってとても気に入りました。
宴の後、夕闇に残った王子が寂しげでもあり、独身最後の夜ということで感傷的になったのか、共も連れず一人で狩りに出る気持ちがわかるような気がしました。

●白鳥の湖(12月9日)
実は、私はこの日にジークフリートを踊るルジマトフを一番見たかったのですが、彼はアメリカ公演で怪我をして日本公演には参加しないことが早くからわかっていました。
代役のゼレンスキーは、予定では「ロミオとジュリエット」を踊るはずでしたが、背中を痛めているためリフトの多いロミオ役を降りて「白鳥の湖」を踊ることになったのでした。人気ダンサーなので楽しみにしていましたが、当日になってやはり背中の調子がよくないということで降板しました。
このことについては、開演前にワジーエフ舞踊監督から説明があり、ゼレンスキーも下手の袖にちょこっと姿を見せてくれました。(私は上手側の座席にいたので見れてラッキー。あまりいい席じゃなくて上手の一部は死角になってたのよ。)

で、代役の代役となったジークフリート王子ですが、登場すると8日の人とそっくり。8日の王子は、それはそれは美しい踊りでしたので(そのうえ、スタイル抜群の美男子)、その人にそっくりなら「これはいける!」「さすが、キーロフ。人材豊富。」と思って休憩時間に確認したら、8日のコルスンツェフ、その人でした(爆)。

いや、ほんとコルスンツェフ、よかったです〜。この日は8日よりもよい演技で、オデット/オディールへの愛があったのがよかったです。オディールに跪くところなんか、たまらなく好きって感じが出ていてよかったわ〜。
ジークフリートは、踊りよりもマイムが多いくらいなのですが、立っているだけで美しいんですよね〜。あわてず騒がずおっとりと、清らかな王子様です。
私はこの人の手首の使い方が好きです。この手首使いで踊りもマイムも大変美しく見えます。ジャンプ力もあるし、サポートもうまい。これでピリリとするもの(キュッでもよい)があれば、言うことなしです。

オデット/オディールのパヴレンコは、残念ながらあまり好きではありませんでした。すぐ次の動作に移ってしまうせいか、踊りがあまり美しくなくて、短気なオデットという感じでした。
それならオディールのようなハッキリした踊りが得意かもしれないと二幕に期待しましたが、更に短気な感じでした。
緊張していたのかなあ?一幕、二幕と回転の軸がずーっと斜めで、コルスンツェフのサポートのうまさを引き立てる格好になってしまいました。

見る前から配役表を見て楽しみにしていたのが、スペインの踊りのバイムラードフ。私は、この人の「シンデレラ」でのクネクネ踊りが気に入って、「ロミオとジュリエット」のベンヴォーリオも楽しみにしていたのですが、ベンヴォーリオはあまり踊らなかったのね。
で、スペインの踊りですが、う〜ん、すみません、バイムラードフは、現代的な振付の踊りの方が合っている気がします。クラシックな感じの踊りは、こじんまりまとまってしまって伸びやかさに欠けていると思います。
ところが、いっしょに踊ったもう一組の男性ダンサーは、伸び伸びとした踊りで目が吸い寄せられてしまいました。なんとそのダンサーは、「シンデレラ」では王子を、「ロミオとジュリエット」ではマキューシオを踊ったメルクーリエフでした!「シンデレラ」の王子はパッとしなかったのになあと、またしても思ってしまいましたよ(笑)。
2003/12




 
■「シンデレラ」全3幕

音楽:セルゲイ・プロコフィエフ|原作:シャルル・ペロー|台本:ニコライ・ヴォルコフ|振付:アレクセイ・ラトマンスキー|美術:イリヤ・ウートキン、エフゲニー・モナーホフ|衣裳:エレーナ・マルコフスカヤ|照明:グレプ・フィルシチンスキー|指揮:ミハイル・アグレスト|演奏:キーロフ歌劇場管弦楽団
東京文化会館(上野)
登場人物 12月3日(水)夜 12月4日(木)夜
シンデレラ ディアナ・ヴィシニョーワ ナターリア・ソログープ
王子 アンドレイ・メルクーリエフ イーゴリ・コールプ
継母 アレクサンドラ・イオシフィディ
フディシカ(義姉) ヤナ・セレブリャコーワ
クブィシカ(義姉) エレーナ・シェシナ
妖精 ナターリア・スヴェシニコーワ ガリーナ・ラフマーノワ
シンデレラの父 イーゴリ・ペトロフ
四季の精(春) アントン・ルーコフキン アンドレイ・イワノフ
四季の精(夏) ドミトリー・ピハーチェフ
四季の精(秋) マクシム・ズージン
四季の精(冬) イワン・ポポフ
ダンス教師 リュウ・ジ・ヨン
アレクセイ・セメノーフ
リュウ・ジ・ヨン
イスロム・バイムラードフ
美容師 イーゴリ・ニキーチン
アレクセイ・ネドヴィガ
アレクセイ・ミロシニチェンコ
男女の踊り手 ナデージダ・ゴンチャル
イスロム・バイムラードフ


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■「ロミオとジュリエット」全3幕

音楽:セルゲイ・プロコフィエフ|原作:ウィリアム・シェイクスピア|台本:レオニード・ラヴロフスキー、セルゲイ・プロコフィエフ、セルゲイ・ラドロフ、アンドリアン・ピョートロフスキー|振付:レオニード・ラヴロフスキー|演出:セルゲイ・ラドロフ|美術、衣裳:ピョートル・ウィリアムス|指揮:アレクサンドル・ティトフ|演奏:キーロフ歌劇場管弦楽団
東京文化会館(上野)
登場人物 12月6日(土)夜
ジュリエット エフゲーニャ・オブラスツォーワ
ロミオ ヴィクトル・バラーノフ
マキューシオ アンドレイ・メルクーリエフ
ティボルト ドミトリー・ピハーチェフ
パリス ウラディミール・シショフ
ベンヴォーリオ イスロム・バイムラードフ
キャピュレット卿 ウラディーミル・ポノマリョフ
キャピュレット卿夫人 アレクサンドラ・グロンスカヤ
モンターギュ卿 ピョートル・スタシューナス
ジュリエットの乳母 ナターリア・スヴェシニコーワ
ロレンス神父 ピョートル・スタシューナス
ヴェローナの大公 ニューリー・キリク
ジュリエットの友人 エカテリーナ・オスモルキナ
吟遊詩人 ワシーリー・シチェルバコーフ
道化 アンドレイ・イワノーフ


  [うえ↑]


 
■「白鳥の湖」3幕4場

音楽:ピョートル・チャイコフスキー|台本:ウラジーミル・ベギチェフ、ワシーリー・ゲリツェル|原振付:マリウス・プティパ、レフ・イワーノフ|改訂振付:コンスタンチン・セルゲーエフ|装置:イーゴリ・イワーノフ|衣裳:ガリーナ・ソロヴィヨーワ|指揮:アレクサンドル・ティトフ|演奏:キーロフ歌劇場管弦楽団
東京文化会館(上野)
登場人物 12月8日(月)夜 12月9日(火)夜
オデット/オディール ウリヤーナ・ロパートキナ ダリア・パヴレンコ
ジークフリート王子 ダニーラ・コルスンツェフ
王妃 アレクサンドラ・グロンスカヤ
家庭教師 ピョートル・スタシューナス
道化 アンドレイ・イワーノフ
悪魔ロットバルト ウラディーミル・シショフ
王子の友人たち イリーナ・ゴールプ
ナデージダ・ゴンチャル
ワシーリー・シチェルバコーフ
イリーナ・ゴールプ
ユーリヤ・カセンコーワ
ワシーリー・シチェルバコーフ
小さな白鳥 イリーナ・ゴールプ
エレーナ・シェシナ
スヴェトラーナ・イワノーワ
エフゲーニャ・オブラスツォーワ
大きな白鳥 アレクサンドラ・イオシフィディ
エカテリーナ・コンダウーロワ
タチヤーナ・トカチェンコ
ナデージダ・ゴンチャル
二羽の白鳥 ナデージダ・ゴンチャル
イリーナ・ゴールプ
スペインの踊り ガリーナ・ラフマーノワ
リュウ・ジ・ヨン
イスロム・バイムラードフ
アンドレイ・メルクーリエフ
ナポリの踊り エフゲーニャ・オブラスツォーワ
マクシム・フレプトフ
ハンガリーの踊り ポリーナ・ラッサーディナ
アンドレイ・ヤコヴレフ
マズルカ アレクサンドラ・イオシフィディ
エカテリーナ・コンドーロワ
ナターリア・ツィプラコーワ
リラ・フスラーモワ
フョードル・ロプホフ
イーゴリ・ニキーチン
アレクセイ・ミロシニチェンコ
ソスラン・クラーエフ


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