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■ひきだしバレエ(ダンス)覚書>マシュー・ボーンの「白鳥の湖」(2005)


以前見たDVDが大変面白かったマシュー・ボーンの「白鳥の湖」を観る機会がありました。配役は下の表をご覧ください。

わたくし的には、イマイチの公演で大変残念でした。当日の観客は、大喝采。帰り道で聞き耳を立てておりましたら、興奮冷めやらない人たちが、口々に「素晴らしかった」と言っておりまして、そんなに素晴らしいものにノレなかったとは、ますます残念でありました。

ノレなかった理由の一つは、主役の二人が好みの踊りではなかったことが大きいと思います。(王子の方は、踊りは結構よかったけど体形が・・・・・でした。)ザ・スワンのいささか攻撃的(よく言えば野性的)な踊りは、私のイメージするザ・スワンとはまったく相容れませんでした。自殺まで考えた王子が救われる相手としては、いかがなものかと思います。もっと優しく慰められるような愛情を感じられる踊りが、役柄にふさわしいのではないでしょうか。
それに、ザ・スワンとザ・ストレンジャーは一人二役なわけで、二つの役柄の性格が異なっていた方が、物語としてはより面白いと思いますし、踊りと演技の大きな見所となると思います。ところが、私が観た日のザ・スワン/ザ・ストレンジャーは、どちらも攻撃的で性格に大きな違いがありませんでした。

また、「白鳥の湖」で本来なら最も“うっとり〜”となるアダージョの場面での、あの演奏の速さには驚き呆れました。観劇の後、マシュー・ボーンの「白鳥の湖」は、速い演奏が特徴となっていると聞いたので、DVDでこのシーンを確認しました。すると、2003年12月に観たキーロフ公演の速度と比べると確かに速いと思いますが、それでも“うっとり”できるし、当日観た踊りのせわしなさは微塵もありません。
もうすこし、曲想を大切にしてほしいと思いながら観ておりました。

ボーンの「白鳥」は、王子がめちゃめちゃ可哀想なのがいいところなのですが、この日のザ・ストレンジャーは、表面(踊りの)上で攻撃的であっても、心の深いところで王子を傷つけているという感じがあまりしませんでした。あんまり可哀想じゃなくて残念。
もっとも、可哀想じゃないのは、ザ・ストレンジャーのせいばかりではなくて、母女王の演技力が今一つのせいでもあります。
演技ではリアクションが大切とは、名優なら誰でも言うことですが、この母女王は、相手がアクションを起こす前にリアクションをしていました。「王子がすがる、女王が拒む」という場面で、わずかに拒むのが早い。あらかじめ王子がすがるのがわかっているから、こんなことになるのですが、今初めてすがられたという風に演じてこそプロ。興ざめです。

もちろん、よかったところもありました。
劇中劇のバレエ(のパロディ)、楽しかったです〜!
月が大きくて美しくてよかったです〜!
精神錯乱に陥った王子の部屋の白い壁に映る大きな影。不気味でよかったです〜。



 

2005/7/10




 
■マシュー・ボーンの「白鳥の湖」

2005年4月20日(水)19:00〜21:30 Bunkamuraオーチャードホール(渋谷)
音楽:チャイコフスキー|振付、演出:マシュー・ボーン|指揮者:ブレッド・モリス|演奏:東京フィルハーモニー交響楽団|コンサートマスター:荒井英治
ザ・スワン/ザ・ストレンジャー ジェイソン・パイパー
王子 クリストファー・マーニー
女王 ニコラ・トラナ
執事 ピーター・ファーネス
ガールフレンド ソフィア・ハードリー
幼年の王子 ガブ・パーサンド
スワンの皆さん
アンサンブルの皆さん


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