ソウル・キッチン

友だちは韓国映画だと思い、私はニューヨークが舞台と思い込んでいた。ドイツがこんなに人種のるつぼだったとは。
なんだかぼやけた映画だと思って観ていたけれど、催淫スパイスの効いたパーティあたりから可笑しくなって、観終わってからは大らかな映画を観たと不思議と満足感があった。おそらく、兄イリアス(モーリッツ・ブライブトロイ)、雇用人ルチア(アンナ・ベデルケ)、船を造っているおじいさんやバンドマンなどを分け隔てなく受け入れる主人公ジノス・カザンザキス(アダム・ボウスドウコス)の大らかな人柄がよかったのだと思う。また、彼らの集うレストラン、ソウル・キッチンが居心地がよさそうだったのもよかった。更に、包丁一本、さらしに巻かずに懐に入れてさすらう料理人シェイン・ヴァイス(ビロル・ユーネル)が、ウィスキー(?)をラッパ飲みしながら調理した皿も、教えてもらったジノスの皿も、どのお皿も美味しそうだったのもよかった。(気合いを入れて撮っていたと思う。)ジノスはギリシャ系の移民で、アメリカ発祥のソウルフルな音楽が好きで、ぎっくり腰をトルコ系移民の先生に治してもらう。彼の恋人ナディーン・クルーガー(フェリーネ・ロッガン)は中国人と浮気するし、これだけでも国際色豊かだ。うとうとしなかったら、もっと色んな国際色に気がついたかもしれない。ジノスにとって最も愛着のあるものはソウル・キッチンだが、私にとって愛着のあるものってなんだろう。そんなことを思いながら映画館を後にした。
投資家(ウド・キア)
SOUL KITCHEN 監督:ファティ・アキン
(2011/11/03 あたご劇場)

「ソウル・キッチン」への2件のフィードバック

  1. 私、久々にパンかじりながら観てました[E:coldsweats01] (序盤からもう、登場人物も我々観客も、したいようにしていて構わない~みたいな雰囲気が一杯。)
    国際色豊かで、登場する人たちみんな、悪気はあったり無かったり~[E:happy02]。でも、何があっても人間関係が「切れてしまう」ことはなくて・・・。ダメ兄貴もそれなりに憎めないとこがあって、客とケンカするシェフ、大酒飲みのウェイトレスなんて、もうものすごく魅力的[E:heart04]。
    悪運につきまとわれっ放しのちょっと濃すぎる?主人公も、何が来ようとツブされずに自力で道を切り開いていくし・・・いいことも悪いことも、結局何かの役に立っていくというのに、最後は感動してしまいました。
    暑苦しくてちょっぴりアナーキー?なのに、どこかユルくて肩も凝らない・・・楽しい映画でしたね~[E:happy01]

  2. まったりと楽しめる映画でしたね。
    アナーキーといえば、なるほど無法地帯風な(笑)。ドイツだけじゃなくてイタリア、フランスの資本も入っているからでしょうか。
    ソウル・キッチンでパン食、いいですね~[E:bread]。ムーマさんに[E:wine]ワインとチーズも付けてあげたかったわん。>あたご劇場ならでは[E:wink]

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