ドラゴン・タトゥーの女

オリジナルと比較をするのは良いこととは思えないし、したくもないけれど、どうしてもしてしまう。
役者が異なればキャラクターにも違いがあるのはあたりまえで、リスベット(ルーニー・マーラ)がフェミニンな下着を着けているのも、トラウマになるような過去がありながらも、どこか純粋性を帯びていて可塑性や線の細さを感じさせられるのは悪くはないと思う。また、ミカエル(ダニエル・クレイグ)がめっぽう色っぽく、ただただセクシーで、半ケツサービスまでしてくれて、寒がったり怖がったり痛い目にあったり、これまた悪かろうはずがない(?)。
問題は、この主役二人の化学反応が私にはまったく感じられなかったことだ。『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』のリスベット(ノオミ・ラパス)とミカエル(ミカエル・ニクヴィスト)の間には、二人の微妙な感情と距離感が感じられた。手負いの獣のような謎の女リスベットへの戸惑いと労り。けっして踏み込んでこない気遣いも優しい大人の男ミカエルから与えられる安心感と怖れ。そういうのに比べると、今作の二人は味気ないと思ってしまった。

演出もいけない。ミレニアム編集長とミカエルの関係は、オリジナルではほのめかしがあるだけだったが、今作では直接描写ありのわかりやすさ。それなのに、ヴァンゲル一族の相関関係やレベッカ事件のあらましは、わかりにくくなっているし、ナチスの印象なども薄くなっている。これは私の頭の調子がよろしくなかったのかもしれないけれど、動体視力を要する映像や字幕(セリフ)で説明されると、頭の調子のよいときでも付いていけないかもしれない。
それと、ベッドシーンで久々に見たモザイク!これはフィンチャー監督が、「ご想像にお任せします」式にワザと掛けたんではないかと思った。モザイクの範囲が広いし~。もし、ワザとなら失敗だったと思う。わざとでなくても興ざめなのに、作り手の作為を感じさせるようでは尚更だ。

タイトルバックは物語とちぐはぐなような気がしたけれど、その気持ち悪さはなかなかよかった。また、マルティン(ステラン・スカルスガルド)の家のガラス張りの部屋が昼と夜のシーンあり、不安で寒気がする夜の感じがよかった。それと『ゾディアック』の霧の中の橋もよかったが、今回も橋が印象に残った。

THE GIRL WITH THE DRAGON TATTOO
監督:デヴィッド・フィンチャー
(2012/02/20 TOHOシネマズ高知9)

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