モールス

雪の積もった山間の一本道を救急車の赤色灯がゆっくり近づいてくる。この上から目線は『シャイニング』のオープニングみたいー。
音が、音がーーーー!むっちゃ怖い。音楽もよかった。
怖げな音とともに現れる原題は「牡丹灯籠」や~。邦題は怖くはないが、ラストシーンが強調されることになり、なかなかよいと思う。
それにしてもオーウェン(コディ・スミット=マクフィー)とアビー(クロエ・グレース・モレッツ)の純粋な恋物語として観れたらどんなによいか。あー、それなのに、アビーよ、これまで何人落としてきたの?とか、子どもならともかく、父親ほどに見える男性(リチャード・ジェンキンス)をどんな手練手管で惹きつけているの?とか、オーウェンは「次」だったんだよね、キープしてたのよね?とか。あーーー!もう!汚れちまった大人はやだねー(涙)。おまけに、「かみさんに血ぃ吸われて、もう、ボロボロですわ。」って、そういうメタファー???って、茶化すのやめなさーい!とものすごく楽しんだけど、汚れた自分をたっぷり感じた。

宗教に凝り固まって我が子を善悪の二元論でしかとらえない母親から旅立つ少年の物語として観ても面白いけど、そうすると母から旅立ち鬼嫁といっしょに・・・・!?いやいや、純粋で美しいお話なんだってば!
う~ん、感想にも葛藤がある。

警官(イライアス・コティーズ)

LET ME IN
監督:マット・リーヴス
(2012/05/02 あたご劇場)

「モールス」への4件のフィードバック

  1. アビーがはっきり2重人格(長い間ああやって生きてきた人間である「少女」とああいう種類?の「バンパイア」)の方が、ワタシは理解しやすかっただろうな~なんて思いました。
    でもそれじゃあ面白くないんだろうな・・・。

    でもね、「切なさ」は「狡さ」がちょっとでも見えると消えちゃうモノなんじゃないかな~と。
    私は、純愛とかいうより「生きのびることの哀しさ辛さ」の方を感じました。
    (あれが幸せな結末ともやっぱり思えないし。だって「やっぱりやめた~」とか「ここで一旦終りにしよう」はナイ世界でしょう?)

    それと、何が怖いって人間の暴力の方がよっぽど怖いと思った。あの虐めだの仕返しだの。
    人間はああいうものだ・・・って子どもの頃に刷り込まれるの見てる方が、バンパイアが生きてくための殺戮シーンよりコタエました(本当)。

    というわけで、お茶屋さんのラスト1行にすごーく共感。
    「う~ん、感想にも葛藤がある。」

  2. ムーマさん、そのとおりですわ~!
    作品全体の冷たくもの悲しい空気。生き延びることのつらさでシンクロしていたアビーとオーウェン。ムーマさんの書き込みを読んで、その世界にしばし浸っておりました。
    ああああ、私もムーマさんのように感じたかったです~(とほほ)。観ている間は怖かったり、哀しかったり、しんみりしたりだったのに、見終わってなぜか可笑しくなっちゃって(あああ)。

    >あの虐めだの仕返しだの。

    兄ちゃんに虐められていたから、オーウェンを虐める。イジメの構造がバッチリ描かれていましたね。
    オリジナルは、スウェーデン映画だそうで。ぜひ、観てみたいですね。

  3. 『ぼくのエリ 200歳の少女』っていうんですね。北欧の映画、今まで観たのは結構どれも好きでした。これも観られたらいいなあ。

    それにしてもお茶屋さんの感想って面白い~~。私だったら、読んだら絶対観に行きたくなります(笑)。

  4. そうそう!>『ぼくのエリ200歳の少女』
    観たいですね~。

    >それにしてもお茶屋さんの感想って面白い~~。

    ありがとうございます。
    ムーマさんの感想は思索的ですね。かといって難しくなく、くつろげるというか不思議と落ち着けるので好きです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です