ペーパーバード 幸せは翼にのって

妻子を空襲で亡くしたホルヘ(イマノール・アリアス)の嘆きの場面、あるいは暴行を受けて帰ってきたエンリケ(ルイス・オマール)にホルヘがありったけの優しさを見せる(エンリケの髭を当たる)場面、はたまた極めつきは撃たれたホルヘを呼ぶミゲル(ロジェール・プリンセプ)たちにペーパーバードが舞う場面など、今や古くなったと思しき音楽と一体となった劇的な演出が全くイヤミにならず、スペインの内戦の頃を振り返る昔の色合いにピタリと嵌り、しかも旅芸人の歌と踊りとで楽しませてくれて、笑えるところもあり、とてもよかった。(子どもには盗むなと厳格にしつけるが、背に腹は代えられないという状況下、二人の大人が懐や帽子からジャガイモを取り出すところが哀しくも可笑しい。また、芸人を辞めて、やもめ村長に嫁ぐと決めた女性のエピソードも可笑しくて、やがて哀しい。)

ホルヘが総統批判の歌を歌ったとき、水を打ったように静まりかえる客席だったが、それからウン十年。老いたミゲルが同じ歌を歌うと客席が沸く。独裁政権下とは隔世の感である。スペインのことなどあまり知らない私でも隔世の感を味わえるということは、スペインの若者もそうなんだろう。映画は、こうやって、自由にものが言える喜びを伝えて行けるのだなぁ。

PAJAROS DE PAPEL
PAPER BIRDS
監督:エミリオ・アラゴン
(シネマ・サンライズ 2012/05/24 高知県立美術館ホール)

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