ローン・サバイバー

アメリカ海軍特殊部隊万歳、戦友万歳の転落イタタ敗走アクションであり、困っている人を助けるのに敵味方の区別なく命まで懸けるという善意を驚異として描き称えた映画だった。ただ、私としては、それよりも戦争の様変わりと一つの疑問の方が大きかった。

戦場が印象に残っている映画と言えば、『バリー・リンドン』や『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦』などの対面タイプ、あるいは『最前線物語』『プライベート・ライアン』などの前進陣取りタイプ、ヴェトナム戦争ものや、その応用編みたいな市街地のゲリラ戦『ブラックホーク・ダウン』などがある。湾岸戦争やイラク戦争を舞台とした『ジャー・ヘッド』『グリーン・ゾーン』『ハート・ロッカー』は、基地がテントやなんかではなく割合きちんとした建物でテレビなどもあり、家族とスカイプで通信したり、お酒まで飲んでいたりするので、出張先のホテルから戦場まで出かけていって一仕事してまたホテルに帰るというふうに見える。『ローン・サバイバー』も個室が与えられていて、イラク戦争もののようにお出掛け一仕事タイプだと思った。これが戦争も様変わりしたと思った要因だけれど、考えてみれば陣取りもゲリラ戦も暗殺も今もあるだろうから、戦争の様変わりというよりも戦争のあり様にお出掛けタイプが加わったということかもしれない。

それにしてもお終いにデヴィッド・ボウイの「ヒーローズ」が歌われたのには驚いた。「ヒーローズ」は、ベルリンの壁がまだあった頃、壁を隔てた恋人たちの会いたくても会えない絶望的状況に思いを馳せたボウイが、「たった1日だけど会えるよ。そのとき、僕は王で君は女王。1日だけのヒーローだ。(ものすごい意訳;;;)」と叶わぬ夢として作った歌なのだ。そう思っている私としては、ネイビーシールズを(その犠牲も含め)英雄として描いた映画に、なぜ提供したのか大いに疑問なのである。

(シネマ・スクウェア 2014年4月号)

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