ウィズネイルと僕

みーすけさんの裏!!『英国男優総選挙』 なりよーを拝読し、UK男優、いいよね~♥。というわけでUK男優見たさにレンタル。それが!
ベンチいや~、このベンチ、懐かしい~。唯一行ったことのある外国イングランドで目にしたこのベンチ。私が行ったのは1993年頃だったかなぁ、公園にこんな風に並んでいたのだった。この映画は1969年が舞台で1988年制作。もしかして、ずーっと同じベンチだったりして(笑)。映画の中では煉瓦壁の建物が鉄球で壊されていくカットが挿入されていたりするので、ちょうどその頃、いろんなものが新しいものに換わって行ったかもしれない。60年代からずーっとそこにあったベンチなのかも(UK浪漫~)。

季節は冬。ベンチのシーンは朝8時ごろ。パブが開くまであと4時間。ウィズネイル(リチャード・E・グラント)はウールのコート、“僕”(ポール・マッギャン)は革のコート。雨に濡れても泥がついても日本人のようには気にしない。
ウィズネイルロングコートはカッコいい。だけど、この二人はちょー情けなくカッコ悪い(笑)。UK男優にピッタリぢゃありませんか(^m^)。
ちょっと脅されただけでビビリまくり。あるいは脅されたわけでもないのにビビリまくり(^Q^)。特にウィズネイルってば、尊大なくせに小心で。ウィズネイルをシリアスにしたら「山月記」の李徴になりそうだ。見た目は、マイケル・キートンだと思うんだけど(?)。「俺は見た目もイイし、演技力もある。バカみたいなヤツらがテレビに出演して、やってられないよ。」
吹き替えもなかなかよかったけれど、リチャート・E・グラント本人の声の方がウィズネイルの可愛さが倍増だ。“僕”の方もけっこう可愛い。というかバスタブで髭を剃るシーンの横顔なんかノーブルだ~。売れない俳優が、うだうだしているだけの作品だからキャラクターの魅力は必須なのだ。あとモンティおじさん(リチャード・グリフィス)が善い人で、可笑しくて哀しくてとてもよかった。

さらば60年代真ん中はクスリの売人ダニー(ラルフ・ブラウン)。この人、ものすごく自由だ~!あと数週間で1970年、ダニーは言う。「歴史上、もっとも素晴らしかった10年が終わる。結局、俺たちは黒く塗れなかった。」
「Paint it black」と言えば、ローリング・ストーンズなんだろうけど、私はそれを大森一樹監督の『ヒポクラテスたち』で知った。30年以上前、高知医大の学園祭で上映されたのをわざわざ見に行って、ストーリーもほとんど忘れてしまったが、傷心の主人公が白衣を黒く塗りつぶす、そんな痛々しさが心に残っている。
・・・という話は置いといて。
就職が決まって髪を切ってきた“僕”を見た瞬間に「いちご白書をもう一度」って感じなんだけど、二人の別れのシーンからおしまいまでが胸が締めつけられるほど切ない。それまでケラケラ笑かされてたのにぃ。
雨の中、傘とワインのボトルを持ったウィズネイルが、超絶美しい!ウィズネイルの取り残され感。そして、“僕”と別れたあと、金網の向こうの狼を観客にハムレットを演じる。
ああ、やっぱり英国で役者を目指す者にとっては、この厭世王子なんだね~。モンティおじさんさえも役者を目指したことがあったというから、演劇人口の多さは推して知るべし(?)。

60年代の終焉というか、惜別というか、それは過ぎてから描けることなんだろうなぁ。

映画: ウィズネイルと僕 ブルース・ロビンソン監督作品 Withnail and I ←このページでこの映画のことを知ったと思う。
『ウィズネイルと僕』Withnail and I(1986)  ←チーキーさんの英国党宣言のページ。ワンポイント解説がありがたい。

60年代のイギリス映画、見てみたいな~。
『アルフィー』『ナック』『長距離ランナーの孤独』『ミニミニ大作戦』

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