能メモ

自然居士
 買われた娘を法師が歌舞音曲で救う。観音の救済劇。

卒塔婆小町
 卒塔婆問答。卒塔婆に腰掛けることが善か悪か。深草少将が老いた小野小町に憑依する。

高砂
 長寿をことほぐ。高砂の松は万葉集で、住吉の松は古今集。

清経
 平家の武将、清経が髪を残して入水する。

井筒
 待つ女。

恋重荷
 女御の戯れ。老いた男の哀れと滑稽。庶民側に立つ世阿弥。

蝉丸
 捨てられた皇子。姉逆髪との再会と別れ。世阿弥の立ち位置。

善知鳥(うとう)
 前場は立山、後場は陸奥。猟師の亡霊が旅の僧に古里に形見を持ち帰るように頼む。片袖を証拠に。殺生の快楽と哀しみ。

山姥
 百ま山姥の「山姥の曲舞」にもの申す山姥。山の精であり、人間であり、(人よりは仏に近いが、まだ煩悩が抜け切らない)、そして、山を巡り続ける。

弱法師
 讒言により勘当された俊徳丸が父と再会する。

杜若
 旅の僧が杜若の名所、三河の国八橋を訪ねる。そこに女性が現れ庵に招く。女性は、物着をして舞う。在原業平であり、彼が関係した全ての女性であり、杜若の精を表している。

定家
 式子内親王の墓に絡みつく定家の化身の葛。

邯鄲
 夢の夢の夢の夢。

安宅
 ご存知、勧進帳。

道成寺
 ご存知、安珍と清姫。

シアターホリックの夕ごはん会「零れ落ちる女たち」

アルコールがあったらちょっとした「お客(宴会)」になりそうな雰囲気というか、アットホームな感じがまさに「夕ごはん会」だったので、とても気楽にすごせた。ごはんが終わってデザートまで出てコーヒーで一服して・・・という頃合いに前方から呼びかけられて、自己紹介を始めた人がいると思ったら、それが朗読劇の始まりだった。導入部、うまい。

働く気もなく自宅もなく女性の間をフラフラしているシンイチと、4人の女性の物語。ユキ先輩や姉のようなサチコが「やめときな」と言うのに、モエコちゃんはシンイチに夢中で、私も「もう~、やめちょき(呆)」と最初は思ったのであったが、モエコちゃんはそんなシンイチでも充分幸せそうで、「う~む、本人がいいなら傍でとやかく言うことないか」と思い至り、私の周りでモエコちゃんみたいな人が現れても「何も言うまい」と決意した。そういえば、瀬戸内寂聴さんも「放っておけ」と言ってたことだし。いや~、なんかタメになる劇だなぁ。

ところどころ笑えるところがあって(「カレー麻婆めん」、それはないろう(笑))、カジュアルな登場人物のカジュアルな恋愛模様をカジュアルに描いていると思った。役者さんがみんな上手なので、本人が心情をいちいちナレーションするのをもっと減しても思っていることは伝わる気がした。落語が好きなのでト書きは最小限にと思うのかもしれない。場面状況(どしゃ降り)を「ザー」「ザー」と役者さんに言わせたのは、うまいト書き表現で面白かった。

作・演出:松島寛和
(2013/09/20 サホエリカフェ・アルモンテ)

誰ガタメノ剣[追記]

終演後、「酔うた」とおんちゃんと兄さんが言い合いながら帰って行ったのが可笑しかった。
あれほど、台詞をがなりとおされたら、悪酔いするよなぁ。
声が割れて聞き取りにくいし。親泰を演じた人は、落ち着いて話していたので聞き取れたけど。そのせいか、親泰だけが演技ができていたような印象だ(^_^;。
信長と秀吉の場は、可笑しかった~(^Q^)。声に出して笑っちゃたよ。信長はヘビメタで秀吉はサンバ(笑)。もちろん、信長が生きている間はサンバはない。
その他の場も、うまくいけば笑えて楽しいお芝居になるんだろうな。場内、結構笑いが取れていたので、好き嫌いが分かれるのかもしれない。私は嫌いじゃなかったけど、台詞が満足に聴き取れないのじゃいかんせんであった。
驚いたのは満席だったこと。帰り美術館から公道に出るのに渋滞で、車のナンバーとか見ていたら、愛媛とか北九州とか(更驚)。人気の劇団なのね。
[追記]
職場で「どうだった?」と尋ねられて答えるうちに、いいところもあったじゃーんと思えてきて、追記しておこうという気になった。
登場人物の皆が皆、「戦わなければ」と思っているのは、いくら戦国時代といえどもイヤな感じがしたけれど、主人公のはずの元親が主人公らしく描かれておらず、むしろ家臣や領民(それも女たち)が主役のようだったのが新鮮だった。元親は、戦で犠牲になった者を思って悔やんだり、なんやかやと悩んだりの意外なキャラだったのがよかった。このように家臣・領民が元親を盛り立てるような構図だから、秀吉から土佐一国のみ与えられ、領民に合わせる顔がないと思いながら帰高した元親を、領民が喜んで迎えるラストは、うまくいけば感動できたように思う。
シアターキューブリック
(高知県立美術館ホール 2011/05/21 夜公演)