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8Mile
夢の途中
8Mile
監督:カーティス・ハンソン|脚本:スコット・シルヴァー
ジミー(ラビット):エミネム|ステファニー:キム・ベイシンガー|アレックス:ブリタニー・マーフィー|
フューチャー:メキー・ファイファー

驚きました。白人青年のこんなどん底ぶりを描いたアメリカ映画が、これまであったでしょうか?いざこざの最中に「銃をしまえ」と制止したり、黒人と白人が親友同士だったり、裕福な黒人と貧困のきわみの白人が同時に出てくる作品があったでしょうか。黒人青年が犯罪者に間違われる(又はでっちあげられる)ような映画はたくさんあったように思いますが、黒人青年がこんな廃墟があるからレイプ事件が起こるんだと憤る映画があったでしょうか。
私は自分がアメリカの社会について偏見を持っているとは思っていませんでしたが、現実を知らないということは、偏見を持っていると同じことなんですね。実に目からウロコな作品でした。

そう思うのは、この映画がまるでイギリス映画みたいな生活臭(現実感)をともなっているからだと思います。ウソっぽい映画だったら、目からウロコなんて思わんでしょう。現実感があるからこそ、目からウロコだし、見ていて胸が痛くなるところがあるし、安易なハッピーエンディングにならなかったのでしょう。

また、主人公が、やり場のない憤懣をラップで表現せずにはいられない切実感もよく描けていました。ラップでも何でも、人の心を打つパフォーマンスは、こうして生まれるものなのだなあと感じました。

そして、私がこの映画で一番気に入ったところは幕切れです。この幕切れがこの映画の肝心要と言ってよいと思います。



●ネタバレ感想
通常の娯楽映画であれば、主人公が、かつて屈辱を喫したラップ合戦に勝利したところで終わるでしょう。でも、この映画はそれで終りではありませんでした。

主人公は、夢をまだ叶えていないのです。どん底にありながら、また、「夢にいつ見切りをつけたらいいのか」とくじけそうになりながら、自分の生きる道はラップだけだという思いから、チャンスをつかむために地道に働くしかないのです。
この夢のために親友とは少し別の道を行かなければならないという寂しさがあるのに、もしかしたら、夢は叶わないかもしれない、見切りをつけるときがくるかもしれない。それでも今は追いつづけるしかないという幕切れなのです。
夢の途中を描いて、こんなに心に染みる映画はありませんでした。

高知東宝3 2003/05/24


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