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■かるかん>お月さん ももいろ|with・・・若き女性美術作家の生涯
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お月さん ももいろ
本当は恐ろしいわらべ歌
人形アニメ

「ずいずいずっころばし」は、お殿様に献上するお茶を運ぶ行列に追われて「戸をぴっしゃん」なのだと聞いたことがありますが、「とうりゃんせ」は、なぜ、「行きはよいよい、帰りはこわい」のでしょうか。「かごめ」も不可解な歌詞ですね。

高知県にもこんな歌があります。(職場の若者にたずねたら、「知らん」と言われました。私も母が歌うのを聴いたことがあるだけで、自分で歌ったことはありません。う〜ん、こうして文化は廃れて行くのだなあ。)


 お月さん ももいろ
 だれが いうた
 あまが いうた
 あまの口 ひきしゃけ


海女の口を引き裂けとは、怖いですね〜。子ども心にも怖かったです。陰音階だし。
言ってはいけないことを言ったので口を引き裂かれたのだろうと想像はつきますが、言ってはいけないこととはどんなことなのでしょうか。
それは、月灘という浜で採れる桃色珊瑚のことでした。江戸時代、特産品として桃色珊瑚はご禁制の品で、採ってもダメ、話してもダメだったのです。
これは私の想像ですが、「桃色珊瑚のことを話して打ち首になった人がいるぞ」と噂すると桃色珊瑚のことを話すことになるので、「月灘→お月さん」、「ももいろ→桃色珊瑚」という風に置き換えて歌ったのではないでしょうか。

この人形アニメは、そういう事実がもとになった民話を描いたもので、淡い恋物語にもなっています。また、桃色珊瑚のかんざしをもらったお姫様は、その珊瑚のかんざしに秘められた物語を知りませんでしたという結末は、私たちも食べたり飲んだり身につけたりすることに、どこかでこのお姫様のように無垢で無邪気なのかもしれないと思ったことでした。
人形の表情が豊かで愛らしく、話しはトントン拍子に進んで上映時間は15分から20分くらいだったでしょうか。「とうりゃんせ」や「かごめ」もこんな風に人形アニメで見てみたいものです。

社団法人高知県華道協和会 県民文化ホール(オレンジ) 2003/07/13


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with・・・若き女性美術作家の生涯
〜と共に
監督、プロデューサー:榛葉健
登場人物:佐野由美|ネパールの子どもたち

人の死は、その人を少しでも知っていたら、なんとも言えず悲しいものです。このドキュメンタリーを見ていて、佐野由美さんが死んだとき、やはり涙を誘われました。ほんのちょっと、知ったというだけなのに。

彼女は、阪神淡路大震災でもっとも大きな被害を受けた神戸市長田区の出身で、震災によって一ぺん芸術観が音を立てて崩れたそうです。芸術って何?役に立つもの?
それでも彼女は描かずにはいられない、同時に目の前の被災地で生きている人々を放ってはおけない。そうして、被災した人々を描いたスケッチと書き込みが本になりました。

美大を卒業と同時に、ネパールの子どもたちにボランティアで美術を教えに行くことに決めたのも、震災の影響があったのでしょう。ここでも彼女は、貧困という壁にぶち当たります。この貧しさを前にして、美術が何の役に立つのか。
それでも彼女はへこたれません。生徒が卒業しても手に職を持っていれば、役に立つこともあるのではとの思いから切り紙細工を教えます。そして、子どもたちを人々を描きまくります。
彼女と彼女の作品は、人々と共にあったのだなあと思いました。

人と知り合い、人を愛し、生きる喜びに輝いていた佐野由美さん。試行錯誤しながらも常に前向きで、彼女の中に確固たるものが光を放っています。こういう人を追いかけながら、このドキュメンタリーがなんだか、ぬるい仕上がりなのは、とても残念です。
彼女が売るつもりがなかった絵を是非にと言って買ったユニセフの職員が、「この絵を見るたびに初心に帰る。世界中にいるこの子のような子どもを救いたいという気持ちが湧きあがる。」と語ったところをラストシーンにすればよかったのに。これこそ彼女が「芸術って何?役に立つもの?」と思っていたことへの答えではないですか。
彼女が亡くなった後、開かれた個展を観に来て涙する若者より、ずっと力のある感動的な場面でした。

社団法人高知県華道協和会 県民文化ホール(オレンジ) 2003/07/13


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