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アバウト・シュミット
人生は、ままならぬ。〜くせ球コメディ〜
ABOUT SCHMIDT
監督:アレクサンダー・ペイン|脚本:アレクサンダー・ペイン、ジム・テイラー
ジャック・ニコルソン|キャシー・ベイツ

う〜ん、奇妙な味わいの映画でした。ズバーンとストライクじゃないんですよ。ボール球でもないようだけれど、あれれ、ボールはどこへ行っちゃったの?
そんな、ハッキリしない宙ぶらりんな気持ちにさせられた作品でありました。

もし、直球勝負でシュミット氏を描いたら、重苦しい作品になったでしょう。なにせ、シュミット氏は、定年退職後、職場を訪れて自分が用済み人間であることを思い知らされ、長年連れ添った妻とは心のつながりを持てないまま死に別れ、娘はアホな男と結婚しようとしているのです。そして、60歳にして人生これでいいのかと自分探しを始めるとは、つまづいてもすぐ立ちあがれる若者ならいざ知らず、初老の人間にはかなりきつい精神修業です。

しかし、この映画は直球勝負を避け、コメディに仕立てあげました。重苦しくなる手前でハズシてくる脚本と演出、そして、ジャック・ニコルソンの完璧なまでのコメディ演技により結構笑えます。

でもね、笑えるけれど、それは私を力づけてくれるような(例えば『天国は待ってくれる』のような気持ちのよい)笑いではありませんでした。感動的な場面でさえ、わざとハズされるのにはちょっと閉口でしたし。
この作品には、ままならぬ人生を肯定も否定もせず、半ば諦めの境地で生きるしかないという寂しさが、全編に漂っていると思います。(もちろん、この人生の悲哀に共感する方もいらっしゃるとは思いますが。)


●ネタバレ感想(私がシュミット氏の悲哀に共感できなかった理由)
シュミット氏は、ごく普通のいい人だと思うのですが、6歳の子どもにあんな手紙を書くのはいただけません。映画を見ている間中、「まさか、そのまま投函せんでしょ?単にシュミット氏の独白でしょ?あのまま出すなんて信じられねーしょん。」と思いつづけておりましたが、どうやら人生の悲哀を書き連ねた手紙をそのまま送っていたようです。
まあ、人生の悲哀を書いてもよいとは思うのですが、もうちょっと相手の子どものことを思って書いてもらいたかったなあ。シュミット氏の書きようは、相手のことがまったく念頭になさそうだったのでイヤな感じでした。
あんまりイヤな感じだったので、結局、シュミット氏の人生において他者との心からの触合いがなかったのは、相手のことを思いやっているようで、その実、自分のことしか考えてないからじゃないの?と嫌味なことを思ってしまいました。
もっとも、ラストでやっと相手の存在に気づいたので、次からはちゃんとコミュニケーションを前提とした手紙を書いてくれるとは思います。

それにしても、ラストは見る前から予想がついていました。だって、チラシに「シュミット氏はフォスターペアレントです。」とあるのですもの。仮にチラシになくても、フォスターペアレントに申し込んだ段階で結末の予想がつくので、ニコルソンのあの表情がなかったら、何の感慨もなく見終わっていたかもしれません。

高知東宝 2003/08/14


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