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明日へのチケット
列車の旅はいいなあ

いや〜、おもしろかったです。三つのエピソードがローマへ向かう列車内で交差するのですが、最後のエピソードが最も笑えて感動的で後味がよろしく、これぞ正しく「終わりよければ全て善し!」
ヨーロッパを走る列車に乗ってみたいな〜。

初めのエピソードは、「老教授の妄想編」(エルマンノ・オルミ監督)。
老教授(カルロ・デッレ・ピアーネ)は、出張先で出会った魅力的な秘書(ヴァレリア・ブルーニ=テデスキ)に淡い恋心を抱き、彼女が教授に気があっていっしょに食事をしたり・・・・・と妄想が脹らみます(笑)。列車内に流れるショパンの調べを耳にして、ピアノを弾く少女への淡い恋心を思い出し、秘書への妄想と絡み合うのが可笑しい(全然タイプが違うよねー)。そんな心地よい一時が、一人の横柄な兵士のお陰で邪魔されます。でも、教授は黙って見てるだけ。ほんと、小市民なんだから〜。と思っていたら、小市民が行動に出ました!初恋の少女の顔も確かめなかった、秘書に気の利いた別れの挨拶もしなかった、小さな後悔を繰り返してきた小市民の勇気。パワーはないけど、味のある一編でした。(越境する列車のせいか、テロを警戒している様子や、携帯電話が出てくるところが現代的。携帯電話は全エピソードに出てきましたね。)

初めのエピソードに出てきた乳飲み子を抱えた一家が、列車を乗り換えます。同じ列車に乗り込んできた中年女性(シルヴァーナ・ドゥ・サンティス)とその息子に見える青年(フィリッポ・トロジャーノ)が、席を探してうろうろしています。「ダイハードな未亡人編」(アッバス・キアロスタミ監督)の始まり始まり〜。
やる気レスな青年と傲慢な中年女性は、いったいどういう関係なのか。わからないまま進むので、いろんな想像が働いて、私はものすごく怖かったです。でも、二人の関係がわかってしまうと、「なぁんだぁ」と失望(笑)。おまけにイイ年して、あそこまで我がまま放題とは、いくら将軍様の妻で世間知らずで済んできたとはいえ、また、夫を失って不安が募っているであろうとはいえ、同情の余地なし(鬼)。夫人にはこれを機会に自立してほしいものです。一方、女運が悪く、女性で苦労してきた様子がうかがえる青年よ、女で苦労するのはこれが最後になることを祈ります。人物のアップの美しさに見とれはしたけれど、さっぱりわからなかった一編でした。

ホームで途方にくれている未亡人を残して列車は進みます。ビュッフェでは、スコットランドからローマへサッカー観戦に向かうセルティックのサポーター3人組が盛り上がっています。おしまいのエピソード「セルティック3人組珍道中編」(ケン・ローチ監督)、待ってました!ヒュー、ヒュー!(拍手)
これがねー、私のケン・ローチ贔屓を抜きにしても面白かったんですねー。まずもって、この3人組が笑えるのなんの。ごく普通の青年なんですが、わたくし、ツボりまくりでした。思い出しても可笑しい(^Q^)。
そして、葛藤があるんですねー。主人公が悩むほど映画は面白いのです。
ジェムジー(マーティン・コムストン)が乗車切符を無くしてしまったのですが、どうやら盗まれたらしいのです。盗んだ人の事情を聴くと切符は譲ってあげたい。でも、そうすると自分は無賃乗車で警察に捕まるし、捕まるとサッカー観戦はできなくなるし、仕事を首になるかもしれない。ここで切符を譲ったとしても盗んだ人の問題を全て解決できるわけではないし、彼らのような事情を持つ人が減るわけではなく、自分たちではどうにもならないことだもの。譲るべきか譲らざるべきか、それが問題だ。みたいなハムレットのノリりじゃなくて、このシリアスな場面でさえ、笑えるセリフがあるのですよぉ〜(かかか(笑))。

●ネタバレ感想

結局、フランク(ウィリアム・ルアン)が切符を譲って難民一家(最初のエピソードから登場していた乳飲み子を抱えた一家)は感謝の嵐。
そして、フランクはローマへ到着と同時に警察に突き出されることに。
しかし、ここでタイムアップ寸前の逆転のゴーーーーールがありました!いや〜、実に爽快(笑)。逃げるが勝ちとはこのことです。ああいう場合、逃げるのが知恵と言うものでして。おとなしく為されるがままになっていてはいけないのです。
ジェムジーが「あの子の立場なら、お前らも家族のために盗むだろう!俺だって絶対そうする。」と言ったとき、すごく嬉しかったし、フランクが切符を譲ったときも目が点になりながらも嬉しかったです。で、あのフットワーク(笑)!
「明日へのチケットは彼らの手中にあり」とケン・ローチは思っているに違いにゃい!
久々によい邦題だ〜。(原題は「切符」のみ。)

あたご劇場 2007/5/5
 
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