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■かるかん>犯人に告ぐ|パンズ・ラビリンス
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犯人に告ぐ
パッションって何だっけ

悦っちゃん、カッコイーーー!!!
『12人の優しい日本人』の頃から、時々「この人、ダイコンかも」と思いながら注目しておりまして(笑)、今回も犯人を追うため人ごみを掻き分けながら「どけーっ!どけーっ!どけーっ!!!」と叫ぶ声のトーンが軽く、セリフの軽さはどうしようもないという思いを新たにしましたが(悦っちゃん、ごめん!)、すっくと立った立ち姿のカッコよさ、しびれる〜。雨の中、子どもの遺体を見つめる充血した目、偉そうで勝手な上司(石橋凌)の理不尽な要求や記者会見での記者の追及にじっと耐える目、テレビ初出演で発言する前の意を決しようとするときの目、いや〜、いい俳優は目が語るねぇ!悦っちゃんにセリフはいらない(笑)。いやいや、ほんと、彼はよい俳優です。コメディやらせたら抜群にうまい!それに金田一耕助をやったときは、撮影に入る前から高下駄履いて足をならし、本番では下駄とは思えぬ見事な走りっぷりを見せてくれました。役者魂、あるっしょ!

ところで、「passion」には、熱情と受難という意味があるのが昔から不思議でした。なぜ、似ても似つかない二つの意味を持っているのかと。それがこの映画を観て少しわかったような気がしています。巻島刑事(豊川悦司)の犯人逮捕に対する熱情は、自分だけでなく我が子の命を危うくする受難へとつながって行ったからです。
地位も名誉も出世もいらない。連続児童殺人犯を捕まえたい一念が巻島を突き動かします。6年前の児童誘拐殺人事件で犯人を取り逃がしたこと(子どもを殺してしまったこと)の悔やんでも悔やみきれない思いは募り、我が子を持つと、また、更に理不尽さが実感され憤りが募り、「犯人に告ぐ」となったわけであります。この熱情が仕事を仕事でなくするのだと思います。そして、仕事が仕事でなくなると、それはもう受難の一歩手前ではないでしょうか。
もともと敏腕だったことに加え部下の信望厚く、人間として一回り大きくなったように見える巻島の「6年前とは違う」という一言は、地位も名誉も出世も欲しく、そのためには他人が傷つこうとお構いなしの上司が代表する警察という困った組織を切って捨てるセリフでもありました。

人物像で言えば、津田(笹野高史)もよかった〜!いっしょに渓流釣りする仲です(ニコ)。さすがの巻島も四面楚歌状態の捜査本部に一人で行くのは怖かった(?)。津田ちょーがいれば百人力です。私は津田ちょーが、巻島の味方をして他の刑事と取っ組み合いを始めたときは拍手喝さいでした。(ベスト・キャラ候補、現る!)

この映画では警察もマスコミも功名心やら上昇志向の人ばかりで、出世争いで人を利用したり蹴落としたりは日常茶飯事という風にえげつない組織として描かれていましたが、一方で24時間を6年間、容疑者を張り込みする捜査官も描かれており、そういう捜査官らには脱帽でした。
また、テレビ局の女性ディレクター(片岡礼子)については、女性が仕事で生き残るためには男性以上に大変な部分があることが描かれており、ちと可哀想でありました。
最もえげつないヤツ二世警視植草(小澤征悦)は、リップクリームを塗るのがよかった(笑)。私は小澤征悦の唇は食べちゃいたいほど可愛いと思っていたので、可愛いトコを見せなくするリップクリームはよいアイディアです(笑)。
ちなみに、監督は、瀧本智行でした。

とさりゅう・ピクチャーズ 自由民権記念館ホール 2008/2/22
 
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パンズ・ラビリンス
従うばかりが能じゃない
監督:ギレルモ・デル・トロ(2006年/メキシコ、スペイン、アメリカ/119分)
オフェリア:イバナ・バケロ|母カルメン:アリアドナ・ヒル|ビダル大尉:セルジ・ロペス|メルセデス:マリベル・ベルドゥ|フェレイロ医師:アレックス・アングロ|パン/ペイルマン:ダグ・ジョーンズ

匂う、匂うぞ!テリー・ギリアム監督と同じ匂いがするぞ!もちろん味は異なりますが、私はこういう匂いが大好きなのです。とても好きな作品ですが、感想は短い(笑)。

オフェリアは、地底の魔法の国(苦痛のない幸せの国)の姫君であることを証明するため、三つの試練を乗り越えなければなりません。証明できれば、魔法の国に帰れるのです。
彼女のさまよう迷宮にどんな試練があろうとも、ビダル大尉が催す晩餐会に出るよりずっといいみたいで、一つ目の試練はクリア。
心配事があっては迷宮のことなど考えどころではありませんが、母が危篤を脱すると二つ目の試練に挑戦です。「何も飲まず、何も食べず、砂時計の砂が落ちきるまでに金庫の中のものを持って返って来ること」。果たして、迷宮の主らしきパンの命令に彼女は従えるのでしょうか。

●いきなりネタバレ

おいしそうなご馳走がてんこ盛り。オフェリアは葡萄を一粒、二粒と口に・・・・・。待ってました!そうこなくちゃ(笑)。何が起こるかは観てのお楽しみ。いや〜、怖くて可笑しくて(サイコー)。
第二の試練の命令に従わなかったことにより、第三の試練は挑戦さえさせてもらえなくなりました。このため後に、最後のチャンスとして第三の試練に挑戦させてもらえることになったとき、オフェリアは何としても試練をクリアしなければという気持ちになったはずです。しかも、母は亡くなってしまい、義父からは敵視され、オフェリアの生きる道は魔法の国だけとなってしまったのだから、その気持ちはなおさらです。これほど追い詰められた彼女でしたが、第三の試練の命令には従いませんでした。

思えば、フェレイロ医師もビダル大尉の命令に背いて、拷問を受けたパルチザンを安楽死させたのでした。手当てして拷問を続けさせるより、殺してくれと言う相手の意に沿う方が情けと言うものです(涙)。そして、フェレイロ医師は、「命令に従うばかりが能じゃない」とつぶやき、ビダル大尉に撃ち殺されました。
命令に従うばかりでは、兵隊といっしょです。個人の人権と思想や意思決定の自由などは、軍国主義のもとでは(民主主義の国でも全体主義的な雰囲気が強くなると)実現が難しくなります。作り手は、フェレイロ医師やオフェリアに命令に背かせることにより、反軍国主義(反全体主義)の映画を作ったことになります。それぞれの命と引換えの選択ですから重いです。
だけど、その重苦しい選択の結果をファンタジーなら軽くも美しくもできます。軍国主義にファンタジーの威力を見せ付けてやりましたねぇ!

ビダル大尉について。
強烈なキャラクターですよね。鏡を見ながら自分の首をかき斬る真似をしたり、懐中時計(死ぬ時刻)にこだわるあたり、「この人、壊れてる」と思いました。立派な軍人だったという父親に対して劣等感ありすぎと思います。そんなだから人を愛せないし。可哀想というより、怖かったですね。

TOHOシネマズ高知1 2008/2/23
 
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