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誰も守ってくれない
事件報道はもうたくさん
監督:君塚良一/日本/2008年/118分

殺人事件の容疑者の妹沙織(志田未来)に焦点を絞って、兄の逮捕後の三日間、彼女がどんなに理不尽な状況に置かれたか、また、その後も彼女にとって厳しい状況が続くであろうということが描かれていた。
一方、幼い息子を殺された本庄夫妻(柳葉敏郎、石田ゆり)を配することによって、被害者の遺族の思いも描かれておりバランスがよいと思った。
そして、問題は被害者ヅラした第三者だと改めて思わせられる作りだった。

三日間に凝縮したのは映画の方便だと思うけれど、ここに描かれたこと(警察の事務的な対応や、マスコミによる家族の追っかけ、ネットでの家族への中傷にとどまらない攻撃)は、ありそうなことだと思った。
さすがに沙織の友だち(というか彼氏)の裏切りには驚いたけれど、容疑者の家族となれば、手のひらを返したように人が去って行くということのエンターテイメント的表現だろうか。

クラシカルな音楽をバックにバレーボールに興じる沙織は元気溌剌。警察がやってきても臆することなく、反発心を隠そうともしないその年頃特有の鋭い視線が印象深い。彼女には、このまますくすくと大きくなってほしい。その願いは叶いそうにない状況だけど、それでも肩身の狭い思いをしないで生きていってほしい。もし、それを許さない人がいたら、その人は間違っている。沙織には兄が犯した罪に責任はないのだから、兄と一体視するのは間違っていると思う。勝浦刑事(佐藤浩市)が言うように彼女が家族を守ったとしても、家族としては当然のことであって、兄に面会したり差し入れをしても犯罪に荷担することにはならないもんね。
勝浦刑事が言った「君が家族を守るんだ」は、沙織を襲うであろう荒波を知る者の言葉だ。私はどうにかして荒波側になるのは避けたいと思う。

被害者の遺族が、加害者(容疑者)とその家族を一体視するのは理解できる。それは哀しみや怒りや後悔など様々な感情でいっぱいで、冷静に考えることが難しいだろうと想像するからだ。
本庄は、事件から三年経っているせいか、勝浦刑事(佐藤浩市)が連れてきた沙織が容疑者の妹と知っても、容疑者と妹を一体視することはなかったと思う。地獄をくぐり抜けた末、勝浦の自責の念にまで理解を示せる人物なのだ。
そんな本庄が、勝浦に向かって「加害者の家族も被害者だと言うが、うちの子は帰ってこない」「息子を守ってくれなかったのに、容疑者の家族を守るのか」「あんたの顔など見たくもない」と感情を爆発させる場面では、傷の深さに涙した。彼も頭では、容疑者の家族を(主に警察の都合でだけど)守る必要性をわかると思うのだ。だけど、理性など感情の前にはひとたまりもない。
そんなだから、本庄夫妻が、おめでたというプライベートを明かして「また来てくださいね」と勝浦に挨拶したときは嬉しくて、これまた泣けた。二人の本心からの誘いであることと夫妻が事件から立ち直りつつあることがわかるし、それが勝浦の重荷を軽くするからだ。

マスコミの取材力もモラルが崩壊したネット住人の好奇心には負ける。ネットに負けないためにも(?)、事件・事故の報道より、もっと大事なことがあるだろうと思う今日この頃である。

TOHOシネマズ高知1 2009/2/15
 
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