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2001年きまぐれ日記3月11日
映画ファン必見「森村泰昌と合田佐和子展」

これ、おもしろいです。でも、お客さんの入りが芳しくないようです。なぜなら現代美術は、一般になじみが薄いからかな。私も美術館が出来るまでは、現代美術にはあまり関心がなかったのですが、美術館が収集しているので自然と目にする機会が多くなり、ちゃんと向き合ってみればこれが面白いんですよね。昔の芸術家って食うや食わずの中で作品を生み出したと思うのですが、現代美術の作品からは作品を作ることの楽しさ、おもしろさが伝わってきて苦労人の悲壮感はなく、私たちでも芸術出来そうな気さえしてくるのです。

で、まず、合田佐和子さんの作品は、映画俳優、薔薇、瞳などがモチーフの油絵と、やはり瞳や骸骨などがモチーフのオブジェが、渦巻状に配置されていて、しかも渦巻の中心部分は隠し部屋のような雰囲気。そこには、隠し部屋に相応しい雰囲気の(初期の)作品がありまして、私はここいら辺(70年代から80年代)の作品が特にお気に入りです。
最近の作品は確かに透明感のある美しい色合いではありますが、初期の作品と共通しているのが皮を被っているようだということです。おそらく他の人だと、レンズ越しに見たようなとかベールの向こうのようななどと言うかもしれませんが、私には皮を被っている絵画としか思えません。妖しい。エロチックです。う〜ん、私がエロなだけかもしれませんが。
写真のようでいて、写真とはまったく異なる質感で、絵画って写真よりずっとおもしろい!と思ってしまいました。

次に森村泰昌さんの部屋は、半分がシアターだったんですよね。これにはビックリ。いろいろやっている人だとは思っていましたが、そうですか、あなたも映像を・・・・。
絵画や写真の合成の方は、おなじみで実物を見ると笑っちゃったんですけど・・・・。でも、この人の本当のすごさがわかったのは、実はプリクラなんです。
美術館のロビーにはずいぶん前からプリクラが一台ありまして、一生に一度はプリクラをやってみたいと思っていたのですが、ひとりでは恥ずかしくて出来なかったのですね。でも、そのロビーのプリクラが森村さんの作品だとわかって、これは試してみなければとこの機会にやってみたんです。
昔、観光地などによくあった顔の部分がくりぬかれていて写真を撮るやつ、あの要領でモナリザとか写楽の役者絵とか数種類の人物が用意されていて、私が選らんだのはゴッホの耳を切った自画像でした。
で、撮ったのはいいけれど、子供が並んで待っていたので恥ずかしかったのと、何ぶん、初めてでやり直しが出来ることも知らなかったもので、出来上がったシールを見ると、パイプが頬っぺたから出ているは、バッチリ、カメラ目線だはで、ゴッホになりきれていませんでした。そもそも、ゴッホになりきる心構えができていなかったのがいけませんでした。これは大きな反省点です。
また、ゴッホはなりきるのは難しかったかもしれません。パイプはあるし、耳を切った後なんだし。カメラ目線で微笑むだけのモナリザにでもしておけばよかったかも。いやいや、モナリザもあのように微笑むのは、なかなか難しいかも。第一眉をもっと薄くしておかなくちゃ・・・・。
とまあ、自分でない人物になるのは、俳優を生業として訓練でもしていない限り難しいことなのですね。
人の気持ちになって考えるというのは、自分の目をとおして見たその人の気持ちにすぎないのねと、このプリクラで他人の目になりきることの難しさを今更ながらに知りました。
森村さんはモンローやマドンナに変身しながら、自分にはモンローに似た一面があると発見がある一方で、自分は自分でしかないということもひしひしと感じていらっしゃるのではないでしょうか?
あと、このプリクラにムンクの「叫び」はあったっけ?世間には叫びたい人がたくさんいらっしゃるようなので、もし、なかったら、「叫び」バージョンも作ってください。>森村さん
それから、このふたり展の図録は買いです。まだ買ってないので、購入するためにも3月25日の最終日までに出来ればもう一度行きたいです。


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