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■くりからもんもん>黄金週間はパゾリーニ!



チラシ「パゾリーニ映画祭」 
今年のゴールデンウィークは、何と言っても高知県立美術館主催の「増村保造レトロスペクティブ」が楽しみですね。それで思い出したのが3年前に同美術館が主催した「パゾリーニ映画祭」です。この特集上映会に私は、毎日わくわくしながら通いました。以下は、ニフティの映画フォーラムへ書き込んだものですが、そのわくわくぶりが皆さんに伝われば嬉しいです。また、増村保造特集もこれだけおもしろいことを大いに期待しています。
(なお、「増村保造レトロスペクティブ」上映会については、当ホームページでの紹介及び同美術館のホームページをどうぞご覧ください。)




黄金週間はパゾリーニ! 99/05/02 13:21

私はこれまではパゾリーニを1本も観たことがありませんでしたが、同性愛者で行きずりの青年に撲殺されたとか、作品もエログロすさまじきものがあるなどと聞くにつけ、興味津々の監督でありました。
友達は私には耐えられない(向かない)だろうと警告してくれますが、なあに、こちらもデイヴィッド・リンチに変態開眼させられてからというもの、様々な映画で変態性に磨きを(?)掛けております。
それにピエル・パオロ・パゾリーニの頭文字PPPを、逆立ちさせて更に裏返すと666になるではありませんか。パゾリーニはダミアンかも…(笑)という期待を胸に、パゾリーニ映画祭に日参することにしました。


これまで『奇跡の丘』『アポロンの地獄』『テオレマ』『王女メディア』を観たところ、期待は見事に裏切られました(笑)。エロくもグロくもなく、(少なくとも表面的には)悪魔的でもありません。
そういう意味では予想に反していたわけですが、これがしっかり面白かったんですね〜。登場人物の顔を見ているだけでもすごくよかった!
いや〜、やっぱ、イタリアは美男美女の宝庫ですわ(^^)。そうでない人も実に味のある顔、絵になる顔で、それをアップでじっくり見せてくれる。
眉のつながったイエス・キリスト(笑)、美しいじゃありませんか!この人はスペイン人だそうですが。
女も男も迷う美貌のテレンス・スタンプ、この人は何人でしたっけ?宇宙人?(笑)
ケンタウロスとか盲目の予言者とか監督のお母さんとか、本当にきれいでした。
シルヴァーナ・マンガノ色っぽい〜。マリア・カラス人工的な顔だな〜。

う、いかんいかん。絵になる顔で話が終わってしまう(^^;。

音楽の使い方もおもしろかったです。日本の長唄、能楽なんかも使われているのもおもしろかったけど、セリフなしのシーンに音楽をかぶせるやりかた。意外なところでジャズを使ったり。
それからパン(カメラを横に見回す感じ)で撮っているシーンなんか印象的です。林とか荒涼とした丘とか。
チラシにも書いてありましたが、これは「詩」ですね。題材が題材だけに物語性も感じましたが。
観ている間中、『シン・レッド・ライン』に似ている(ところがある)と気になっていました。私は自分自身に『シン・レッド・ライン』と『プライベート・ライアン』を比較するのは禁じ手にしているのですが、パゾリーニとなら比較してもいいかなと漠然と思いました。私の感覚では、パゾリーニは「蜘蛛の糸」で『シン・レッド・ライン』は「凧糸」です(笑)。パゾリーニの線は細くて透明、『シン・レッド・ライン』はそれに比べると骨太に見えます。←どっちがいいとか悪いという比較ではないです。(念のため(^^;)


というわけで体調がくずれない限りは、明日、あさって、しあさってとパゾリーニ漬けの予定です。お天気はよさそうです(笑)。
聞くところによると『ソドムの市』がとんでもなさそうですね。対談で四方田犬彦さんが「ご飯はぜったい観る前に食べておいてください」と言われました(^^;;;;;;。


(余談ですが、『王女メディア』に『スター・ウォーズ』のイウォークやランド・カルリシアンを彷彿させるコスチュームのエキストラ(?)がいました。
ジョージ・ルーカスが真似っ子したわけではないと思いますが、創作の元になる資料やなんかが同じだったのでしょうか?)

美しい詩には謎がある お茶屋



黄金週間はパゾリーニ! 99/05/04 23:58

こんばんは。パゾリーニ菌に頭を侵されているお茶屋です。
(イタリア語にも侵されていて、スィ、セニョール、スィ、ベッラベッラ、ニェットなどと頭に渦巻く(笑)。)


今朝も目が覚めると昨日観た映画が浮かんできまして…。こんな調子です。

『豚小屋』は、さっぱりわからんかったけど、ごっついおもしろかった。あのお父さんはちょび髭生やしてヒトラーじゃん。お母さんはゲシュタポみたいだし。ピエール・クレマンティはやっぱりきれいやわ。人を食べても悪いことしたと思ってないうえに、神々しいってどういうこと?やっぱ、そういうふうに撮ってるんやろね。それに関係ないけど、上映が終わって客電がついたとたん、あちこちで「わからん」と呟きやらささやきが聞こえて可笑しかったな(くすくす)。
『ロゴパグ』はパゾリーニが一番面白かったな〜。ゴダールなんか居眠りしたもんね。『テオレマ』や『豚小屋』とちがってわかりやすかったし。『リコッタ』で泣いてしもうたよ。『リコッタ』で泣くなんて私だけかも…。だけど、あの場面であの音楽使われたら、泣くでしょう!やっぱり。
それにしても、パゾリーニって第一印象から「まじめ」だったけど、昨日の3本もまじめだったなあ。「真摯」という言葉がぴったりかも…。などなど…。

すみません。観てない人には訳がわからないですね(^^;。一つだけ説明すると、『ロゴパグ』は4人の監督のオムニバスで、『リコッタ』はパゾリーニが監督した一編です。


で、昨日はピクニック日和でしたが、今日は映画日和(どしゃ降りで風もある)、『ソドムの市』にふさわしいお天気…と思いながら行ってきました。
『マンマ・ローマ』(アンナ・マニャーニ!!!)も『愛の集会』(インタビュアー=パゾリーニ!すてき!)も『ソドムの市』で吹き飛んでしまいました。
やっぱり他の映画で鍛えててよかったと思いました。たとえば、胸のむかつき度は『KIDS』に比べたらマシだし。変態地獄も「え?そんなに変態?」と思えた自分が怖い(^^;(^^;(^^;。

田中千世子さんが上映前の講演で、『ソドムの市』について語ったパゾリーニの言葉を紹介してくれたのもよかった。パゾリーニは「『ソドムの市』は、メタファー(暗喩、隠喩)にしなくてはならない。何のメタファーか的確に伝わるように、意図するもの以外想像できないくらい完璧なメタファーにしなくてはならない。」と言ったそうです。

それで私はパゾリーニが共産主義者だったことからも考え合わせて、世の中の支配する者とされる者、支配者に協力する者を描いたのかなと思いました。ラストシーンからすると、パゾリーニは無関心層が支配者側に取り込まれているのが現状と言っているのではないかと思いました。もし、私の思ったことが、パゾリーニの意図したことなら『ソドムの市』はそれほど難解でもないと思うのですが。
パゾリーニが意図したことだと仮定して、彼が世の中を『ソドムの市』のようにおぞましく感じていたのだと思うと、なんかね、悲しい…。『20世紀ノスタルジア』のポウセ(広末涼子)の心境。真実をついているから、これが詩人の(というより思想家の)目というもので、仕方ないかもしれませんが。


ところで評論家の田中千世子さんの講演で言われた、「まじめで真摯」という言葉に「ドキン!」としました。ありゃー、同じこと思ってる!って。
四方田犬彦さんからはパゾリーニの悪魔的エピソードをお聴きできたので、人間はやはり多面体だ(笑)。でも、映画から受ける感じは「まじめ」です。
明日『デカメロン』を観たら言うことが変るかもしれないけどσ(^_^;。


それにしても『マンマ・ローマ』→『愛の集会』→講演会ときて『ソドムの市』だったのですが、『ソドムの市』が始まる前に観客が3倍くらいになってたのが笑えた(^m^)。パゾリーニってやはり『ソドムの市』の…なのね(笑)。

「まじめで真摯」の…と認識を新たにした お茶屋



黄金週間はパゾリーニ! 99/05/09 18:26

結局、『アッカトーネ』をのぞいた13本を観ることができました。
五日間でこの本数は私にはちょっときついところもあって、『王女メディア』と『カンタベリー物語』で少し居眠りしてしまいましたが、毎日、楽しみでおもしろくて、暗闇愛好家、至福の五日間でありました。


五日も付き合えば、もう他人じゃない(?)(笑)ので、こう呼びたくなります。>ピエル・パオロ
ピエル・パオロさん、あなたはやはりまじめな人ですね。性の、もとい生の三部作を観た後でもそう思います。意外に淡白というか(笑)、官能性とは無縁の映画作りなんだもの。ベルトルッチとは大ちがい。
ピエル・パオロ自身とても楽しんで作っているのに、観ているこちらも楽しいのに、熱気と稚気はあまりない。フェリーにとは大ちがい(笑)。


『愛の集会』と合わせ技で見るとよくわかると思うのですが、生の三部作は民衆を性のタブー(抑圧)から解放すべく作られたものだと思います。特に女性を解放したかったと私は感じました。と言うのは『愛の集会』で男女を問わず「セックスのうえで男女は対等ですか?」とインタビューするピエル・パオロが印象に残っておりまして、それは彼が対等でないと思っている証拠でもありまして。そのうえでの『デカメロン』『カンタベリー』なのですが、ここでは女性がかなり能動的に描かれていて、『アラビアンナイト』に至っては、これぞホンマのハーレム状態(笑)。本当のハーレムとは女性が男性に隷属している状態ではないんだなあ。>ピエル・パオロにとっては。
(裏話としてピエル・パオロの両親の力関係を聞いていると、なおさら女性に捧げる映画として観たくなるのですが、これは少しは当たっているかもしれないけど、ほとんどはハズレかもしれません。)

生の三部作って不自由に生きている私たちへの、ピエル・パオロのアジテーションと言えるかもしれませんね。そうすると『奇跡の丘』でイエスを革命家として描き、アジるだけアジらせたのも頷けます(笑)。イエスと合い通じるところがあったのでしょう。


ピエル・パオロってどんな人か1本の映画で言うなら、私の印象では『リコッタ』です。まじめくさった「美しい」宗教画を茶化し、虐げられた人の悲哀を滑稽に、そして神々しく描きながら擦り寄ることがなく、鋭い真実の一言で映画をしめくくる。ピエル・パオロってそういう人なんだ〜。
あ、でも『豚小屋』の人(謎の人)でもあるな(笑)。


というわけで、最終日は『デカメロン』『カンタベリー物語』『アラビアンナイト』の3本でお客さんも一番多く、ところどころで笑い声も聞こえたことをご報告しておしまいにします。

『奇跡の丘』『テオレマ』『豚小屋』『デカメロン』を
もう一度観たい お茶屋



黄金週間はパゾリーニ! 99/05/05 21:40

あと、話の内容によって、物腰の柔らかさはかえって怖いものだと思いました。
あのおばさま方は怖いです(^^;。妖怪じゃ(笑)。←『ソドムの市』のおばさま方のこと。


カッコよかったといえば『デカメロン』で画家の役をやったパゾリーニはカッコよかったーーーー!!!!(*~.~*)インタビュアーのパゾリーニもよかったけど、役者パゾリーニもよかったです。(目がハート型。)
『豚小屋』と合わせて『デカメロン』もおすすめです。



黄金週間はパゾリーニ! 99/05/09 00:21

パゾリーニはカッコよかったという私の書き込みに「へー本人もカッコいいんですか。これは要チェックですね。そう、イタリア人にはビックリするような色男がいるんですよね。」と反応してくださった方がいらっしゃいまして。

いや、あの(^^;、けっして色男じゃないです。美男子という意味では…。顔なんかごつごつしています。
でもね、姿勢がよくて、贅肉がなくて、チャームがあるでしょ(『デカメロン』)、それから焦点が合ってない奥目がかわいいし(『カンタベリー物語』)、声は思ったより高くて若々しくて、しゃべりは立て板に水、知性と教養を感じさせるインタビュアー(『愛の集会』)だし、雰囲気美男とでも申しましょうか、そういう意味での色男ではあります。どの写真を見ても、ポーズを取っているわけでもないのに、様になってるのよね〜(^^)。


もう一個、聞きかじりのエピソードを。
『奇跡の丘』で、磔にされた我が子を見て嘆く、聖母マリアに涙を誘われた人も多いと思います。そのマリア役のパゾリーニのお母さん。お母さんはど素人で演技が出来ないので、パゾリーニは言ったそうな。
「お母さん、グイド(弟)が死んだときのことを思い出して…。」
うぴょー(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)(T_T)(TOT)マンマ、ミア!
芸術のためなら最愛の母をも泣かす。ここは観客も泣きながら拍手せねば、パゾリーニも浮かばれんでしょう。美しい場面です…。(TOT)//パチパチパチ

生の三部作(性の三部作とも言う(笑)。)についても
ちょこっと言いたいことがある お茶屋



  [うえ↑]



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アッカトーネ(1961/白黒/スタンダード/35mm/117分)
・DVD (2001/04/25) パイオニアLDC/イマジカ
・VHS (2000/12/22) ブロードウェイ/ユーロスペース
私は未見。パゾリーニ版「どん底」か?胸にこたえる作品らしい。
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マンマ・ローマ(1962/白黒/ヴィスタヴィジョン/35mm/106分)
・DVD (2001/04/25) パイオニアLDC/イマジカ
息子命のアンナ・マニャーニがすばらしい(涙)。
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ロゴパグ(1963/白黒+カラー/ヴィスタヴィジョン/35mm/122分)
・DVD (1999/12/22) パイオニアLDC/イマジカ
・VHS (2001/03/22) ブロードウェイ/ユーロスペース
ロッセリーニ、ゴダール、パゾリーニ、グレゴレッティの四監督によるオムニバス。タイトルは四監督の頭文字から取ったもの。はっきり言ってパゾリーニの『リコッタ』しか印象に残っていない。美しさ痛烈さにおいてピカ一。
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愛の集会(1963〜64/白黒/ヴィスタヴィジョン/35mm/92分)
・DVD (2001/04/25) パイオニアLDC/イマジカ
・VHS (2001/03/22) ブロードウェイ/ユーロスペース,日本スカイウェイ
パゾリーニ自身がマイクを持って、結婚観や性についてイタリアの人々に尋ねて回る。人々の答えよりも問いを発するパゾリーニの人となりや考え方が垣間見えておもしろい。
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奇跡の丘(1964/白黒/ヴィスタヴィジョン/35mm/137分)
・DVD (1999/11/26) パイオニアLDC/イマジカ
・VHS (2000/12/22) ブロードウェイ/ユーロスペース
顔、顔、顔。言葉言葉言葉。皆の顔がすばらしい。福音書どおりのキリスト物語を素人が演じる。聖母マリアはパゾリーニの実母。それを知らなくても、マリアの嘆きは涙なくして見られない。
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大きな鳥と小さな鳥(1965〜66/白黒/ヴィスタヴィジョン/35mm/86分)
・DVD (2001/04/25) パイオニアLDC/イマジカ
・VHS (2001/03/22) ブロードウェイ/ユーロスペース,日本スカイウェイ
前代未聞のタイトルバック。多分、コメディだと思うんだけど、何を撮ってもまじめさが出るパゾリーニであった。
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アポロンの地獄(1967/カラー/ヴィスタヴィジョン/35mm/104分)
・DVD (1999/11/26) パイオニアLDC/イマジカ
・VHS (2000/12/22) ブロードウェイ/ユーロスペース
実の父とは知らず殺し、母とは知らず床を伴にするオイディプスの悲劇を「詩」にした作品。おもしろい。
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テオレマ(1968/カラー/ヴィスタヴィジョン/35mm/98分)
とあるお金持ちの一家にやってきた美貌のテレンス・スタンプが、家族全員と関係してしまう。一方、一家の使用人は、田舎に帰り聖人になる。わからんけど、おもしろい!
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豚小屋(1968〜69/カラー/ヴィスタヴィジョン/35mm/98分)
・DVD (1999/12/22) パイオニアLDC/イマジカ
・VHS (2001/03/22) ブロードウェイ/ユーロスペース
イタリアの小倉一郎=ピエール・クレマンティが荒涼とした土地で人肉を食らう。が、神々しい。一方、ジャン・ピエール・レオは豚と獣姦している。わけわからんけど、可笑しい!
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王女メディア(1969〜70/カラー/ヴィスタヴィジョン/35mm/110分)
・DVD (1999/12/22) パイオニアLDC/イマジカ
マリア・カラスが主演。衣装や美術がおもしろい。
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デカメロン(1970〜71/カラー/ヴィスタヴィジョン/35mm/111分)
悲しい話やおかしな話など八つの話が楽しめる。画家に扮したパゾリーニがカッコイイ!また、シルヴァーナ・マンガーノが、この世のものとは思えないほど美しい。生の3部作中、最も生き生きとしておもしろいと思う。
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カンタベリー物語(1971〜72/カラー/ヴィスタヴィジョン/35mm/110分)
楽しいロード・ムービー。パゾリーニの焦点の合っていない奥目がチャーミング。
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アラビアンナイト(1973〜74/カラー/ヴィスタヴィジョン/35mm/129分)
空飛ぶ特撮が(^_^;。
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ソドムの市(1975/カラー/ヴィスタヴィジョン/35mm/116分)
ナチス占領下のイタリアでお偉いさんが美少年美少女をかき集め、とある館で繰り広げる変態地獄。残酷でもあり滑稽でもある。遺作というのが妙に肯ける作品だ。
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・DVD及びビデオの情報は、Amazon.co.jpから仕入れました。

2002/04/21


  [うえ↑]



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