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■くりからもんもん>デイヴィッド・クローネンバーグ 破滅の美学

 
クローネンバーグ



 
デイヴィッド・クローネンバーグは、カナダ出身の映画監督で、作品はSFホラーが多いですが、主人公を精神的にとことん追いつめ、破滅に向わせることで人間の心の闇をあぶり出し、観客に強い印象を残してきました。
その作品は世界的に多くの人の支持を得ており、アヴォリアッツ国際ファンタスティック映画祭やカンヌ国際映画祭、そして、アメリカの批評家協会などから、グランプリをはじめ数々の重要な賞を受けています。また、昨年はカンヌの審査委員長を務め、いよいよ偉大な監督となりました。
そんなクローネンバーグ監督の新作公開を記念して、(私のファン宣言みたいなものなのですが、)以下に主なフィルモグラフィーを紹介したいと思います。


 
クライム・オブ・ザ・フューチャー 〜未来犯罪の確立〜(1969年)
ステレオ 〜均衡の消失〜(1969年)
ラビッド(1977年)
ザ・ブルード〜怒りのメタファー〜(1981年)


以上の4本は観てないのん。おもしろいですか?


スキャナーズ破滅度:☆☆☆

一方は世界征服を企む超能力者、もう一方はそれを阻止すべく能力に磨きをかけた超能力者。クライマックスの対決シーンは凄まじく、B級SFパワー炸裂です。


ヴィデオドローム破滅度:☆☆☆☆

SM暴力ビデオの虜となった主人公が、ビデオなのか現実なのか幻覚なのかわからなくなって破滅していくお話です。
ハイライトシーンは、やはり、身体の中にピストルが・・・・という場面でしょう。 ジェームズ・ウッズ熱演!
現在、バーチャルゲームにのめり込んで、ゲームと現実の区別がつかなくなったオッタキー族が現れたりしているそうですが、それを先取りしたかのような18年前の作品です。


 
デッド・ゾーン破滅度:☆☆☆/ビューティフル度:☆☆☆☆☆

もし、あなたがタイムマシンで過去に行き、権力を握る前のヒトラーに会ったとしたら、そして、彼がユダヤ人をはじめ多くの人を虐殺することになるのをあなたしか知らず、彼らを救うためにはヒトラーを抹殺するしかないとしたら、あなたはどうしますか?これって、スティーブン・キングらしいシチュエーションですよね。
『デッド・ゾーン』はキング原作で、主人公は人に触れるとその人の過去や未来を見てしまう超能力者です。そして、彼がある政治家と握手したときに、 その政治家が核兵器のボタンを押す未来を見てしまいます。

主人公(クリストファー・ウォーケン)は、交通事故で数年間植物人間となっていて、目覚めるとその能力が身についていました。病床にいる間に恋人(ブルック・アダムス)に去られ、その後の出来事も彼の孤独と悲しみを増すことばかりで、彼を癒すものは何もありません。もう、ウォーケンがかわいそうでかわいそうで胸が痛みます。それに美形俳優というのは悲劇性を増しますね。いや、悲劇性ゆえにますます美しく見えるのでしょうか。

とにかく、この映画は、ホラーや内臓ものが苦手な人に、真っ先におすすめしたい、冷たく美しくひっそりとした、クローネンバーグとしては異色の(笑)作品です。


ザ・フライ破滅度:☆☆☆/チャーミング度:☆☆☆☆

私が初めて観たクローネンバーグ作品がこれ。
当時、この手のぐにゅぐにゅホラーは敬遠しており、全く観るつもりがなかったので、雑誌で物語を全部読んだのです。そしたらめっぽう面白く、俄然観る気になりまして、怖いもの観たさのともだちを誘って行きました。
お昼時だったので、食べてから観るか、観てから食べるか悩んだあげく、食べてから観たのですが、食べててよかった(笑)。ハエと合体して怪物になる過程で、歯が抜けたり耳がズルッと腐り落ちたりするのを観た後は、さすがに食欲がなかったです。

でも、お話はやはりよかった!怪物になり切っていない段階では人間の心が残っているので、元の身体に戻れないいらだちや、人間として恋人に会えなくなる悲しみが胸に迫ってきました。泣けるホラーです。

それと主人公セス・ブランドル(ジェフ・ゴールドブラム)のキャラクターがいいんですよ〜。あんなに大柄で、しかも怖そうな顔しているのに可愛いのなんの。学者バカだから服装に無頓着で、同じ服ばかり着ていると思ったら、同じのを何着も持っているのです!「着替えてるから、きたなくないよ。」とヴェロニカ(ジーナ・デイビス)に説明するシーンは、ヴェロニカならずとも抱きしめてあげたくなりました(^_^;。

それから、抜けた歯や取れた耳を大事に集めて「ブランドル博物館だ。」と戸棚にしまうところは、ホラーだけど妙に笑えるところがあって愛敬のある作品です。
また、妊娠したヴェロニカ(ハエ人間の子が生まれるか恐怖です。)が診てもらう産婦人科医は、クローネンバーグ監督自身というオマケ付きでもあります。


 
戦慄の絆破滅度:☆☆☆☆☆

この映画には嵌まりました〜。
で、原作の小説と、小説の元ネタとなったノンフィクションまで読みました。
小説はポルノっぽいところがあったり同性愛が前面にでていて、映画とは違った面白さがありました。ノンフィクションの方は、兄弟の写真が載っていて男前だったのが収穫でした(笑)。
でも、やっぱり、ジェレミー・アイアンズの方がもっと男前〜(^o^)。

そのアイアンズは、始めクローネンバーグをSFホラーの作家としか認識しておらず敬遠していたのですが、完成した作品(というより自分の演技)には大変満足しており、クローネンバーグに感謝するようになりました。
一人二役で双子の兄弟を演じ分ける醍醐味というのは、役者冥利につきるでしょう。しかも、病人や破滅男をやらせて右に出る者のいないアイアンズの個性は、クローネンバーグの破滅指向にうってつけです。

お話は双子の一人が恋に破れ(?)精神的均衡を失い、一心同体状態のもう一人も狂っていくというもので、究極の兄弟愛を描いた破滅映画の決定版です。
まがまがしい赤い手術室に赤い手術着や、不気味な手術道具など、美術や小道具が凝っています。
また、双子と恋人の女性がベッドをともにする幻覚シーンは、この映画のハイライトで、三人の関係をずばりワンシーンで表現しており、かつ、思いっきりクローネンバーグ印でゾォッとさせられました。ホラー映画じゃないといっても油断できませんね(笑)。


裸のランチ破滅度:☆☆☆

オープニングのタイトルバックが素晴らしい!
お話はよくわからないのですが、クローネンバーグ的魑魅魍魎の総出演ともいうべき作品で、しゃべるタイプライターをはじめとして、昆虫から怪物まで大小の生き物がたくさん出てきて笑えます。
主人公(ピーター・ウェラー)は、麻薬のおかげで異次元妄想世界に迷い込んでおり、妻を殺したのが現実かどうかもわからない状態なので、そういう生物を見るのも考えてみれば不思議はないのかな?

いろんな生物が登場するので、ごちゃごちゃした印象がある作品ですが、これらを嬉々として作ったであろうクローネンバーグを想像すると、少年の心を持つ大人のようで微笑ましくて、愛着のある1本です。もう一度観たい!


 
Mバラフライ破滅度:☆☆☆

『戦慄の絆』で大いなる信頼を寄せることとなったクローネンバーグからの出演依頼とあっては、断れなかったんでしょうねぇ。>ジェレミー・アイアンズ
お話はフランスの外交官ガリマール(J・アイアンズ)が中国人女性ソンに一目惚れし、彼女に頼まれ機密文書を配達したことによりスパイ容疑で逮捕されますが、実はその女性は女に化けた工作員(ジョン・ローン)だったというもので、本当にあった話を基にしています。

これは悲恋ものであります。ガリマールはソンを愛していたし、ソンもガリマールを愛していたのです。ソンが真実を明かしガリマールに愛を告白して拒否されるシーンは痛々しく、拒否したガリマールが「私が愛したのはお前の幻だった。」と言って自殺するシーンは、涙を誘われす・・・・・・・・・・・・・、 というふうに仕上がっていれば傑作だったのですが、おしいことにそうではありませんでした。
その原因は、ジョン・ローンが女性に見えなかったことにあると思います。 確かに髪は長いのですが、ガタイは大きいは髭の跡が濃いはじゃ、「ガリマール、気づけよなー!」と終始さめた目で観た私を責める人は誰もいないでしょう。願わくば、『覇王別姫』で女形をたおやかに演じたレスリー・チャンでリメイクしてほしいものです。


クラッシュ破滅度:☆☆☆☆/変態度:☆☆☆☆

「変態や〜。」と思いました(笑)。それはセックスシーンが全体の8割を占めているからではなく、傷痕をエロチックに描いていたからです。交通事故でついた主人公(ジェームズ・スペイダー)の生々しい傷痕を、舐めるように点検していくヴォーン(エリアス・コーティアス)に鳥肌がたちました。いろいろな小道具で楽しませてくれるクローネンバーグですが、傷痕まで小道具になるとはさすがです。

一歩間違えば死に至る交通事故で得た性的興奮が、倦怠期を迎えた夫婦の思わぬ回春剤となるお話は、二人の愛の物語ともいえます。また、あらゆる刺激に慣れた人間の最後に残された刺激は「死」であり、この刺激により新たに生きることができることを描いた作品でもあります。
ともあれ、最後の切り札である「死」をセックスに利用するのは、究極の変態 と言っていいのではないでしょうか。


イグジステンズ期待度:☆☆☆☆

前評判でどんなに「破滅度が低い」「惜しい」「もったいない」と言われようと、 知らず知らずに期待してしまうのがファンの性。公開が待ち遠しいびょーーん!

『イグジステンズ』公開記念
2000/05/06


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