ピックアップ>2012年高知のオフシアター・ベストテン選考会

まる画像外国映画本
順位 作品名 主催者 観た人 × ポイント
(◎−×)
1 別離 こうちコミュニティシネマ 10 9 0 9
2 君を想って海をゆく シネマ・サンライズ 13 9 0 9
3 ラビット・ホール シネマ・サンライズ 11 8 0 8
4 未来を生きる君たちへ こうちコミュニティシネマ 10 7 0 7
5 ジェーン・エア シネマ・サンライズ 13 7 0 7
6 ウィンターズ・ボーン シネマ・サンライズ 14 7 0 7
7 ポエトリー アグネスの詩 シネマ・サンライズ 9 6 1 5
8 少年と自転車 こうちコミュニティシネマ 8 5 0 5
9 人生、ここにあり! 藁工ミュージアム 9 5 0 5
9 幻影師アイゼンハイム シネマ・サンライズ 9 5 0 5
9 灼熱の魂 こうちコミュニティシネマ 9 5 0 5
  天国の日々 シネマ・サンライズ 8 5 1 4
  メランコリア 高知県芸術祭特選映画鑑賞会 14 8 6 2
まる画像日本映画本
順位 作品名 主催者 観た人 × ポイント
(◎-×)
1 CUT とさりゅう・ピクチャーズ 10 10 2 8
2 キツツキと雨 高知県映画上映団体ネットワーク 10 9 1 8
3 少年 小夏の映画会 9 6 0 6
4 一枚のハガキ 三里文化会館 9 6 1 5
5 SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者 高知県映画上映団体ネットワーク 5 5 0 5
6 エンディングノート とさりゅう・ピクチャーズ 7 5 0 5
6 正義派 高知県立美術館 7 5 0 5
8 銀河鉄道の夜 とさりゅう・ピクチャーズ 12 5 0 5
9 KOTOKO 藁工ミュージアム
高知県映画上映団体ネットワーク
7 5 1 4
10 全力映画「もはやないもの」 高知県映画上映団体ネットワーク 4 4 0 4
11 小さな町の小さな映画館 高知県映画上映団体ネットワーク 6 4 0 4

まる画像概況

3月3日(日)、朝日新聞高知総局の会議室にて、選考員16名(応募した映画ファン及び自主上映に携わる人)により、2012年高知のオフシアター・ベストテンが選ばれました。速報は3月4日付朝日新聞高知版に載りました。後日詳報もある予定です。(4月27日に載りました。)

昨年に引き続き、今年も初参加の方が4名おいでました(拍手)!これまで初参加の方々に感想をお聴きすると、「拒否権を使ってみたかった。」「観てないと拒否権を行使できないので、もっと観ておこうと思った。」などと言われたものですが、今年は比較的平穏な選考会だったせいか、そういう感想はありませんでした。
なお、第1位作品外国映画『別離』と日本映画『CUT』は、高知未公開作品1本とともに7月上旬にアンコール上映される予定です。お楽しみに!

まる画像ルール

選考方法は以下の1から7までのとおりです。対象作品1本ずつ、「観た人」と「ベストテンに入れたい人」を挙手してもらい数えます。「ベストテンに入れたい人」の多さで「暫定順位」が決まります。ベストテンに入りそうな「暫定順位第1位から第13位くらいまで」の発表があり、暫定上位から自由に意見交換したうえで「ベストテンに入れたくない人」に挙手してもらいます。
うえの表の◎欄はベストテンに入れたい人の数、×欄は拒否票の数、ポイント欄はベストテンに入れたい人の数から拒否票の数を差引いた数です。ポイント数の多さでベストテンが決まります。

  1. 投票権は一人10票までで、1作品1票。
  2. 拒否権は一人3票までで、1作品1票。
  3. 投票結果を見て、拒否権を使いたい人がマイナス票を投票。
  4. 投票数とマイナス投票数の差引きポイントで順位を決める。
  5. ポイントが同点の場合は、得票数の多い作品を上位とする。
  6. ポイントも得票数も同じ場合は、観た人の少ない作品を上位とする。
  7. 投票をするまえに、自由に推薦や批判の弁を募る。

まる画像外国映画の順位について

年別拒否票作品数「外国映画はレベルが高く、自分のベストテンを選ぶのにも迷った」と参加者からの声があったため、お茶屋は波乱を予想していましたが、暫定ベストテンに対して拒否票が入ったのは3本だけでした。左表「年別拒否票作品数」をご覧のとおり、拒否票を入れられた作品数は年平均7本ですので、今回は暫定ベストテンにあまり文句の付けようがなかったと言えるかもしれません。

暫定4位だった(毎度お騒がせラース・フォン・トリアー監督作品)『メランコリア』に最初拒否票が2票入りました。その理由は「あたご劇場で先に2週間上映されているのに、それを知らなかったと言って、芸術祭の特選映画に選んで上映している。オフシアター・ベストテンにふさわしくない。」というオフシアター上映の意義に関わるものと、「発想と高尚ぶった映像だけで作品になるという監督の思い上がりも甚だしい。ほとんど中身がない。」という作品への批判でした。お二人の熱弁に「う〜ん、そんな気がしてきた!」と4人が続き、合計6票の拒否を受けた『メランコリア』は宇宙の彼方へ飛んでいきました。

『メランコリア』は、昨年3月に公開予定ということでTOHOシネマズ高知で予告編が掛かっていたにもかかわらず上映されず、7月にあたご劇場で公開されたのをありがたく鑑賞させてもらいました。11月の芸術祭特選映画鑑賞会で『星の旅人たち』との2本立てで上映されると知ったときは、公開済の作品をなぜ上映するのか不思議でしたが、あたご劇場で上映されたことを「知らなかった」とは知らなかった(笑)。
新作なら未公開作を、旧作なら名作・カルト・特集を上映するのが自主上映の心意気ってなもんじゃないでしょうか。

『メランコリア』転落のため、繰り上がって暫定7位となった『ポエトリー アグネス』への拒否票は「イ・チャンドン監督はまだ良い映画があるし、『少年と自転車』『灼熱の魂』を上げたいので。」という理由でしたが、1票ではひっくり返らず第7位が確定。
一方、『天国の日々』は旧作だからという理由で拒否票1票。こちらは『ポエトリー アグネス』より基礎票が少なかったため、圏外へ落ちてしまいました。

2本が圏外となったので2本が繰り上がるかと思いきや、暫定11位に付けていたのは『人生、ここにあり!』『幻影師アイゼンハイム』『灼熱の魂』の3本でした。3本とも、観た人9、ベストテンに入れたい人5で、暫定9位に並んでいます。拒否票を入れて順位に差をつけることもできたのですが、この並びに異議を唱える参加者はいませんでした。
結局、ベストテンには11作品が選ばれ、獲得したポイント数を他の年のベストテンと比較しても高得点であり、冒頭に紹介した参加者の言葉どおり、外国映画はレベルが高かったと言えます。

まる画像日本映画の順位について

日本映画は新作の上映が少なく、複数の参加者から「10本選べない」と声があがりました。不承不承に新作を選ぶか、質を思えばいっそ旧作を選ぶかと悶々とした末に、質的にも新旧のバランス的にも程よいベストテンとなったのではないでしょうか。

『CUT』は、観た人10人全員の支持を受け、暫定1位。主人公(西島秀俊)の映画愛炸裂ぶりは、とある自主上映サークルを主宰しているTさんにそっくりだということで、誰かが放った一言、「映画なら西島秀俊、現実ではTさん」にTさんを知る人たちは爆笑でした(謎)。
拒否票2の理由は、「映画愛はあるが自主製作っぽい。絵作りはよいが第1位は上すぎ」、「映画監督のお墓ばかりが出過ぎ。『キツツキと雨』を第1位にしたい」というものでした。

しかし、その『キツツキと雨』にも「何を言いたいのかよくわからない。ゾンビ映画を撮影しているのが大学生レベルにしか見えない。もっと下位だと思う。」と拒否票が入ったため、2本とも暫定順位を維持する結果になりました。

暫定3位には、大島渚監督の『少年』と新藤兼人監督の『一枚のハガキ』が、どちらも観た人9人、ベストテンに入れたい人6人で並んでいました。旧作はカルト作や特集上映でもない限り拒否票を投じられ、圏外となることが多いのですが、『少年』は大島監督が亡くなられたばかりでもあり、言うまでもなく傑出した作品なので拒否票を投じる人はいませんでした。

また、新藤監督も昨年亡くなられたので、お二人が第3位に並んでいるのもよいのではないかと大方決まりかけていましたが、物言いが付きました。
拒否票の理由は、「『一枚のハガキ』は、新藤さんの作品では中くらいのレベルだ。セットなど使い回しなので『ふくろう』とダブって見えた。くじで生き残ったエピソードがある作品なら『陸に上がった軍艦』の方がずっといい。『どぶ』などのもっと輝く頃の作品を観てほしい。百才で撮ったので評論家が持ち上げてキネ旬で1位になっていたが、年齢で1位にするのはどうかと思う。評論家は作品で評価すべきだ。」というものでした。
つまり、『少年』と『一枚のハガキ』を作品で評価すれば、当然『少年』の方が力があるのだから、追悼を理由に同位に置いてはいけないということです。この方の拒否票のおかげで、2012年高知のオフシアター・ベストテン日本映画の第3位と第4位は、2011年(第85回)キネマ旬報ベストテン日本映画第1位よりも見識あるものとなったかもしれません(?)。

観た人7、ベストテンに入れたい人5で暫定6位に並んでいた『エンディングノート』『KOTOKO』。『エンディングノート』は、「お父さんのキャラクターが良かった。仕切り屋で死ぬことに前向き。」と好印象の感想がありましたが、『KOTOKO』は、「塚本監督、混乱している。」「監督は、Coccoが好きすぎる。」「『大丈夫であるように─Cocco終らない旅─』で是枝監督もおかしくなっていた。」などと、Cocco魔力説が興味深かったですが、「『悪夢探偵』のようなパワーなし」という拒否票により第9位となりました。

全力映画『もはやないもの』は、「なんとかベストテンに入ってほしい。高知はこういう作品も受け入れるということを示したい。」という観た人の願いが叶いました。
全力映画は、公式サイトによると「一般から募った新人〜経験者の無名の俳優と、国内外の映画祭を数多く経験した若手監督が数ヶ月に渡り、密度の濃い集中的演技指導(ワークショップ)を行い、映画撮影に臨む企画。少ない予算と限られた時間の中でクオリティーを追求する。」とのことで劇場上映を目指し、海外の映画祭への出品を念頭に英語字幕をつけているそうです。高知では『かぞく』『ボーイ・ミーツ・ガール』『冬の爆弾』『もはやないもの』が上映され、『もはやないもの』が観た人全員から支持を受けて第10位にすべり込みました。

まる画像選考結果表(情報提供:高知のオフシアター・ベストテン選考会事務局)

ベスト10及びベスト11以下の得点が一覧になっています。また、選考の対象となった作品(2012年に高知のオフシアターで上映されたほとんどの作品)がわかります。
選考結果表(PDFファイル173kb)

まる画像第58回県民が選ぶ映画ベストテン(2012年12月24日高知新聞より:応募総数374通)

外国映画

  1. ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル
  2. ダークナイト ライジング
  3. アメイジング・スパイダーマン
  4. 最強のふたり
  5. アベンジャーズ
  6. ドラゴン・タトゥーの女
  7. 人生の特等席
  8. アーティスト
  9. マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙
  10. 戦火の馬

日本映画

  1. のぼうの城
  2. テルマエ・ロマエ
  3. 踊る大捜査線THE FINAL新たなる希望
  4. BRAVE HEARTS海猿
  5. 北のカナリアたち
  6. るろうに剣心
  7. あなたへ
  8. ロボジー
  9. おおかみこどもの雨と雪
  10. ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q