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■鬼の対談>西日本『カノン』会議(後編)
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中編からのつづき

「チネチッタ高知」の掲示板を読んだシューテツ氏は、いささか興奮気味で自宅の掲示板に書込んだ。



 
KUMONOS掲示板


●Re^3: 『カノン』 シューテツ 2000/12/25 (月) 12:59

*『カノン』ネタバレあり

お茶屋さん。

これはヤマさんに対してもマトレスになると思います。(ヤマさんメールをわざわざありがとうございました。m(_ _)m)

いやぁ〜、これがあるからネットは止められないって感じで、篠田さん、みわさんも含め皆さんの感想を読める幸せを感じています。まさに私が求めていた、この作品ならではのそれぞれの個人が見える感想でした。

>でも、私は正直に自分の中にこの男のような部分が
>あることを認めます。

これは全ての人がそうでしょう。これを前提にしないとこの映画は成り立ちません。ただし、ここからが問題なのですが、普段この事についてそれぞれがどのように向き合っているのか?、そこの違いで大きくこの映画に対する印象が変わってくるのでしょうね。「モラルについて」と、冒頭からこの映画は観客を挑発しています。いかにこの親父の中に自分を見つけられるかが、この映画を見ることについての最大のキーとなってきます。誰しもこんな親父を肯定なんかしません。しかし「誰が否定出来るのか?。」という問題を残しています。これは好き嫌い(快・不快)という感情をもう一歩踏み越えて考えるべき問題なんだと思います。

私などはかなりこの親父に近い自分を認識しています。今は車には乗りませんが、昔仕事で車に乗っていた時(特に大阪市内を走っている時)の自分は、そのままこの親父でしたね。(笑)あと、拳銃というのもこの映画のキーになっていました。銃社会のアメリカなどだとどうかは解りませんが、(フランスではどうなのでしょう?) 日本人的感覚で銃をもし手に入れた場合を想定すると、この男の心の声に対するメタファーになっていましたね。
あと、最後のヤマさんの「ギャスパー・ノエの罠」説にはびっくりしましたし、それに対するお茶屋さんの感想はメチャクチャ興味深い感情の流れでした。しかし、私はあのシーンをトリッキーだと感じましたが、(いや、映画全体がある意味トリッキーでしたが)最終的には「人間」について「モラル」についての額面通りのシンプルな(が、厳しい)メッセージだと捉えています。そして、それは終始一貫している様にも感じています。技巧的に感じると、メッセージは薄れる作品かも知れませんね。

(本当のところ私は「ATTENTION!=デンジャー・サイン」のあとは、口をあんぐり開けた感じでただ呆然とラストまで見つめていただけなのでした。f^_^;;)

 

●Re^4: 『カノン』 お茶屋 2000/12/27 (水) 18:38

シューテツさん

>それに対するお茶屋さんの感想はメチャクチャ興味
>深い感情の流れ

そ、そうっすか?(^_^;

>私はあのシーンをトリッキーだと感じましたが、
>(いや、映画全体がある意味トリッキーでしたが)
>最終的には「人間」について「モラル」についての
>額面通りのシンプルな(が、厳しい)メッセージだと
>捉えています。

人間にとっては、反モラルなことが救いになることが厳然とある。←これは「真実」だということですか?
おかまいなければ、教えてください。


●Re^5: 『カノン』 シューテツ 2000/12/28 (木) 11:48

お茶屋さん。

>そ、そうっすか?(^_^;

いやぁ〜、大倉さんも誉めていましたが、あれこそ感想だって思いましたよ。

>人間にとっては、反モラルなことが救いになること
>が厳然とある。←これは「真実」だということですか?

「真実か?」と問われると答えようがありませんが、「あの親父にとっての」ひょっとすると「あの娘にとっての」(もしくは「ある人々にとっての」)という条件での「真実」は確実にあるのでしょうね。善・悪、快・不快等の観念は文化や教育、宗教の中で後から植え付けられたもので大きく作用する事は間違いのない事実ですから・・・。私には(が)、あの行為を否定する事など出来る筈もありません。

そして、何故私があのシーンに不快感を持たなかったのか?。の解答はまだ見つかりませんが、色々と考えられますよね。例えば、私が人(娘)の親になった経験がないからだとか、男だからとか、信仰心が薄いからだとか、愛情に飢えているからだとか、他にも考えれば色々な理由を上げる事が出来そうですが、私もあの親父の状況であればあの選択肢も有り得るという事なのでしょうかね?。

 

●Re^6: 『カノン』 お茶屋 2000/12/30 (土) 23:22

シューテツさんへ

前回の質問は、シューテツさんが感想に、この映画には「真実」があると書いていらっしゃったので、お尋ねしたのでした。どんな「真実」?と思って。

>私もあの親父の状況であればあの選択肢も有り得
>るという事なのでしょうかね?。

ということだと(勝手に)受けとめました。困る?困るだろうな〜(^^;。
いや、でも確かに、あの親父の感情や行為には、あの映画の中でどうしようもなく必然性がありましたね。現実の世の中でも反モラルな行為に救いを見出す人はいるでしょう。映画ファンなんて擬似反モラルな行為にひたりに行ってる場合があるのかも。

 

●Re^7: 『カノン』 シューテツ 2000/12/31 (日) 09:26

お茶屋さん。

>シューテツさんが感想に、この映画には「真実」があ
>ると書いていらっしゃったので、お尋ねしたのでした。

げげっ!!。もう自分の書いた感想を忘れてかけている。(笑)
実は私、本音のところ「真実」なんて言葉(特に観念的に使われる場合)はあまり信用していないのです。でも言葉としては結構多用してますね。f^_^;;

私がこの言葉を使う場合の意味は「現実に起こった全ての出来事」を丸ごと「真実」と捉えて言う事が多いです。おそらくあの感想を書いた時に思った事は、あの親父にとって真実が丸ごと描かれている、といった意味で書いたのでしょう。そして、それは誰にも否定しようもない事実であるし、あの親父だけの真実ではないと思ったのでしょう。
(ここでいう現実とか事実というのはフィルムに写し出されたものも含んでの事です。)

>あの親父の感情や行為には、あの映画の中でどう
>しようもなく必然性がありましたね。現実の世の中
>でも反モラルな行為に救いを見出す人はいるでしょう。

だからこれは正解ですね。

>映画ファンなんて擬似反モラルな行為にひたりに
>行ってる場合があるのかも。

この映画はお茶屋さんが不愉快に感じられた事で上記に当てはまらない映画ですが、(そこがポイント)不愉快に感じなくて実は反モラルなハリウッド娯楽映画の様な映画は確実にそうでしょうね。こちらにこそ目に見えない影響力やら巧妙な罠が潜んでいるのかも知れませんよ。(上記の「真実」の話とも少し関わってくるかも・・・。)

ではでは、これが今年最後になると思いますが、来年もよろしく。

 

●Re^8: 『カノン』 お茶屋 2001/01/08 (月) 14:03

『カノン』については語り尽くしたかしらと思っていますが、ひとつだけ。

>>映画ファンなんて擬似反モラルな行為にひたり
>>に行ってる場合があるのかも。
>
>ハリウッド娯楽映画の様な映画は確実にそうでしょ
>うね。こちらにこそ目に見えない影響力やら巧妙な
>罠が潜んでいるのかも知れませんよ。(上記の「真
>実」の話とも少し関わってくるかも・・・。)

そうですよね。私も前回の書き込みをするとき、ハリウッドの娯楽作のことが頭にありました。スポーツみたいに人を殺しすぎる。
その点、スコセッシとか北野武とか、暴力を暴力として痛く描くのは良心的なのでしょうかね〜?
・・・・・・『カノン』で北野まで発展するとはね(笑)。


●Re^9: 『カノン』 シューテツ 2001/01/09 (火) 15:08

お茶屋さん。

>その点、スコセッシとか北野武とか、暴力を暴力と
>して痛く描くのは良心的なのでしょうかね〜?

これについては簡単に答えは出せないですね。鑑賞者のレベル(または要求)によって影響がそれぞれに違いすぎるように感じます。

>・・・・・・『カノン』で北野まで発展するとはね(笑)。

北野映画ではありませんが、話題の『バトルロワイヤル』。私にとってあの映画の観るべきところは教師キタノだけでした。(爆)そして、あの教師キタノと『カノン』の親父がかなりダブって見えてしまいました。(娘に対する偏愛なども含めてね・・・f^_^;;)

 

●Re^9: 『カノン』 ヤマ 2001/01/09 (火) 09:43

乱入です(笑)。

> 『カノン』については・・・、ひとつだけ。

このひとつだけ、に誘われるようにして私も、ひとつだけ。
ネット上の翻訳ソフトを探して原題を翻訳してみたんですよ。
フランス語知らないから。
そしたら、『only against all』となって
う〜ん、意味深長だナァと感心したのでした。

>・・・・・・『カノン』で北野まで発展するとはね(笑)。

『バトル・ロワイアル』を観ないと、いろんなところで話題に入っていけないと思っていることに拍車が掛かりました。


●Re^10: 『カノン』 シューテツ 2001/01/10 (水) 05:33

ヤマさん。

>そしたら、『only against all』となって
>う〜ん、意味深長だナァと感心したのでした。

う〜〜ん、英語にも弱い私。(爆)

●Re^11: 『カノン』 ヤマ 2001/01/10 (水) 14:25

シューテツさん、こんにちは。

>う〜〜ん、英語にも弱い私。(爆)

私だって同じですよ。強けりゃ邦題に訳しています(笑)。



 
英語に弱いお茶屋は、この遣り取りを読んで「誰か、訳してくれる人はいないのかっ!」と地団太を踏んでいた。
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●Re^4: 『カノン』 ヤマ 2000/12/25 (月) 17:21

こんにちは、シューテツさん。

>*『カノン』ネタバレあり
>いやぁ〜、これがあるからネットは止められないっ
>て感じで、篠田さん、みわさんも含め皆さんの感想
>を読める幸せ

同感ですね。それぞれホントに面白く読みました。

>「モラルについて」と、冒頭からこの映画は観客を
>挑発しています。

お茶屋さんも「きまぐれ日記」のなかで指摘してましたよね。
だからこそ、私はあのような観方をしたのだろうと思います。

>あと、拳銃というのもこの映画のキーになっていま
>した。銃をもし手に入れた場合を想定すると、この
>男の心の声

あの男もそのとき、ある種の全能感を抱いたように見えましたね。
でも、自分の持ってるちゃっちぃ銃よりも遙かに強力な銃をカウンターバーの親父あたりでも持っていて、自分は相変わらず無力な存在に過ぎないことを知らされるのでした。

>あと、最後のヤマさんの「ギャスパー・ノエの罠」説
>にはびっくり

我ながら、素直じゃないナァって気もします。
監督の意図だと言い切る自信もありません。
だから日誌にも「果たして・・・」と綴ったのでした(笑)。
ただ、そういうふうに観たほうが僕には楽しめる作品であったことは間違いありません。
こちらでリンクしている菜穂美さんとこの掲示板にも書き込んだのですが、「深読み」って返信をいただきました。
同時に「観客を嗤う」という彼女の表現にドキリとさせられました。
彼女の言葉もやはり鋭いですね。
「垂れ流し」という表現にも感心しました。ご一読を。

>それに対するお茶屋さんの感想はメチャクチャ興
>味深い感情の流れ

同感、同感。彼女の魅力のエッセンスのようなものを感じますね。

>(いや、映画全体がある意味トリッキーでしたが)

このあたりを私はお茶屋さんとの会話の中で、80分/90分を例の破裂音とクラッシュ・ズーム、そして菜穂美さんの言う「垂れ流しの呪詛」によるボディブローを受け続けてきて、例の幻想によって強烈なワンツーパンチを見舞われた後、すかさず流れる血と汗を拭われるわけだけど、よく見りゃそいつはタオルでなくて雑巾じゃないか、雑巾! 雑巾なんかで顔を拭われてたまるかってな感じ、でも、あやうく騙されかけたと言ったりしたのでした。

でも、だからこそ、人の感じるモラル感っていうのは、それほどに揺れる怪しいものだと挑発しているようにも感じるわけでして、そういう意味ではシューテツさんのおっしゃる「技巧的に感じると、メッセージは薄れる作品」というふうには受け取っておらず、むしろ感心しているのです。

そういう意味でも、お茶屋さんもご指摘のあの揉み揉みショットは、とても重要な意味を持っていると思います。

 

●Re^6: 『カノン』 シューテツ 2000/12/26 (火) 12:48

ヤマさん。

>ある種の全能感を抱いたように見えましたね。

私の車の例と同様に「ハンドルを握ると人格が変わる」的、力を得るのですが、所詮、それは己の力ではない訳で、

>自分は相変わらず無力な存在に過ぎないことを
>知らされるのでした。

につながるのですね。しかし、それにより一時的にではあってもある種の妄想に取り付かれもするし、力も得る。しかし、幻想から抜け出した時の無力感は以前にも増して大きく、そうなってしまった人間の行動なり救いを、観客に対して問いかけているかのような映画でしたね。

>すかさず流れる血と汗を拭われるわけだけど、よく
>見りゃそいつはタオルでなくて雑巾じゃないか、・・・・

いやぁ〜〜、この文章を読んだ時は思わず笑ってしまいましたが、しかし実に見事な表現ですねぇ〜。f^_^;; さすがだ。

>「技巧的に感じると、メッセージは薄れる作品」とい
>うふうには受け取っておらず、むしろ感心しているのです。

実はこれ、ヒヤヒヤしながら書きました。f^_^;;
確かにヤマさんの感想を読んでのインスピレーションなんですが、このような映画だと技巧的な部分だけに目を奪われるエセ映画通も多くいるだろうなぁ〜、と感じたのです。それは勿論ヤマさん自身の事ではなく、あくまでも一般的にみてそこで思考停止する人と、もう一歩踏み込む人といる訳で、結構前者も多く居るだろうなぁという予想からの話でしたが、誤解を生むような文章で申し訳ありませんでした。m(_ _)m(でも、そのおかげで映画技法とメッセージの関連など色々な事に関しての考えを巡らし、楽しい時間を過ごせました。f^_^;; これについてはまた別途どこかでつらつらと書きたいと思っています。)

そして、やはりこの映画はお茶屋さんが仰る最後シーンを許せるか許せないか、許せる者は何故に許せるのか?、許せない者は何故に許せないのか?を鑑賞後じっくり考えるのが醍醐味のように私も思います。ちなみに私は許せましたが、何故許せたのか?はこれからゆっくりと考えてみたいと思っています。(笑)



 
父親が娘の胸を揉む。
あなたは、このシーンを許せますか?それとも許せませんか?


 

◇編集後記◇

以上は、昨年の12月から今年の1月にかけて、シューテツさんのホームページKUMONOSとチネチッタ高知の両掲示板へ寄せられた書き込みをまとめたものです。
当ホームページへの再掲をこころよく了承してくださった皆さんに、まずもってお礼を申し上げます。ありがとうございました。そして、『カノン』関係以外の部分について割愛したこと、また、勝手に太字で強調した部分のあることなどなど、お詫び申し上げます。ごめんなさい。

それにしても、とても楽しい年越し掲示板でした。まさに「これがあるからネットは止められないっ」ですね(^_^)。(編集責任:お茶屋)


 
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