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英国ロイヤル・バレエ
音楽:フランツ・リスト|振付:ケネス・マクミラン|指揮:バリー・ワーズワース|演奏:コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団
ルドルフ皇太子:イレク・ムハメドフ|マリー・ヴェツェラ:ヴィヴィアナ・デュランテ|王女ステファニー:ジェーン・バーン|フランツ・ヨーゼフI世:デレク・レンチャー|エリザベート皇后:ニコラ・トゥラナ|伯爵夫人マリー・ラリシュ:レスリー・コリア|ブラトフィシュ:マシュー・ハート|ミッツィ・カスパー:ダーシー・バッセル|ハンガリー高官の一人にアダム・クーパー
収録:1994年2月1日コヴェント・ガーデン王立歌劇場|パイオニアDVD

ひょえ〜〜!ドラマチックやなー!むちゃくちゃ面白いですぅ!
オーストリア・ハンガリー帝国の皇太子が17歳の愛人と心中した実話を基に、大変劇的なバレエに仕立てあげています。
プロローグとエピローグに挟まれたお話は、皇太子の結婚式から始まって心中に終わるのですが、母、妻、元愛人、娼婦、心中した愛人マリーの、それぞれの女性に対する皇太子の思いが巧みにバレエ化されています。見ていて、母に対する思慕が全く受け入れられず可哀相だな〜と思うし、妻に対するイジメは悪趣味やな〜と思うし、娼婦とはキスしすぎ(笑)と思うし。元愛人が慕ってくるのにはそっけないけど、死の誘惑に共鳴しそうな雰囲気とセックスアピールのあるマリーにはのめり込んでいきます。←これを全部バレエでやるわけだ!
父親とは反目しており、4人のハンガリー高官からは常に政治的な話を持ちこまれて責め立てられ、母親の浮気現場を見て大ショック、猟銃で誤って人を殺してしまいと、いろいろなことが重なってコカインだかモルヒネだかに逃避し、果ては心中に至るのがドラマとして大変説得力がありました。

踊りは全編みどころだらけ。ダンサー別に言うと、やはり皇太子役のイレク・ムハメドフの熱演に圧倒されます。この人の踊りには、これまで好感を持っていたのですが、今回は全くの別人で好感が吹き飛ぶくらいビックリしました。というのは同情はしても好感は持てない人物を演じていたので。両親には言いたいことが言えず、その鬱憤を妻に対して暴力的に発散し、娼婦に対しては支配的で、マリーには・・・・・、というふうに。しかも成り切っていましたからね〜。技術的にも相当なものだと思われます。踊りと演技が一つになっていて、例えば、マリーをリフトするという力技の最中でも、コカインだかモルヒネだかで虚脱状態というのが伝わってくるんです(感嘆)。

元愛人役のレスリー・コリアも大した演技力でした。今も皇太子を好きなんだけど、もはや自分では気を引けないのでマリーの仲介役をする、策略家の一面もある、でもやっぱり皇太子を好きなので彼が薬に溺れているのは心配という女心がよかったですね〜。←踊りのみどころというよりも、演技のみどころを語ってしまいました。

そして、マリー役のヴィヴィアナ・デュランテは、「破滅へ向う官能と情熱」の踊りで、あぶない色香がたまりませんでした。
娼婦役のダーシー・バッセルの踊りは、清々しくて初々しくて私は好きなんです。だから、清々しく初々しい娼婦がいたって良いじゃないかという感じ(笑)。

というわけで、大変面白いバレエでした。
ところで、バレエを鑑賞する前には、人物の相関関係やあらすじを知っていた方がよいと思いました。私は「マイヤリング」って歴史も何も知らず見たので、1幕を見た後に解説を読むまでは、ルドルフを入り婿と勘違いしていて、義母に恋しているんだ〜と思っていました(汗)。

以下は、このバレエを見てインターネットで勉強した余禄。
ルドルフ皇太子とマリー・ヴェツェラの心中事件は、『うたかたの恋』という映画になっているそうですね。2度も映画化されているとか。小説とかもあるのでしょうね〜。「天上の愛 地上の恋」という少女マンガはあるそうです。宝塚では皇太子の母エリザベートを主人公にしたミュージカルがあるのだとか。
エリザベートは暗殺されたそうですが、ルドルフも暗殺されたという説があるようです。もし、ルドルフも暗殺だとしたら、フランツ・ヨーゼフI世は、妻と息子と甥を暗殺されたことになります。(甥はサラエボで暗殺されて第一次世界大戦の引き金となったって。←ここにつながるんだ〜。)
2003/06
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