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■ひきだしバレエ(ダンス)覚書>ルジマトフのすべて(2004)


 
「ルジマトフのすべて」を見てまいりましたー。ルジマトフの踊りは、「ディアナとアクティオン」、「海賊」のアリ(ガラと全幕)をいずれもDVDで見ておりましたが、ダイナミックでハッキリした踊りで好きというほどではなかったのですが、とにかく抜群のプロポーションで肉体そのものが美しいー!と思っておりました。
熱烈なファンが多いらしく、そのファンの方々によると外見は修道僧のように禁欲的で求道精神が表に現れているけれど、一旦踊りだすと情熱の嵐でフェロモンが溢れるとか。そう聞くと一遍は生で見てみたくなりますよね。
で、見てみたら、私にとっては好き好き〜!と言うほどではなかったけれど、とにかく美しい踊りで、また、他のダンサーもよかったので大変満足でありました。
以下、演目ごとの感想です。演目及び出演者はこちらをどうそ。

●ばらの精
男性的な踊り手と思っていたルジマトフが、こんなに柔らかに踊るなんてと心底ビックリしました。跳躍や回転のダイナミズムは失われないままに、ここまで柔らかくなれる!眠っている乙女を誘う腕の動きなどは匂うよう。

●海
たろーん、たろーんとした海のリズムに心地よく酔わせていただきました。ピアノとファルセット・ヴォイスの音楽が素晴らしく、振り付けよし、ダンサーよし。決めのポーズのとき、あまりにもピシッと決めるので、せっかくの酔いが覚めてしまうのだけが残念でしたが、ほんと、素晴らしい演目でした。

●愛の伝説
男性ダンサーの衣裳に目が釘づけ(笑)。う〜ん、どういう役なのでしょー?
わたくし的には、あまり印象に残っておりません。短かったし。

●アダージェット
昨年の世界バレエフェスティバルでジル・ロマンが踊った「アダージェット」素晴らしかったなあ。ベジャールの振り付けもよかったし。さて、同じ音楽でも振付が変わると全然別もの。ベジャールの振り付けは、個人の内面を表現しているように見えましたが、今回はひたすら甘美を貫いたような感じでした。甘美な海みたいな、床に寝転ぶ振りが多いような。
あとでジュドが踊っていたと知って、もっとよく見ておくんだったと後悔。っていうか、ジュドって気がつかなかったのが不覚?ジュドらしさが出てなかったからわからなかったのでは?と哀しい言訳もしてみました(とほほ)。

●海賊
ルジマトフと言えば「海賊」。「海賊」と言えばルジマトフ。美しいーーー!熱くなりましたね〜。

●LUZ DE LUNA
ロサリオ・カストロという人のフラメンコ。この方の踊りは、上半身が非常に柔らかくて、その腰や肩から指先までのクネクネぶりは、フラダンスかベリーダンスかというほど。艶めかしい。上半身だけ見ると女性的なのですが、フラメンコって本当にカッコイイ踊りで、女が踊っても男前。客席から指笛まで鳴ってフラメンコ〜でした。

●ダッタン人の踊り
音楽がいいんですよーーー。曲名と作曲家をずーっと知りたかったので、わかって嬉しかったです。(で、帰ってきてからCDを買いました。)踊りは、飛んだり跳ねたりの迫力満点。こういう踊りでもがむしゃらにならず美しく踊る人もいるのね。やはりきれいな踊りの人に目が吸い寄せられてしまいました。群舞で迫力があって音楽がいいから、無条件で好き。

●レクイエム
世界初公開、舞踏の踊り手笠井叡さんという人がルジマトフのために振り付けた踊りです。限られた照明の中、無音で踊り始め、客席に漲る緊張感。音楽は、モーツァルトのレクイエムが、ものすごくスローテンポで跡形もないくらい。ゆっくりした動きは、まるで太極拳のようです。決めのポーズのとき、照明に浮かび上がる肉体の美しさ。最後の何十秒間は、舞台が明るくなって、レクイエムも速度を増して潮のごとく鳴り響き、踊りは今まで溜めていたものが噴き出したような爆発的な感じで圧倒されました。
これってルジマトフファンが言っていたような情熱の修道僧じゃないですか?いや、修道僧の情熱か?この演目はルジマトフそのものと言ってもよいのではないでしょうか。素晴らしかったです。

●ロミオとジュリエット
すばらしーい!マクミランの振付ってやたらとリフトが多くてあまり好きではないと思っていましたが、前言撤回。音楽に合っていて、若い恋人同士の甘くて生き生きとした踊りが見られてよかったわ〜。
それと二人のダンサーがよろしいです〜。いっぺんで気に入りました。うっとり〜〜でした。

●ムーア人のパヴァーヌ
最後の演目だから、本日のメイン演目のはずなのに・・・・・・。なんたるちあ、サンタルチア。私はうとうとと眠ってしまったのですー。あー、ばかばかばか。4人のダンサーによる「オセロ」であって、大変演劇的なおもしろい踊りのはずなのですが、私は同じようなフレーズが句読点もなく繰り返し演奏されるバロック音楽が苦手でして・・・・。ここで眠ったことにより、ますますバロック嫌いになりました。

2004/10




 
■ルジマトフのすべて 2004
2004年9月30日(木)18:30〜【プログラムA】
東京芸術劇場中ホール
■第1部
「ばらの精」 振付:M・フォーキン
音楽:M・ウェーバー
ファルフ・ルジマトフ
アナスタシア・ロマチェンコワ
「海」 振付:G・コフトン
音楽:メルテンス
オクサーナ・クチュルク
ロマン・ミハリョフ
「愛の伝説」 振付:Y・グリゴローヴィチ
音楽:A・メリコフ
ユリア・マハリナ
ウラジーミル・シショフ
「アダージェット」 振付:O・アライス
音楽:G・マーラー
シャルル・ジュド
ステファニー・ルブロ
「海賊」よりグラン・パ・ド・ドゥ 振付:M・プティパ、V・チャブキアーニ
音楽:R・ドリゴ
ファルフ・ルジマトフ
エレーナ・エフセーエワ
■第2部
「LUZ DE LUNA」 振付:C・ロメロ
音楽:D・ヤグエ
ロサリオ・カストロ・ロメロ
「ダッタン人の踊り」 振付:M・フォーキン、G・コフトン
音楽:A・ボロディン
レニングラード国立バレエ
ソリスト:エレーナ・エフセーエワ
「レクイエム」 振付:笠井叡
音楽:W・A・モーツァルト、C・ストーン
ファルフ・ルジマトフ
■第3部
「ロミオとジュリエット」よりバルコニーの場面 振付:K・マクミラン
音楽:S・プロコフィエフ
イリーナ・ドヴォロヴォエンコ
マクシム・ベルツェルコフスキー
「ムーア人のパヴァーヌ」
オテロのテーマによるヴァリエーション
振付:J・リモン
音楽:H・パーセル
ファルフ・ルジマトフ
シャルル・ジュド
ステファニー・ルブロ
ヴィヴィアナ・フランシオジ


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