ロゴ
・映画情報→ ・上映中&予定 ・カレンダー ・グループ ・ピックアップ
・趣   味→ ・くりからもんもん ・鬼の対談 ・ベスト・キャラ ・かるかん
space
■ひきだしバレエ(ダンス)覚書>東京バレエ団「ジゼル」(2004)


 
東京バレエ団の「ジゼル」を見てきました〜!お目当ては、もちろんマラーホフでっす!いんやぁ、もう、踊りが羽根のように軽い!
ジゼルが死んだときの嘆きを始め「ジゼルゥ〜!」という天を仰ぐシーンが多々ありましたが、背中が反るは反るは。背筋、すごいですね〜。ドラマチックでよいわ〜。
あいかわらず細くって、あの細さでよくリフトできるな〜。

アルブレヒトって婚約者がありながらジゼルにちょっかい出して・・・という、演じ方によっては女性から反感を持たれそうな役柄なのですが、マラーホフはジゼルにぞっこん。バチルド姫は親が決めた許婚で仕方なくという感じ。どんどんジゼルを好きになって、身体の弱いジゼルが心配でたまらず、また、弱いゆえに保護欲を掻き立てられて労わる様子が微笑ましいです。

あと、恋敵をジゼルから遠ざけようとして、ヒラリオンをじりじりと気おすところなんか、身分を嵩に来ているわけじゃないけれど、身についた貴族の威厳が出ていましたね。アルブレヒトは木こり(?)に変装しているんだけど、この場面では隠しようもなく貴族。(ヒラリオン、負けるなって思った(笑)。)この辺の演技力は、たいしたものですね〜。

いや、あの、マラーホフのことを書いていると切りがないので(笑)。っていうか、マラーホフ以上に斎藤由佳里さんが素晴らしかったので、そっちも書かなくちゃ。
12日(ジゼル:斎藤友佳里)と13日(ジゼル:吉岡美佳)を見てきました。演目及びキャスト等は、下の表をご覧ください。



 
斎藤さんがジゼルを演じた11月12日の舞台は本当に素晴らしくて、この公演こそをDVDにしてほしかったです。(ヴィシニョーワとマラーホフがゲストで東京バレエ団の4月の公演「ジゼル」がDVDになっているのですが、全て(特にジゼル)において11月が優れていると思います。というか断然、私好み。)

斎藤さんのジゼルは、か弱く儚げなんです。一幕のジゼルは、溌剌として演じられることが多いように思いますが、考えてみたら母親が踊りを禁止するほど病弱(心臓病らしい)だったんだから、斎藤さんのおとなしめのジゼルが正解かもしれませんね。そのおかげで、ジゼルを気遣うとっても素敵なアルブレヒトを見られたわけだし。
アルブレヒトは、それはもう始終、大丈夫かと心配そうに肩を抱いたりなんだりで。踊りも二人の息がピッタリ合って素晴らしかったです。
ペザントもジゼルの友達の踊りもコール・ドもみんなきれい〜!

アルブレヒトの正体のみならず婚約者までいることがわかって錯乱する場面。いわゆるジゼル狂乱の場面は、一幕の登場人物が勢ぞろいする中、観客の目はジゼル一人に集中するわけで(いや、ファンはお気に入りのダンサーから目を離さないかもしれませんが)、ジゼルがその場を一人で持たせなければならなりません。斎藤さんはこれまた迫真の演技で目が離せませんでした。
ジゼルが死に、ヒラリオンは地面を叩いて嘆くは、アルブレヒトはジゼルに近寄らせてももらえず、身も世もないほど取り乱すは、音楽はめちゃ盛り上がるはで、鳥肌が立ちました〜。ドラマチックな幕切れ。

二幕のジゼルは、幽霊というかもののけになっておりまして、これがね〜、斎藤さん、幽玄の美です〜!まるで空気のように漂う感じ。
アルブレヒトは、ジゼルの気配は感じるけれど彼女が見えてない、という風に演じるマラーホフもよろしいですね〜。

ウィリを演じるコール・ドも素晴らしいです。男を死ぬまで躍らせるという非情のもののけの冷たさもよく出ていました。(噂によると、東京バレエ団の白のバレエの群舞はいただけないとのことでした。確かにもっと柔らかく踊る余地はあると思いましたが、そろっていて綺麗だし、言われるほど悪いとは思いませんでした。)
ヒラリオンの木村さんもなかなか芸達者。へとへとに踊らされている感じがよくでていました。この方、回転なんか美しいですね〜。足長いし。木村さんの演技力のお陰でウィリの怖さがよく出て、アルブレヒトが捕まったときには、最後には助かるとわかっていても「ひえ〜」と思いましたよ。

で、ジゼルは、アルブレヒトを救おうと彼の分も踊るわけですが、これがねー、やっぱり人間の踊りじゃないのですよ。人間らしさが全くありません。それでもアルブレヒトを救おうとしているのがわかるんですよ。
一幕ではひたすらか弱くアルブレヒトに守られる感のあったジゼルが、二幕ではアルブレヒトを守ろうとしている、立場の逆転もおもしろいですね。

朝が来て、助かったアルブレヒトの目にジゼルが見えて、彼女を抱こうと両腕を伸ばしてつかまえようとするも、ジゼルは実体がないので彼の腕をすり抜けてしまうところ、泣けた〜。切ないですわ〜。

稲光や火の玉など舞台美術もよくて大満足でしたが、一つだけ苦言を申しますと、ラストシーンでアルブレヒトが、百合の花を並べて落とした後、ジゼルの墓に手を差し伸べて幕というのは、作り過ぎのような気がします。いささかナルシスティック?マラーホフさま、ご一考を・・・・(無理?)。
いや〜、それにしても斎藤友佳里さん、素晴らしかったです〜(拍手)。返す返すも、これが映像化されないとは残念無念。かくなるうえは、長く記憶にとどめ置きたいものです。

13日の吉岡美佳さんは、大変上手に踊られていました。狂乱の場面は、もっとのめり込んでほしかったですけど。
残念なのは、マラーホフと吉岡さんのパートナーシップが今一つだったことです。一幕ではステップがそろってなかったり、二幕ではリフトからの着地音がして幽霊とは言い難かったです。
ミルタは、13日の大島さんが私好みでした。
2004/11




 
■「ジゼル」全2幕

音楽:アドルフ・アダン|振付:レオニード・ラヴロフスキー(ボリショイ劇場版/ジャン・コラーリ、ジュール・ペロー、マリウス・プティパの原振付による)|改訂振付(パ・ド・ユイット部分):ウラジーミル・ワシーリエフ|美術:ニコラ・ベノワ|衣裳:ニコラ・ベノワ、宮本宣子|指揮:アレクサンドル・ソトニコフ|演奏:東京ニューシティ管弦楽団
ゆうぽーと簡易保険ホール(五反田)
登場人物 11月12日(金)夜 11月13日(土)夜
ジゼル 斎藤友佳里 吉岡美佳
アルブレヒト ウラジーミル・マラーホフ(ゲスト)
ヒラリオン 木村和夫
バチルド姫 浜野香織 井脇幸江
公爵 後藤晴雄
ウィルフリード 森田雅順
ジゼルの母 橘静子
ペザントの踊り(パ・ド・ユイット) 高村順子−中島周、門西雅美−大嶋正樹、小出領子−古川和則、長谷川智佳子−平野玲
ジゼルの友人(パ・ド・シス) 大島由賀子、西村真由美、乾友子、高木綾、奈良春夏、田中結子
ミルタ 井脇幸江 大島由賀子
ドゥ・ウィリ 佐野志織−小出領子 長谷川智佳子−西村真由美


  [うえ↑]
ホームサイトマップサイト内検索リンク自由|byお茶屋(連絡先)