ロゴ
・映画情報→ ・上映中&予定 ・カレンダー ・グループ ・ピックアップ
・趣   味→ ・くりからもんもん ・鬼の対談 ・ベスト・キャラ ・かるかん
space
■ひきだしバレエ(ダンス)覚書>「ニーベルングの指環」ベルリン国立バレエ団(2005)


物語自体は感動というほどのものではないのですが、「欲望と愛」をテーマにして表現方法が独創的で、また、踊りの見せ場が随所にあり、大変、見応えがありました。実際、見応えなくちゃ、困るよね〜。休憩1回、5時間弱の上演時間ですから〜(笑)。配役は下の表をご覧ください。

指環の争奪をめぐる醜い争いが神々を含めて人間的に描かれており、ひとつの物語が終わっても、指環をめぐる物語はまだまだ続くであろうという感じの終わり方でした。指環は無限の力を象徴しているそうです。(「無限の力って何?」ですが、持ち主の望みによってどんな力か変わってくるのかもしれませんね。)

演出のおもしろさ
生ピアノを演奏するピアニストも登場人物の一人であり、演技をするのがおもしろいし、弁者が登場人物のセリフを代弁するのもおもしろい。弁者の役割は、舞台上手にしつらえたテーブル上のテープレコーダのオン/オフすることも含まれます。
テープからは、オーケストラ(ニーベルングの指環)の演奏が流れるわけですが、突然オフにされて音楽が途中で切られるのは、精神衛生上、あまりいただけない演出でした。また、弁者にドイツ語でまくし立てられると、正直なところときどきうるさく感じました。
しかしながら、物語の予習をしているときの「こんなごちゃごちゃした話をバレエでうまく表現できるのかしら」という心配をよそに、ベジャール演出はわかりやすく、権力を象徴する槍をバレエのレッスン用のバーに見立てたり、トゥ・シューズを取り上げることにより神性を剥奪することを表現したり、なかなか面白かったです。

踊りの見せ場
腰をブリュンブリュンと回すブリュンヒルデ。ポリーナ・セミオノワ、めちゃめちゃ上手い!と思ったら、ヴィシニョーワでした!彼女とアルテム・シュピレフスキーのパ・ド・ドゥは、「指輪」の白眉だったと思います。
父であり神であるヴォータンと娘ブリュンヒルデのパ・ド・ドゥは、別れの踊りなんです。ヴォータンは、父の命にそむいた娘から神性を剥奪し、炎の中に閉じ込めるのですが、どうも愛する娘にそういう仕打ちをするのは忍びない様子です。別れであると同時に濃厚な愛の踊りでもありました。
この他、パ・ド・ドゥは、双子の兄妹ジークムントとジークリンデの踊りが今一つだったのを除いて、少年期と青年期のジークフリートの踊り、ジークフリートとブリュンヒルデの踊りなど、いずれも大変上手でよろしかったです。
また、冒頭の神々のソロの踊りや、ワルキューレの群舞もよかったです。
この演目で最高のキャラクター・ダンサーは、ミーメ(すごい化粧(笑))を演じたタマツラカルかも。芝居上手で歌まで歌って、踊りもそつなし。

ときめいたダンサー
男性ダンサーがそろっているのが嬉し〜い!
ジークフリート少年を演じたマリアン・ヴァルターと、ジークフリート青年を罠に掛けるハーゲンを演じたヴィスラウ・デュデクにときめきました〜!(告白)
ヴァルター君については、配役表でマリアンという名前を見て、女性だとばっかり思っていたのです。踊りを見ても「少年期だから女性に演じさせているのかー。それにしては男性なみの跳躍力。逸材かも。男性役に抜擢するのは、よいアイデアだなー。」と思っておりましたが、上半身を脱かれるとさすがに男性だと認識いたしました。それくらい、軽く柔らかく美しい踊りだったのです。しかも、若さで輝いておりまして、花の匂いがするような可愛いらしさ!踊りとか容姿とか表情とか、全部ひっくるめて、本当に可っ愛いー!(カーテンコールのときもニコニコして可愛かったです。)
デュデク様については、もう、めちゃめちゃカッコいいーーーー!!!!
ハーゲンが生まれたときの踊りは、とてもおもしろい振付で、異形の者的異様さがビシバシ決まり、一時たりとも目が離せなくなりました。その後、アルベリヒ(だったかな)とのパ・ド・ドゥになるのですが、プログラムを読んでパ・ド・ドゥだったことに気づいたくらいで、ハーゲンしか見ていませんでした。鋭く切れのよい踊りで、尋常ではない気迫が、あたりの空気をピンと張り詰めたものに変えておりました。お見受けしたところ、たいへん演技力のある方ではないでしょうか。ジークフリートを罠に掛け殺すことになる、ハーゲンの鬼気迫る一念が踊りを突き抜けたものにしているような気がしました。

2005/7/10
 
■ベルリン国立バレエ団 「ニーベルングの指環」
2005年6月26日(日)14:00〜18:40(予定) 東京文化会館
音楽:ワーグナーのオペラ「ニーベルングの指環」にもとづく変容の物語|台本:フィリップ・ゴドフロワ、モーリス・ベジャール|振付・演出:モーリス・ベジャール
弁者 ミカエル・ドナール
さすらい人 アレクセイ・ドゥビニン
エルダ マリアンヌ・エルネスティ
ローゲ ウラジーミル・マラーホフ
ヴォータン アルテム・シュピレフスキー
フリッカ ヴィアラ・ナチェーワ
ドンナー マルチン・クライエフスキー
フロー ライナー・クレンシュテッター
フライア ベアトリス・クノップ
ファフナー マルチェッロ・ピヴォトー
ファーゾルト マティアス・ボルター
アルベリヒ マルティン・ブチェコ
ミーメ ディニュー・タマツラカル
ライン河の三姉妹 マリアン・ジョリー
セブネム・ギュルゼカー
マリア・ジャンボナ
ブリュンヒルデ ディアナ・ヴィシニョーワ
ジークムント イブラヒム・ウェーナル
ジークリンデ コリーヌ・ヴェルデイユ
フンディング ロベルト・ヴォラート
ジークフリート マリアン・ヴァルター(少年時代)
ミカエル・バンツァフ(青年時代)
グリムヒルデ バーバラ・シュローダー
ハーゲン ヴィスラウ・デュデク
グンター マルティン・シィマンスキー
グートルーネ エレーナ・プリ
ピアノ演奏 エリザベット・クーパー


  [うえ↑]
ホームサイトマップサイト内検索リンク自由|byお茶屋(連絡先)