レニングラード国立バレエ「華麗なるクラシックバレエ・ハイライト」の地元での公演を見ました。「ハイライト」と言うだけあって、プログラムがよくて、たいへん楽しかったです。生の舞台はいいなあと改めて思いました。配役は下の表をご覧ください。
レニングラード国立バレエのことをマールイと言うらしいですが、マールイは女性ダンサーがみんな可愛いな〜。特に私はエフセーエワが気に入りました。生き生き、つやつや、溌剌。見ていて元気になれるダンサーでした。
それにしてもこのツアー、高知の前日は岡山、翌日は和歌山、一日置いて徳島ですよ。というように7月中頃から8月末まで、ハードなツアーにもかかわらず、疲れなんか全く見えませんでした。う〜ん、プロですねえ!
●「レ・シルフィード」
とてもよかったです。マールイのコール・ドのみなさん、よくそろって美しく、うっとり〜でした。音もなく軽く流れるような踊りは、正に風の精(シルフィード)。リフトでふわりと宙を漂う感じ、いつまでも見ていたかったです。
●「海賊」よりパ・ド・トロワ
これは、まず目を奪われたのが、踊りよりダンサーの大きさでした。シェミウノフという男性ダンサーが、とても背が高くて巨人と人間(シェスタコワとシヴァコフ)が踊っているように見えました。舞台奥にいると思われたシェスタコワを手前のシェミウノフがリフトする、「あれれ?」と遠近感が狂ってしまって(笑)。
奴隷役のシヴァコフの踊りは、上体がもっと柔らかければいいのにな〜。もっと背中を反らすとポーズが美しく見えるのにな〜。
●「眠りの森の美女」よりグラン・パ・ド・ドゥ
オーロラとデジレが舞台の両端に離れて、また歩み寄るという、いかにも結婚の式典という感じの振付や、バランス、回転、決めポーズという流れを三回繰り返す、これまた厳かで華やかな式典という感じの振付を初めていいと思いました。これはDVDでは味わえない感動だと思います。
エフセーエワとシャドルーヒンが二人で踊るアダージョとコーダの部分は、本当に幸福感に包まれていて、今思い出しても煌いています。
おしいのは、一人ずつ踊るヴァリエーションの部分。シャドルーヒンは、こじんまりした感じ。エフセーエワは、もっと丁寧に踊れるんじゃないでしょうか。一人ずつ見ると技術的にもっと精進する余地が見えてきたような気がします。
●「瀕死の白鳥」
瀕死には見えなかったけど、若く美しい白鳥が悩み苦しんでいるといった風情で、なかなか魅せてくれました。
●「白鳥の湖」第二幕より黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ
オディール役のヴィジェニナ。自信たっぷりの踊りに見えました。オディールは、自信たっぷりに踊らなくちゃ面白味がない役だから、彼女の踊りは正解。妖艶さが加わると更によくなると思います。
「海賊」のパ・ド・トロワのときもそうだったのですが、女性ダンサーの36回(?)の大回転に当然のごとく拍手が沸くのですが、このとき(コーダの途中にもかかわらず)曲を中断して拍手に応えるのは何とかならんものでしょうか。キーロフの公演のときもそうだったので、熱い観客に応えるのはロシアでの慣わしになっているのでしょうが、私は著しく興をそがれます。再開するとき、男性ダンサーは踊りにくそうに見えるし(私だけ?)。中断しなければ、回転に次ぐ回転で更なる盛り上がりは間違いなしだと思います。
●「春の水」
この公演で最も観客が沸いた踊り。巨人シェミウノフと少女エフセーエワの組み合わせは、フィギュアスケートのペアの演技を見ているような大技の連続。衣装もフィギュアっぽいです。
いいかげん背の高いシェミウノフの肩にエフセーエワが乗って登場。これで既に観客は、どよめきます。シェミウノフがエフセーエワを放り投げてはキャッチ、また放り投げてはエフセーエワくるっと回ってキャッチ。サーカスか雑技団かという大技をにこやかに若さいっぱいで踊ります。
演目の解説によると、ロシアの春の水は、雪解けの怒涛のような流水だそうで、なるほどぉ〜!!!
ラフマニノフの音楽もいい曲ですね。
●「ジゼル」第二幕よりパ・ド・ドゥ
この公演で最も感動しました。私はジゼルの二幕が好きなんですね〜(改めて自覚)。幽玄の美がいいのです。ウィリ(もののけ)となったジゼルの、人間とは思えない表情や動きがいいのです〜。
コチュビラのジゼルは、正に死人、もののけでした(拍手)。技術的には完璧だと思いました〜。(DVDで私が最も好きなジゼル:メゼンツェワにそっくりな踊り〜。)
このパ・ド・ドゥは、ウィリの女王ミルタに踊りを強要されたアルブレヒトの代わりにジゼルが踊る場面です。周りをウィリに取り囲まれて、アルブレヒトは「お願い、もう許して」と言いながら踊るの。でも、コール・ドがいない二人きりですから、あんまりそういう雰囲気はわからないかも。だから、ジゼルの人間離れした踊りや表情が伝われば、わたくし的にはOKなのです。
コチュビラばかり誉めていますが、リフトが安定しているからこその幽玄の美でもありますので、プハチョフも素晴らしかったと思います。
●「パキータ」より
踊る、踊る、踊るで、最後の演目にピッタリの楽しさでした。コール・ドの皆さんの踊りもよかったです。
すべての演目が終わってカーテンコールには、全員が衣装のままで登場。「春の水」のカップルには、一際大きな拍手が贈られました。
それより、私が大受けだったのは、「眠りの森の美女」でこじんまりしていたシャドルーヒン。彼は、グラン・ジュテだかなんだか(すみません、技の名前を全く覚えられないです)で上手から現れたのですが、演目のときよりいいじゃん!こじんまりじゃないよ。のびのびしていました。スピードもありました。これだよこれ!本番のときに出さなきゃ(笑)。がんばれ、シャドルーヒン!と思ったカーテンコールでした。