第12回高知国際版画トリエンナーレ展

やっぱり面白かったですよぉ!いっしょに行った妹も大満足。先日の三連休の最終日だったので人混みを覚悟してたんだけど、意外にお客さんが少なくて驚きでした。始まったばかりは少ないのかしらん?12月3日まで開催していますので、ピピッと来たらぜひ、お越しください。

●なんとなくわかってきたのは、独自性があって細かいところまでよく作られていて美しい作品が賞候補になるのかな。
●タイからの出品(入選)が多い気がしました。版画が盛んなんでしょうか。
●受賞作はスポンサー所有となるそうですが、それ以外は販売も可とのこと。部屋に飾ってもいいくらいの大きさで好みの作品のお値段を試しに尋ねてみたら25,000円とお手頃。係の人がページを繰っている一覧表を覗いていると、非売品もあれば、うん十万円と手の届きそうにない作品もありました。
●デジタルプリントってよくわからないけど(パンフに説明はありましたが)、版画なのね???
●「バロンキャット」に心を鷲づかみにされました。

私が会場で撮った写真は映り込みが激しいので、公式webの第12回高知国際版画トリエンナーレ展入賞作品をご覧ください。

(2023/10/09 いの町紙の博物館)

暑中お見舞い

暑中お見舞いを毛筆で書いた画像

台風のせいか、梅雨時のように蒸し暑くってかないませんが、皆さま、お変わりありませんか?
私は変わったことと言えば、昨年末に家族全員が新型コロナに罹ったくらいで、その他は相変わらずです。新型コロナに感染した状況をアップしようと記事を書きかけていたのですが、5類になったことだし、もういいかという感じです。
それより、見られずに心残りの映画!うん十年ぶりにマイケル・キートンがバットマンに扮した『ザ・フラッシュ』です。どうしてもマイケル・キートンの声でバットマンを見たいじゃないですか。それなのに字幕版の時間割が合わず、涙を飲みました(ToT)。
『ミッション・インポッシブル デッドレコニングPERT ONE』も字幕版は見れない時間帯なので吹き替えで見るしかないです。
『LAコンフィデンシャル』は、吹き替えを見てやっとわかった作品だったので、吹き替え版もいいのですけどね。

書道は、古典の臨書をますます楽しんでいます。顔真卿の楷書はあまり好きではないのですが、少し習ってみると、すごく面白かったです。起筆がすべて「ドン!」って音が聞こえてきて(笑)。送筆は「ドーン」、収筆は「ぐりぐり!」と、書いていて思いきりがよくなるというか、何か気持ちよく書けます。でも、続けていると暑くなってきて(暑苦しい字なのです)、冬に習うことにしました。

花は昨年、瀕死のシンビジウムの鉢に艶々のガーデンシクラメンが生えてきて(こぼれ種というか飛び種です)、冬に咲かなかったので残念と思っていたら、7月の初めに咲いて今は種が弾け終わったところです。このまま、ガーデンシクラメンの鉢となってくれるといいなぁ。
そんなこんなですが、元気にしていますので。
皆さまも暑さに負けないようご自愛くださいませ。

ガーデンシクラメンの写真

中島敬朝展、テオ・ヤンセン展、石元泰博コレクション展

中島敬朝展

中島敬朝展鑑賞のしおりの画像

中島敬朝、没後40年の展覧会。ネットで昆虫スケッチなどを見て、ぜひ、鑑賞してみたいと思って行った。現四万十市下田出身で京都で日本画を学び、故郷に疎開し、大病を患い京都に戻るのを諦めたが、高知県内で県展の審査なども務め指導的立場で活躍した人らしい。脚本家中島丈博氏の父とのことで、高知県狭い~(笑)。
「京都時代(1920年~1940年頃)自然との融和、花鳥画家としての成熟」「高知時代(1945年頃~1983年)自然との対決、風景画家への変容」という展示で、一目惚れの昆虫スケッチは初期のもので、画帖「木守」もいいし(ほしい♥)他にも好きなのがあったけれど、明らかに後期の絵が好き好き♥だ。石鎚山を描いたものが何枚もあったが、中でも「残照」の色のきれいなこと。また、宣伝のハガキにもなっていた「岬の椿」は、一目見るなり左隅の薄青緑は海だとわかり、他の木々とともに潮風に晒されてたくましく生きているなーと思った。印刷では海だとはわからなかったのだ。令和4年度に県美の収蔵作品となったものも多く、いい買い物(寄付?)したな~と嬉しくなった。新規なところはないかもしれないが、好きな作品が収蔵されるのは嬉しい。

テオ・ヤンセン展

展示だけで動かないのを見てもなぁとあまり食指が動かなかったが、けっこう頭を働かせながら見た。つまり、足の形からするとカニさんみたいに横歩きしか出来ないのでは?(後の作品は進化して尺取り虫みたいに動けるようになったようだ)とか、プラスチック製だけど竹にしたら?オランダには竹は生えてないか・・・・と思っていたら、参考資料によるとプラスチックのパイプを加工して組み立てているようなので、ああ、竹の生えてないところで竹職人になるのは無理があるか・・・・と思っていたら、過去には木材や金属で作っていたと解説を読み、それなら竹で!と押しつけるのはよくないか・・・・・と思っていたら、ネット上で映像などを公開し、世界中でこの生き物を作るよう(それが繁殖とのこと)願っているとのことで、それなら日本で作る人があれば竹と和紙で!と妙にこだわった。自然素材がよいのではという思いも若干あり。なぜ、こんな大きなものにしたのかという謎も解けた。材料をプラスチックパイプにしていることで小さくも出来ないし、大きさにも限界があるとのこと。
この生き物はストランド(砂)・ビースト(生物)と言うそうで、ホームズ物語が掲載された雑誌と、美女と野獣の野獣ということで覚えやすい。始めにこの生き物を作り始めた動機が書かれていたけれど残念忘れてしまった。
第一会場で定時のショー(生き物を実際に動かす)を見て後、石元泰博コレクション展を見ていると第二会場で臨時に動かしますと案内に呼びに来てくださって両方見ることが出来た。中学生(?)の団体が床に並んで座っていて、生き物が動くと「おおー」「うわー」と反応が面白かった。第一会場の生き物は一方向にしか動けなくて手動で元に戻していたけれど、第二会場の生き物は風に飛ばされないよう杭を打ったり、両側に動けるよう進化していた。しかし、会場が狭いためか尺取り虫の動きの生き物は動くところは見れなかった。
無風のときも動けるように、ペットボトルに空気入れの容量で自動的に圧縮空気を入れて動かすというのがどうしても飲み込めず、係の人に尋ねたら実際にはペットボトルの数はもっとたくさん付いており、栓を抜くのは手動だということでやっと理解できた。言われてみると、それくらいのことは自分の頭で考えついてよさそうなものだが、それほど私の頭は働かないのだった。

石元泰博コレクション展「HANA/牧野富太郎記念館の建築」前期

植物をこれほど硬質に撮る人もめったにいないだろうなぁ。背景がわからないので、無機質な部屋に植物を持って来て撮った感じがする。「落ち葉」のバックはアスファルトだったか、それでもやはり硬質な感じ。植物だから硬質さが際立つのかもしれない。こういう特徴があるからこそ、石元作品とわかる。オンリーワンの大切さよ。
植物園の建物(本館、記念館)は、内藤廣さんの設計だそうで本当に素晴らしいものを作ってくださって感謝。写真では普段見れない角度から見ることが出来て、その美しさ優しさを改めて感じた。

角田和夫 土佐深夜日記-うつせみ

昨年度アーティストフォーカス第3回の展覧会で思わず涙が湧いた記憶も新たに、展覧会のカタログを購入。展示されてなかった作品も載っているような気がする。あまり好きではないのだが、ページを繰って再び見ているとやはりなんだか切ない気持ちになってくる。心を動かすパワーがあるのだなぁ。
(2023/06/16 高知県立美術館)

合田佐和子、角田和夫、門田修充_いっぺんに観た

合田佐和子 帰る途もつもりもない

高知県が「うどん県」の真似をして(?)「高知家」などと宣伝をし始めたとき、「天皇の赤子」という言葉が浮かんで「うへ~」と気色悪かったが、高知家は家出自由で、最も有名な家出人は坂本龍馬だと思えば「高知家」でもいいかと思い直したことだった。その家出人第何号かの合田佐和子展を楽しみに前売り券まで買っていたのだが、面白かったけれどあまり好きではないことを再確認するに終わった。

ちょっと好きかなと思ったのは、ポラロイド写真、スケルトン・ボックスあたりだ。楽しそうな感じがしたのだ。それで言えば、焼け跡で拾い集めたもので色んなオブジェを作った作品も楽しいはずなのに、それはあまり好きではなかった。なんか複雑に組み合わされているように見えたからだろうか。平たく言えばゴチャゴチャしすぎ(^_^;。
写真を元に描かれた退廃的と言われる絵も幽霊みたいだし、「レンズ効果」と言われる絵も甘めのフォーカスが何だかモヤモヤするし、映画や演劇のポスターの原画はタイトル文字などが入ったポスターの方がイイし、ワニタマゴヘビタマゴなどは好きになっても良さそうなのにもう少しとぼけてくれないとなぁと感じた。要するに合わないのだろう。
ただ、戦後から表現の自由が爆発した60年代、70年代、80年代に最先端の美術家でいられたことはスゴいことのように思う。利き手でない手で描くなど、そんな凡人のようなことをしなくてもと思ったりもしたが、行き詰まりのようなときがあったのだろうか。ノイローゼみたいになっちゃったのかな。どこからともなく聞こえてきた「レンズ効果」という言葉に新たな表現を見つけるとは、やっぱり芸術家だと思ったり。

けっきょく、この人は眼を描いていたように思う。焼け跡からレンズ効果までオブジェも含めて眼を描いている。若いときに描いた眼は力があり恐いくらいだ。レンズ効果のバラの花なんかも眼だと思うが、かなりやわらかくなっている。年を取ると重力に逆らえず垂れ目になったり、眼の周りの筋肉も弱くなり目に力が入らなくなる。精神的にも丸くなるからだろうか。絵の眼もそんな感じに変化しているように思った。

角田和夫 土佐深夜日記-うつせみ

ちょうど10才年上の人だ。世界的にも評価され、たくさん作品があるそうだが、当地で撮影したものの中から選んで展示されていた。

1984-86年頃の「満月の夜」・・・・夜の畑とか公園とか赤外線カメラで撮影できる範囲が、灯りもなく誰もいないから見ていて寂しい。けれども不思議と落ち着くような感じがした。

1984-90年の「土佐深夜日記」・・・・赤外線カメラの眼は、ふくらはぎの静脈をこんな風に見ているのかと驚く。ゲイバーでパフォーマンスをする人やお客さんを撮っているので賑やかな感じがしてもよさそうだけれど、なんかやっぱり寂しそうな感じ。でも冷たくはなくて柔らかな感じ。暗がりにぽつんと置かれたブランデーグラスのとろみ感みたいな。バーで働いていた叔父さんが亡くなったとわかる写真のところで、思わず落涙。これまでの叔父さんの写真や、お通夜に集まった人の靴を写したところ、小さな住まいなどが物語ることが迫ってきた。この個展は叔父さんの供養になっているなぁ。

2020-22年の「続土佐深夜日記」・・・・新型コロナ禍の深夜、閑散とした写真はわずか。新型コロナ禍でも人々は飲んでますなぁ。人の顔のアップが多いと思った。街のパワーダウンは感じるものの、人は40年近く前とあんまり変わらんなーと思ってしまった。

当地ゆかりの作家を紹介する趣旨の企画「アーティスト・フォーカス」の第3回。好みではなかったけれど、独特の妙な感じのする写真で(思えば「うつせみ」という個展のタイトルがピッタリだ)見ていて疲れなかったので良いものだと思う。人(ワタシ)を疲れさせるのはアート作品として一級品とは言えないというのが最近の私の良い悪いの基準になっている。第1回、第2回とカタログも作成されたので、今回も作ってくれるでしょう。今から楽しみ。

門田修充展 不穏と不遜の交叉する無自覚な日常

とても面白い立体作品。クラゲとか巨大な虫とか甲冑みたいなのとか、ワクワクする。県展無鑑査の人だという。素材はアルミなのかな?ブリキより軽そうな印象。クラゲの団体は宇宙人のようにも思えたけれど、楽しくて不穏な感じは受けなかった。

(2022/11/22 高知県立美術館)