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■鬼の対談>マトリックス 3部作 |
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(お茶屋) 評判は、あんまりようないらしいけど、おもしろかったで〜。アクションはさすがやし。 (K) そうやろ〜。おもしろかったでね〜。 (お茶屋) 職場で先に見た人が二人おって、二人とも「わからんかったところがあるき教えて」と言うがね。「私、まだ見てないき、言われんでー」って耳をふさいで質問を聞かんかった(笑)。 確かに、わからんところがあったき、K君に教えてもらお。 とりあえず、マトリックスとザイオンと二つの世界で話ができる? (K) いや、三つの世界やと思うで。 |
■ 三つの世界 ■ (お茶屋) 緑の電子でできちゅう世界がマトリックス。それから、プラグを指し込む穴がある人間がおる世界がザイオンやろ? (K) うん。ザイオンで生まれた人間には、プラグ用の穴はないけど。 (お茶屋) もう一つは? (K) 一作目かニ作目かで、エージェント・スミスが「仕事をすませて早く帰りたい」って言いよったろ。その世界。言わば、エージェント・スミスの出身地。スミスの出身地と言うと長いき、映画の中で言われよったようにマシン・シティと言うことにしょうか。 (お茶屋) マシン・シティって、『レボリューションズ』でネオが最後にトリニティといっしょに行った世界?ネオがコンピューターらしきものと話しよった。 (K) そうそう。 マシン・シティとマトリックスの境目の駅で親子がおったけど、あの親子が元いた世界もマシン・シティ。 (お茶屋) それじゃ、その三つの世界があるとして、話をすすめろか。 |
■ ザイオンはアミノ酸の世界か ■ (お茶屋) 二作目『リローデッド』での最大の疑問点やけど・・・・。『リローデッド』の最後で、タコみたいなロボットがザイオンに攻めて来たのをネオがやっつけたわね。ということは、ネオが電子世界の外でも使える超能力を身につけたのか、若しくは、ザイオンが電子の世界かのどちらかであろうと。又はそのどちらでもないオチがあるかもしれんと、三作目『レボリューションズ』に対する期待も高まったわけやけど。 ネオは、超能力を身につけたんですかね〜? (K) まあ、どちらにでもとれるとは思うけど、僕はザイオンもマシン・シティもマトリックスも同じ階層の世界やと思うちゅう。 (お茶屋) ということは、三つの世界のいずれもが電子でできたバーチャルな世界であって、リアルではないということか。 (K) リアルよえ。その世界におる人にとってはリアルな世界なが。現実を生きゆうわけよ。 (お茶屋) うん、まあそれはそうやね。 そうするとザイオンも生身の人間のおらん世界で、三つの世界とも電子でできちょって同じ階層にあるわけか。 マシン・シティも電子でできているとなると、トリニティとネオが「美しい」言うて感動しちょった雲の上の太陽とか、うっすら見えよった月も電子? (K) うん、そうやと思うで。 人間と機械の戦いで、人間が核爆弾を使こうて闇の世界になったって言いよったけど、雲の上に出たら太陽も月もあるろうき、あの太陽が本物じゃないとは言い切れんわね。だから、あれはアミノ酸の世界だという見方もできるかもしれんけど、僕はザイオンもマシン・シティも電子だという風に受け止めた方が納得がいくわけよ。 (お茶屋) そうやねえ。 ザイオンも電子の世界やったら、元エージェントのスミスが、そこまでやってきた説明がつくしね。それに、ネオが目が見えんなって見たものはオレンジの世界やったもんね。あのオレンジがマトリックスの緑に対応しちゅうというか、マトリックスとは異なる電子の世界を表しちゅうがやろうか。 確かに、ザイオンもマシン・シティもアミノ酸の世界じゃなくて電子の世界とした方が辻褄が合うわ。 |
■ はぐれプログラム ■ (お茶屋) ところで、あのマトリックスとマシン・シティの境の駅でおった親子は、いったい何者?両親はプログラマーやと言いよったけど、人間? (K) いやいや、あの両親もプログラムながよえ。 (お茶屋) へぇ〜。そしたら、プログラムがプログラムを作りゆが? あの女の子は、プログラムに作られたプログラム? (K) そういうことになるね。 あの親子は、オラクルとその護衛とか、フランス人マフィアみたいな人なんかと同じ、はぐれプログラムながよえ。 (お茶屋) エージェント・スミスは、ネオに壊されて、はぐれプログラムになった。 (K) そうそう。 『リローデッド』に出てきたキーマン(鍵の束を持っちょった男)も、はぐれプログラム。 (お茶屋) で、どうして、あの親子はマトリックスへ行こうとしたが? 女の子をオラクルに預ける言いよったね。両親の方は諦めちゅうという話やったけど。 (K) オラクルに預けたら削除されんきよえ。 (お茶屋) 預けんかったら削除されるが!? (K) うん、マシン・シティでおったら削除されるき、せめて娘だけでもオラクルに預けて生き延びさせようということやない?オラクルといっしょにおったら捕まらんろ。 (お茶屋) へー! マシン・シティでおったら削除されるき、マトリックスの世界へ逃げたわけ!? |
■ マトリックスの自由度 ■ (K) それで、マシン・シティからマトリックスへ逃げる手引きをしゆのが、あのフランス・マフィアよえ。 いいよったろ、フランス・マフィアは最も古いプログラムやって。 (お茶屋) フランス・マフィアもよう生き延びたね。ワルやき生き延びれたがかね(笑)。 けど、どうしてあの両親は、削除されるが? (K) ヴァージョンが古うなったきじゃないが? (お茶屋) ひえ〜、プログラムにとっちゃ、酷な世界ですなあ。 それやったら、スミスは、どうしてそんなところへ「早く帰りたい」なんて言うがやろ? (K) そりゃ、スミスは最新ヴァージョンやったがよえ。エリートプログラムで優遇されちょったき、はぐれプログラムを追ってあくせくするより、早よう仕事を終わらせてマシン・シティへ帰ってのんびりしたかったがじゃないの(笑)? (お茶屋) だけど、マシン・シティからマトリックスへ逃げても削除されるんじゃないのかねえ? (K) マトリックスは、マシン・シティよりソフト(プログラム)の自由が利くがよえ。 オラクルとかフランス・マフィアとか、捕まらずに動き回りゆろ。 |
■ 契約 ■ (お茶屋) ねえねえ、カーネルおじさん(コンピューター)とオラクルは契約しちょったがやね。 オラクルが「不適合者を出してくれるわね?」と言うたら、カーネルおじさんが「約束は守る」と言いよったろ。 (K) カーネルおじさんと契約しちょったがは、ネオやろ。 (お茶屋) え?ネオと約束しちょったけ? ネオとは『リローデッド』で、「君は六代目ネオだ」という会話をしただけじゃない? (K) 『レボリューションズ』で、「スミスを倒すから、ザイオンに平和を」言うて約束したろ。 (お茶屋) ああ、ネオはマシン・シティで、でっかい顔と約束したね。あれ、カーネルおじさんやったが? (K) カーネルおじさんは、マトリックスでの姿で、マシン・シティでは大きい顔ながよえ。 (お茶屋) ああ、そうか。両方ともコンピューターやもんね。 それで、ネオがスミスを倒したき、約束どおりザイオンからタコ・ロボットを撤退させたわけね。 |
■ 六代目ネオの選択が革命を興す ■ (お茶屋) そしたら、『リローデッド』では、ネオとカーネルおじさんは、やっぱり約束してないわけやろ。 (K) 『リローデッド』では、カーネルおじさんは、ネオに選択肢を差し出したわけよね。 ザイオンを全滅させるか、それともネオがノアとなって少数でも生き延びる道をえらぶか言うて。 (お茶屋) それともう一つは、トリニティを救うという選択肢があったろ。選択肢は三つよね。 (K) ちがうで。 ノアか全滅かの二つに一つよえ。ノアを採らんかったら全滅と決まっちゅうが。 (お茶屋) え、それやったら、ノアを採るろー。 (K) そうよえ。それやき、五代目まではみんな、ノアを採ってきたろ。 (お茶屋) ああ、そうか。 トリニティを救う選択をしたということは、ノアとなることを選択しなかったということで、自動的にザイオン全滅を選択したことになるがかぁ! (K) 六代目ネオは、五代目までとは違う選択をしたというのが、すでに革命的やねえ。 (お茶屋) おおお! ザイオンは、ノアの箱舟みたいに選ばれた少数の人間が生き延びるか、若しくは、全滅のはずやったのに、丸残りできた!そりゃ、革命やねえ! (K) これもスミスという不確定要素があったおかげやね(笑)。 それと僕は、ネオは、ザイオンがオレンジ色に見えた時点で、実は電子の世界でしかないということに気づいちゅうと思うがね。ショックやったろうと思うで。 それでもマシン・シティへ行って、マトリックスではスミスと戦って、ヒーローやねえ。 |
■ オラクルの革命 ■ (お茶屋) で、カーネルおじさんとオラクルの話に戻るけど、二人は契約しちょったがじゃないが? あのラストでの二人の会話は、それまでに契約があったことを匂わせるろ?オラクルが「不適合者を出してくれるわね?」と言うたら、カーネルおじさんが「約束は守る」と言いよったことからすると。 この不適合者というのは、マトリックス内で違和感を持って生きている人のことやろ? (K) それやったら約束する必要はないろ。 機械は、人間を電池として機械につないで動力源にしちゅうわけやけど、その人間に見せる夢としてマトリックスがあるわけよね。実際は人間電池として機械につながれちゅうけど、それを実感させないため延々と20世紀の夢を見せられゆうわけで、中にはマトリックスの世界に違和感を感じる者もおって、そういう者が増えると困るから、そういう者を不適合者としてマトリックスの外(ザイオン)に送り出すシステムを作っちゅうがやろ。(ザイオンも実は電子やき、別の確からしい夢を見せられゆわけやけど。) 不適合者をマトリックスの外に出すシステムは既にあるわけやき、オラクルがわざわざカーネルおじさんと契約する必要はないろう。 (お茶屋) それもそうやね。私はザイオンへ行けないままの不適合者もみんな、マトリックスから出してという意味かと思うたがやけど。 (K) 確かに、ザイオンへ行けない不適合者もおるろうね。 ただ、僕は、はぐれプログラムのことかと思うたがよ。 マシン・シティからマトリックスへ、あの親子のようにフランス・マフィアの手引きで危ない橋を渡って逃げてくるプログラムは少数よね。 マシン・シティでは、古いプログラムは削除の憂き目の不適合者やろ?その不適合者をマトリックスへ送り出すというシステムを作るのが、オラクルの目的やったがやと思うたが。 (お茶屋) おおおお!そうか〜! はぐれプログラムを救うのがオラクルの目的やったがかあ! (K) 三作目にして明らかになるオラクルの目的(ババーン)! (お茶屋) オラクルは、別に人間の味方しよったわけやないがやね(笑)。 で、目的が達成できました。今まで削除されていたプログラムが、マトリックスで生きていけるシステムが出来ることになりました。オラクルの革命やー! (K) ネオの革命と合わせて二つ。それで、『レボリューションズ』と複数形なのか。 (お茶屋) スミスが興そうとしてネオに阻まれた革命、言わば失敗した革命を入れると三つや。 |
■ 我思うゆえに我有り ■ (お茶屋) この映画、何かの象徴としてとらえる見方はできん? 形而上の世界としての見方とか。 (K) ん?どういう意味? (お茶屋) 例えば、『レボリューションズ』のラストで、「平和は続く、この次まで」という風なことをカーネルおじさんが言いよったわね。それを、現実の世界に置き換えて、「この次の戦争まで平和は続く」「人類は戦争を繰り返してきた」「新しい秩序のために戦争は必要悪だ」みたいなことを象徴しているんじゃないかとか。 または、スミスがネオと戦っているときに「なぜ、戦う?愛のためか?それは人間が作ったもので本当にはない。」みたいなこと言いよったろ。人間てなに?とか、マトリックスもザイオンも電子の世界だけど、我々が生きている現実の世界も誰かの夢かもしれないとか、その夢を見ているのは誰かとか、そういう見方もできるんじゃない? (K) そういう見方は、茶さんにまかせる。 (お茶屋) あ、そう(^_^;。 (K) う〜ん、ただね、ザイオンも電子の世界やったということになると、そもそもモーフィアスがネオに差し出した選択肢は、どっちでもよかったんじゃないかという気がしてくるね。すべては夢かという話になるもんね。我思うゆえに我有りの世界や(笑)。 (お茶屋) 何かの象徴という意味では、この映画はパソコンのハードディスクみたいなものかもしれんねえ。 マトリックスとザイオンとマシン・シティとは、ハードディスク上のクラスタみたいに区分けされちゅうし。 ラストシーンで、情報がサーッと書き換えられてマトリックスの中がきれいになった(平和になった)というイメージが描かれていたけれど、あれはスキャンディスクでエラーを探してエラーファイルを削除して、デフラグで最適化した後のような感じやね。ハードディスクの中が乱れてきたかなと思ったら、スキャンディスクやデフラグをするじゃん。あれといっしょ。 (K) そうやね。ディスク・クリーンアップみたいやね。 ------------------------------------------------------------- ■ 編集後記 ■ 私は、『マトリックス』には3作とも大いに楽しませてもらいました。映像だけでなく、毎回おどろきの連続でした。蛇足にはなりますが、驚いたことを書き記しておきたいと思います。 『マトリックス』 アンダーソン(キアヌ・リーブス)が現実と思っていた世界は、機械が人間に見せている夢(電子の世界)だった! 人間は機械につながれて電池の役目をしていた! 『マトリックス リローデッド』 オラクルは、プログラムだった(やっぱり)。 ネオは六代目で、ザイオンは過去5回お取り潰しになっていた! ザイオンも電子の世界なのか?それとも、ネオは現実世界でも使える超能力を身につけたのか!? 『マトリックス レボリューションズ』 ザイオンは電子の世界だった(やっぱり)。 オラクルの目的は、削除される予定のプログラムを救うことだった! 2003/11/23 |
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