ホームへ
・映画情報→ ・上映中&予定 ・カレンダー ・グループ ・ピックアップ
・趣   味→ ・くりからもんもん ・鬼の対談 ・ベスト・キャラ ・かるかん
 
■かるかん>アレキサンダー
[←もどる] [すすむ→]
   
アレキサンダー
指揮官の判断は、人生のすべてが反映される(byTK)
ALEXANDER
監督、脚本:オリバー・ストーン(2004年/アメリカ/2時間53分)
アレキサンダー:コリン・ファレル|オリンピアス:アンジェリーナ・ジョリー|フィリッポス:ヴァル・キルマー|ヘファイスティオン:ジェレッド・レト|クレイトス:ゲイリー・ストレッチ|プトレマイオス:アンソニー・ホプキンス|アリストテレス:クリストファー・プラマー

大変おもしろかったです。アレキサンダーが、ものすごく可哀相なんですよぉ。大王というより一人の人間としての痛みが伝わってきました。
また、アレキサンダーは、なぜ、故郷に一度も帰らず東方へと遠征を続けたのか、あるいは死の真相はいかなるものかという謎解き(オリバー・ストーンの解釈)が大変おもしろかったです。
更に、ストーン監督は、この若き王をとても好きだけれど、決してアイドル視することなく、王に対する評価が客観的だったので、知的な面でも満足しました。

それと登場人物の顔が傷だらけということに感心しました。ベトナムで地獄を見たストーン監督ならではのリアリティ追求だと思いました。
リアリティといえば、アレキサンダーが戦って負けた唯一の人物ヘファイスティオンが、ちっとも強そうに見えないんですけど(笑)。う〜ん、子どもの頃に負けたというだけのことかな、それとも小さくても侮れない舞の海みたいなヤツだったということでしょうか。ま、そんなことは、どうでもいいか(笑)。

●ネタバレ感想(全部ばらしています。)

仲の悪い両親に挟まれた子どもはつらいです。母には王になるようプレッシャーをかけられ、父には王座を脅かす気かと疑われ、それは眉も八の字になりますわ。
東方へ遠征した理由は、「理想郷作り」「英雄として名を残す」に加えて、「母の元から離れていたい」というのが大きかったとは、おもしろいですねー(拍手)。
そんなわけで、いっしょに戦う兵士が、故郷に帰って妻子に会いたいと遠征続行に異議を唱えても、アレキサンダーは帰りたくないのよ。心の友ヘファイスティオンがいっしょに遠征しているから、日が暮れれば故郷に帰ったも同然だし。
それにしても、母親と離れていたいのに、選んだ結婚相手が母そっくりとは、呪縛はきついですね〜。
部下の不満がどんどん溜まっていくなかで、常に父王と比較されるのも気の毒だし。
そして、ついには部下に裏切られ、毒を盛られるわけですが、毒杯とわかっていても飲み干す心境、わかります(涙)。

プトレマイオスがアレキサンダーについて述べる言葉は、ストーン監督の大王に対する論評と言ってよいでしょう。
「蛮族といわれていた東方の人々を蔑むことなく理想郷を作ろうとしたことは素晴らしいが、相手にとってみれば侵略だし、理想郷など理解できない部下にとっては、ついて行けない指揮官であり、思いどおりにならないと部下を殺すような激情家だから、殺される前に殺した。」

そういうプトレマイオスの指には、アレキサンダーの形見の指輪が。
大王亡き後、後継者争いが散々だったと述懐するプトレマイオスの眼前に広がるのどかな地中海。地図や書物や彫像に囲まれた図書館で東方遠征箪を口述筆記させる彼こそ、大王が求めた理想郷を理解するに至った初めての人物、心の後継者ということでしょうか。

高知松竹ピカデリー 2005/2/10


  [うえ↑]
ホームサイトマップサイト内検索リンク自由|byお茶屋(連絡先)