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■かるかん>空中庭園|ニュー・ワールド
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空中庭園
誕生日は大事な日
監督:豊田利晃(2005年/日本/114分)
京橋絵里子:小泉今日子|京橋貴史:板尾創路|京橋マナ:鈴木杏|京橋航:広田雅裕|ミーナ:ソニン|木ノ崎さと子:大楠道代|絵里子の兄:國村隼

大変おもしろかったです。恋愛映画は鬼門でも、家族映画は任せなさいって感じ(笑)。
小道具の使い方はうまいし、印象的なセリフはあるし、不安定な心持ちを表す映像表現はこちらまで目まいがするほどだし、ちょっと笑えるし、コンパクトに引き締まった佳作でした。
主人公の絵里子(小泉今日子)は、母(大楠道代)と折り合いが悪く、家を出たいがために早くに結婚し、母を反面教師として幸せな(?)家庭を築き、維持するのに必死です。その幸せな家庭が、各人の秘密が露わになったことで風前の灯!家庭第一にしてきた絵里子のアイデンティティも崩壊の危機に!

●ネタバレ感想

伝説のバベルの塔は、崩れ去るものの代名詞と言ってよいかもしれません。冒頭、このバベルの塔が小道具として映し出されます。絵里子が築き上げた家庭が、この塔のように崩れていくのではないかとハラハラさせられます。
でもまあ、家族というのはよくしたもので、多少、険悪な雰囲気になったからといって、すぐに崩壊するわけではなさそうです。あの帰りのバスでの父と子どもの遣り取り、よかったな〜。絵里子、愛されてるじゃん。
バビロンの空中庭園は、どうやって給水したのか謎らしいですが、家族の愛もどうやって育まれるのか謎といえば謎です。うまくいっていれば、謎を感じずにすむのでしょうが、絵里子の母も彼女なりに娘を愛していたのに、娘本人には伝わらなかったしねぇ。
母から愛されていないというのは、絵里子の思い込みだったわけですが、「思い込みは本当のことを見えなくする」というセリフを彼女の息子に言わせているのがよかったです。息子、母親のことをよく見てるわ。(この子は、人が幸せに暮せる建物を考えている子で、窓の有り無しや、日当たりの良し悪しまで幸せ感に影響かあるかどうか含めて研究しています。いい子だ〜。姉のほうは、生殖と誕生の神秘を研究中。おもしろい子だ〜。さすが鈴木杏ちゃん(笑)。)

絵里子は、母から「お誕生日、おめでとう」という電話をもらって、初めて愛されていることを実感します。そして、彼女は産声をあげるのです。「人は血まみれで生まれてくる」というセリフが伏線になっていて、文字どおり血まみれで産声をあげる姿が映像化されています。小さな子供みたいな顔で泣くのですが、小泉今日子の童顔が生かされていましたね〜。
産みの苦しみとよく言われますが、生まれる方も相当に苦しい。彼女が本当に生まれるまで、どんなに苦しかったことか。愛されていないという幻の苦しみだったのですが。でも、これからは、ずっと楽に生きられるのではないでしょうか。

MovieJunky 高知県立美術館ホール 2006/4/19
 
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ニュー・ワールド
女、自然、自由
THE NEW WORLD
監督:テレンス・マリック(2005年/アメリカ/135分)
ジョン・スミス:コリン・ファレル|ポカホンタス:クオリアンカ・キルヒャー|ジョン・ロルフ:クリスチャン・ベール|クリストファー・プラマー|デヴィッド・シューリス

ポカホンタスとスミス大尉の恋の行方がどうなるどうなる!?という感じで、前半がすごくおもしろかったです。後半は、ポカホンタスに生気がなくなり、ややつまらなく感じました。
しかーし、観終えてつらつら考えてみるに、後半こそがポカホンタスの魂の見せ所と申しましょうか、すごいところなのだと思えてきました。

●ネタバレ感想

自然体というのは、最も自由な姿かもしれません。ポカホンタスが、自然の中で生き生きと輝いている姿はたいそう美しく、それだけで何時間でも観ていられそうな気がしました。
また、恋する大尉に食料を持っていったり、砦が襲撃されることを前もって教えたり、敵方に協力することになるのを承知で行うとは、誠に勇気があると思いました。

そんな彼女が、敵方の捕虜となりながら英語を学んだり、洗礼を受ける姿は、スミス大尉が死んだと知らされたせいもあって生彩を欠いていました。
しかし、考えてみたら異文化圏にたった一人で暮らし、その文化を受容できる柔軟性は、大したものだと思います。また、ロルフと結婚し、彼を愛そうと努めるところや、スミス大尉が生きていたと知ったときのロルフに対する態度は、どちらの男性に対しても誠実であると思いました。
更に、イギリスに渡ったときの目新しいものへの好奇心は、恐れを知らない子供のようで、異人種であるスミス大尉に出会ったときの魂のありようと変わりがありません。
要するに、彼女はどこで暮そうと、アメリカの原生林で暮していたときと同じ自然体のままだったのです。スミス大尉が言う「妬みもない、所有の概念もない夢の国」を追い出された少女が、所有欲バリバリのニュー・ワールドにあって母となっても「夢の国」の住人の心のまま生きている。
テレンス・マリック監督は、ポカホンタスという自然を描きたかったのかもしれません。

TOHOシネマズ高知3 2006/4/22
 
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