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■鬼の対談>プレッジ



 
『プレッジ』は、元刑事ジェリー(ジャック・ニコルソン)が、退職直前にあった幼女殺害事件の遺族に必ず犯人を捕まえると誓ったことにより、少しずつ運命を狂わせて行くお話です。監督は、ショーン・ペン。ロビン・ライト・ペンも出演しています。


 
呪い

(うめ)
あのお母さん、なに!もう!「魂にかけて誓うか」って。

(みわ)
そうでしたね。ちょっと、怖かったですね。
無理やり誓わせて、ニコルソンに呪いを掛けたみたいでしたね。

(うめ)
そうそう!呪いやあれは。

(お茶)
魔女みたいやったね。子どもを殺されちゅうき大目に見なあとも思うたけど。

(うめ)
そりゃ、そうやけど。あの時点で何もあんなに強引に迫らんでも。ニコルソンは、あのとき呪いにかけられたも同然で。


囮(おとり)


(お茶)
それにしても、この映画、怖かった〜。この人(ニコルソン)、あの女の子を囮にするがやと思うたら、はらはらドキドキで胃が痛かったで。

(みわ)
怖かったですかね〜?それに本当に囮にしようと思うちょったんですかね?

(お茶)
そりゃ、囮でしょう!
湖のほとりのロッジのテレビで「大きい魚を釣るには、活きのいい小さい魚をエサに」と言いよったろ。そのあと、ロビン・ライトの娘が出てきたとき、「あー、この子を囮にする気や」と気が気じゃなかったで。
まあ、はっきり言葉で「この子を囮にしよう」とは意識してなかったかもしれないけれど、赤い服の感想を聞かれて「いいんじゃない」とか、ブランコを道路脇に設置したりとか、怖かった〜。

(うめ)
えええ!ちょっと、待ってください(挙手)。それは囮というとマスコミとかにも叩かれて悪う書かれるろうし、母親のロビン・ライトの気持ちになったら当然怒るで。それはわかるけど、観客である私らあは、ニコルソンの推理が当たっちゅうことも知っちゅうし、ニコルソンがあの子を傷つける気が毛頭ないというのも知っちゅうし。それに、もし、ニコルソンがおらんかったら、あの子は殺されちょったかもしれんがで。ニコルソンは、悪くないと思います(必死)。囮やったとしても良い囮やと思います。

(お茶)
うんそう、あれは良い囮よ。悪うない。
悪いのは、あのざっとした警察よえ。なに!?あの警察。


警察


(うめ)
それがようわからんかったところながよね。
なんで?あんなことで犯人と決めつけてえいが?

(みわ)
それは、事件がめったにない田舎の警察ですから。
あんな自白だけで物的証拠は何もない状態で、裁判になったら勝てんでしょうと思いよったら、容疑者が自殺したでしょう。自殺したらいかんろう!(笑)
あのボタンも絶対、鑑識に回してないですよ。

(うめ)
ボタン?

(みわ)
最初、遺体発見現場で、ニコルソンが相棒に「ボタンを鑑識に回せ(指紋が取れるかも)。」と言うたら、相棒は「あ、忘れてた。」でしょう。

(お茶)
忘れちょったはないでねえ(笑)。

(みわ)
そういう事件がめったにないような、田舎の警察ですから、捜査もずさんなんしょうね。

(うめ)
なるほどー!大いに納得(感心)。

(お茶)
いんや、私はなっとくできんでぇ。署長がサム・シェパードで!サム・シェパードのような腕利きが、そんなずさんな捜査をするわけないと思わん?これは、完全にミスキャストやね!別の町で出てきた筋肉ばっかり鍛えゆようなマッチョな警官が署長やったらわかるけど。

(みわ)
くすくす(笑)。ちょっと太ってボケたようなおじさんがやったらよかったかも?

(お茶)
そうそう。サム・シェパードやったら、切れ者にしか見えんやん。


いつから


(お茶)
それにしても、ニコルソンの演技、うまいねえ。いつから狂うたかわからない。狂うというニュアンスとは違うけど。

(うめ)
いつからタバコを吸うようになったかわからんし。

(みわ)
最初、両親のところへ子どもが殺されたことを報告に行ったときは吸ってなかったですよね。

(うめ)
あのパレードで第一発見者の男の子が出てきたがは、あれはニコルソンが見た妄想?

(お茶)
うん、そうやろ。はよう真犯人を捕まえなという強迫観念が見せたんじゃないろうか。

(うめ)
呪いを掛けられちょったきねえ(笑)。
そしたら、そのときから狂い始めたということ?

(お茶)
う〜ん、そういうわけでもないと思うけど。
ただ、ニコルソンは、映画の冒頭から孤独感ひしひしで、自分のためのパーティにも溶け込めてなかったろ。だから、狂ったのはこの事件のためばっかりじゃなくて、退職後の孤独もあったんじゃないろうかねぇ。

(うめ)
そしたら、この事件がなくても狂っていたかもと?

(お茶)
う〜ん、そういうわけじゃないけど、事件ばかりじゃないと思うで。

(みわ)
あのパレードの男の子がニコルソンの妄想としたら、あの夫婦(冒頭で殺された女の子の両親)も妄想なんですね。
車で肥料か何か買い物に来ていたので、「あれ?近くに住みゆうがやろうか」と不思議だったんですけど。

(お茶)
あー、そっか!あの夫婦も妄想やったんや。私はてっきり本物かと思うちょった!


新しい家族?


(お茶)
ニコルソンの孤独が、よう描けっちょったでねえ。刑事一筋でやってきて、離婚歴2回。仕事のために家庭生活が犠牲になったんやろうねえ。それが、定年後することがない。釣りは生き甲斐にはなってなかったのね。この事件が生き甲斐になったのかも。

(うめ)
ロビン・ライトとその娘と生活して幸せそうやったよね。子どもを守るためにブランコを見えるところに設置したり。

(お茶)
いや、あれは守るばっかりじゃないで。子どもを囮にしようという気持ちもある。どちらにも取れるというか、二重の意味がある。だから、私はハラハラしたで。

(うめ)
え、けど、あの子を本当に可愛がって、毎晩お話をして聞かせたりしよったろ。離婚歴2回で、かつては失敗した家庭生活やけど、こんどこそという気持ちがあったがやないろうか。

(お茶)
う〜ん、そうかなあ?

(みわ)
だいたい、退職した年も離れたおじさんとあんな関係になるかなあ?ちょっと違和感があります。

(お茶)
私もあれはロビン・ライトが寂しさのあまりの一夜限りの出来事かと思ったので、ロビン・ライトが家族をやっていこうとしているのに「あれ?」と思うた。

(うめ)
ロビン・ライトから子どもが教会へ行ったと聞いて、ニコルソンが必死で教会へ掛けつけるところは、私は「早う早う」という気持ちでいっぱいやったで。

(お茶)
そしたら、あの映像は衝撃やったろう。

(うめ)
そう。その前から子どもの死体写真がリアルやったし。

(みわ)
私は牧場の鉄条網を突破して行ったので、器物損壊でつかまるじゃないかと思ってました。

(お茶)
ははは。私も〜(笑)。


時計


(お茶)
ショーン・ペンは、あいかわらず演出下手やったねえ。パーティのシーンと第一発見者のシーンの切り返しとか。
でも、映画は演出の上手下手じゃないねえ。
それに、ようワイドスクリーンで撮ったね。(あんまり、活かせていたとは思えないけど。)
俳優を信じて俳優に任せているのは、ペン自身が俳優やきやろうか?
ミッキー・ロークなんか芝居のさせすぎって感じがしたけど。

(みわ)
俯瞰ショットが多かったですね。
ミッキ・ロークといえば、久々でしたね。どこに出るろうと思いよったら後姿で、私はミッキー・ロークが犯人かと思いました。

(うめ)
私は牧師さんが犯人かと(笑)。

(お茶)
私はニコルソンが犯人かと(笑)。

(お茶)
ねえねえ、時計が頻繁に出てきたけど、時計にはどういう意味があるが?

(みわ)
最初の方は、退職まであと6時間というのを表していて、その次は飛行機の離陸までの時間を表してたんじゃないですか。なんか、湖で釣りをするときは時計を内ポケットにしまっていたと思うけど、そんなシーンが2、3回ありませんでした?

(お茶)
あったあった、釣りのときに何回か時計が出てきた。
釣りのとき、ポケットに時計をしまうのは、ニコルソンにとって釣りが唯一時間を気にしないでいられるくつろぎのときということ?

(みわ)
そうじゃないでしょうかねー。
あと、あそこ(湖)へ行ってからジェリーの時間が止まってしまったとか?止めたかったとか?

(お茶)
なるほどーーー!すごい、すごい(拍手)。
私はどうしてあんなに時計が頻繁に出るのかさっぱわわからんかったき、教えてもろうてよかったわ。

(うめ)
退職まで6時間といえば、私は6時間で事件が解決するかと思うちょった。それで映画もその6時間を描いたものかと思いよった。

(お茶)
そしたら、2年かかった(笑)。

(うめ)
おかげできれいな景色が見れたね。

(お茶)
エンドクレジットが短こうてよかったね。

(うめ)
そうやね、短かったね。

(お茶)
SFXとかVFXとか使われちょったら、エンドロールが延々と続くで。

(みわ)
あ、ILMだったか、ルーカスが主宰する会社がクレジットされていましたよ。

(お茶)
へえ〜!そう。
どこに使われちょったがやろ?

(みわ)
最初の鳥が飛ぶシーンとか?

(お茶)
あのニコルソンと鳥のオーバーラップが?

(みわ)
う〜ん、そこはちがうんじゃないかと思いますが、わかりませんね〜。
デル・トロがピストルで自殺するところかも?

(お茶)
わからんね〜。


いつまでも


(うめ)
しかし、みごとにだれも報われんかったねー。

(お茶)
牧師さんは報われたで?教会に来てもろうて(笑)。

(うめ)
まあ、牧師さんは報われても、誰にもわかってもらえない、ニコルソンかわいそー。
犯人の車が燃えているのを見て、スタンがサングラスのけて見たので、犯人やと気づくかと思ったら「ああ、焼けてる、焼けてる」ってそらないろ!

(みわ)
車が燃えるシーンの後、ニコルソンのボロボロの靴とズボンが映ったところ。始めどこにいるのかわからなくて、ガソリンスタンドとわかるまでは、キャンプ場でずーっと犯人を待ち続けゆかと思いましたよ。

(うめ)
私も。キャンプ場で暮らしゆかと思うた。
あのガソリンスタンドは、もう、やりやせんがでね。食べるものとかどうしゆろ?
傍らに古びた自転車があって・・・。あそこからキャンプ場へ通いゆがやろうね。

(みわ)
きっと、そうでしょうね。


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<<編集後記>>
うえの対談で、なぜ、時計が頻繁に映し出されるのか話し合っていますが、その話の内容を岡山で映画を観よう!!!のほーくさんにかいつまんでお知らせすると、たいへん興味を持ってくださいました。ほーくさんの解釈もたいへん興味深いと思いますので、以下に了承を得て引用させていただきます。

----------------------ほーくさんの解釈----------------------
なるほど、時計という小道具を用いて、ジェリーの心理状態を象徴していたとも考えられますね。
退職までの時間→タイムリミットまでの焦燥感および将来への不安
離陸までの時間→心残りをのこしたまま逡巡しているが決断を迫られる。また、バカンス自体に実はそれほど心が騒がない、それよりも現場の緊張感への郷愁のほうが勝る。
釣りをするときは時計をしまう→このときだけ、ジェリーは刑事という衣を脱いでいられる。時間という拘束感のない、解放的な状態。
後半は時計がなくなる→もはやジェリーはメビウスの輪という永遠の牢獄の囚われてしまっている。
----------------------------以上----------------------------


うえの対談の3人は、ラストで焼死した者が真犯人だと思って感想を話し合っていました。けれども、真犯人はとっくに挙がっていて、すべてはジェリーの妄想だという解釈も可能なように作られているという人もいます。
いずれにしても、ジェリーが持っている仕事への誇りと未練、退職後の孤独は、充分感じることができました。 普通の人の身につまされる心の動きを描くことに専心しているショーン・ペン監督ならではの作品だと思います。
2003/2/23


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