『マン・オン・ザ・ムーン』の笑い

今の日本のお笑いでは、アンディに近いことを
やっていますね。お客さんを出汁にしたり
あえ物にしたり・・・。そういう笑いの取り方は、
私はあまり好きではないのですが受けているようです。
これはコメディアンが客をおもちゃにして笑わせる
という周囲の合意があってこそ初めて笑いが取れるわけで、
今の日本ではそいういう雰囲気が出来上がっていますが、
そんな雰囲気のない過去のアメリカで、
アンディのようにヤラセであることを伏せたまま
やってしまうと人を不愉快にさせ反感を買うだけです。
まる

ヤラセという "お約束" をどこかで明かさないと、
人は愉快に楽しく笑えないでしょう。
愉快な楽しい笑いには、安心感が必要なのです。
不安を煽ってはいけません。
だから、カーネギーホールで老女優が倒れたとき
ビックリした観客も、アンディが頭に羽を飾りイン
ディアンの祈とうしよろしく登場したときには、
ヤラセとわかり楽しめる余裕ができたと思います。

まる

一方、知らぬが仏という言葉があるように、
ヤラセと知らないままの方がよい場合もあります。
アンディは癌に冒されて、フィリピンの診療所に趣き
超自然&超科学的な治療を受けますが、
彼はタネと仕掛けを目撃してしまい、
インチキ治療と知るのです。
この時、彼は自嘲気味に笑います。「今まで、
さんざん人をだまし、驚かせてきたけれど、今度は
自分か。フィリピンだぜ、おい。」
泣くに泣けないこの笑い。苦うございました。

まる

泣き笑いといえば、アンディのお葬式は
泣き笑いでしたね。
スクリーンに映し出されたアンディの音頭で
隣り合った人たちが肩を組みいっしょに歌うのです。
こういう温かい笑いがラスト近くにあると、
映画のポイントがあがりますよね〜(^_^)。




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