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サイン
ミステリーサークルは地球滅亡のサイン?
Signs
監督&脚本:M・ナイト・シャマラン
メル・ギブソン|ホアキン・フェニックス|ローリー・カルキン

ホアキン・フェニックス、すばらしい!彼はこれまで繊細な役柄が多かったですよね。今回は、健全な若者です。それが見事に嵌っています。役の幅が広がりました。たのもしいですね。
ローリー・カルキンは、マコーレイやキーランの弟でしょうか?これからも数年毎にカルキン坊や登場するのか な?

ところで、この映画、どんな映画かというと、変な映画です(笑)。薄っぺらいな〜と思いまいた。

●ネタバレ感想

シャマランが描きたかったことは、ギブソンが、妻の死に際の言葉や娘のおかしな性癖、そして、息子の喘息などが結果として息子自身を生かすことになったと思うに至ったことだと思います。
そこにつなげるのに、宇宙人襲来かよと半ば飽きれるわけですが、まあ、斬新といえば斬新です。
でも、伏線の張り方が上手とは言い難いと思いました。まあまあだったのは、壁にかけてあるバットです。これくらいのさりげなさでなくっちゃ。
伏線で私が最も下手だと思ったのは、娘の性癖で水の入ったコップを室内のあちこちに置いていること。あまりにも意味深に描き過ぎていたため、宇宙人撃退に役だった感動よりも、何だそういうわけかと興ざめが先に立ってしまいました。
宇宙人がガスを吐くというラジオのニュースも伏線ですが、上手くないですよね。実際ガスを吐いたときには何だか笑えたし、喘息でガスを吸わなかったから助かったって言われても、笑った後ではギブソンのように感動はできません。

「偶然の出来事と結果の間に因果関係を見出す。その因果づけの理由として神や超自然を持ってくる。」このような話は、大変おもしろくて好きです。陰陽師だって偶然を偶然ととらえませんしね。ギブソンが偶然を神のサインと受けとめ信仰を取り戻したことは理解できます。
そういう興味深い話を宇宙人襲来をとおして描くのも一つの方法かとは思いますが、それならそれでもっと丁寧に描いてほしかったな〜。
冒頭、メル・ギブソンの慌てぶりと子どもがトウモロコシ畑にいるのを見て、この子は夢遊病かと思ったのですが、夢遊病かどうかはどうでもいいことだったみたいです。他にも色々ほとんどのことはどうでもいいみたいに感じられます。観客の興味を引いただけで、興味を引いた一つ一つには納得のいく答えは与えられていません。観客への「サイン」がすべては、ギブソン牧師復活に向けての偶然だったとは、シャマラン監督、徹底していますね〜(笑)。私は納得いかないけど。
絵的にしまりがなくてスカスカした印象だし、妻が死んでも息子が息を吹き返してもさほど心は動かされず、したがって、ギブソンの様子が白々しく見えたくらいでして。また、信仰をなくしたから牧師を辞めて、信仰を取り戻したから牧師に復活するというのは、いかにも薄っぺらいです。信仰をなくしたまま牧師を続けていた方がよかったのに。

高知東宝1 2002/09/21


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死ぬも生きるも定めだけれど・・・・
監督:篠原哲雄|原作:柳美里
東由多加:豊川悦司|柳美里:江角マキコ

なかなか見応えありました。死ぬことを怖れなかった東が、子供が生まれて、この子といっしょに歩ける日まで生きていられないと思ったときの様子が切なかったです。また、東に「僕が死んだら、あなた、後を追うでしょ。」と言われていた柳が東の死後どうするのか、ちょっとドキドキしました。
しかーし、ここではメインの話は置いといて、俳優の話をさせて頂きます。

江角マキコは、あの殺しても死ななさそうな生命力を抑えたうえ、時折爆発しそうになる情熱を垣間見せ、自殺未遂を繰り返したことのある主人公を好演していました(拍手)。
そして、驚いた、驚いた。この映画の豊川悦司は素晴らしい!
私は『きらきらひかる』や『12人の優しい日本人』で彼を知って、ドラマも追っかけをしておりました。そして、この人は喜劇しかできない人ではなかろうかと思っていたのです。なーんか、笑えるんですよね。軽いんです。NHKで宮沢りえと牡丹燈篭なかんかをやったことがあって、まじめなシーンなんですが「立つとゆれますぅ」というセリフに吹きだしてしまったことが懐かしく思い出されます。
その悦っちゃん(我が家ではそう呼んでいます。)が、思い出シーンではピタピタのシャツもセクシーに、闘病シーンでは様々な感情を時に壮絶に時に穏やかににじませ、私を一度も笑わせず感動を与えてくれたのです。これが喜ばずにいられましょうか。
以前、悦っちゃんが金田一こうすけをやったときに、下駄に慣れるため、撮影に入る前から下駄履きで生活していたという話を聞いて、『外科室』で高下駄を履いて足をくじきやしまいかと観客をハラハラさせた加藤雅也とつい比較したものでした。今回も役作りは万全だったようで、『フィラデルフィア』のトム・ハンクスがアカデミー賞受賞なら、悦っちゃんには両手にオスカーやってもいいんじゃないでしょうか。かなり私情が入っていますか(笑)。

高知東映 2002/09/21


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