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■かるかん>チョムスキー9.11|007 ダイ・アナザー・デイ
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チョムスキー9.11
反権力の言語学者、主にアメリカを批判する
監督:ジャン・ユンカーマン|音楽:忌野清志郎

このドキュメンタリーでチョムスキーが語っていることは、2001年9月11日のテロ以降、私が雑誌や本で読んだチョムスキーの主張と変わったところはなかったので、話の内容にはあまり新鮮味はありませんでした。むしろ、チョムスキーの講演を聴きに来ている人たちや、熱心に質問をしている姿を目にして、アメリカ批判に耳を傾けるアメリカ人もいるのだと、希望のようなものを感じました。チョムスキーも、9.11のテロでアメリカ人は目覚める(なぜ、アメリカが憎まれるか考えるようになる)と前向きにとらえており、映画自体が未来へ向って明るい印象になっています。

それにしてもチョムスキーの頭の中の情報量を想像すると感嘆しきりです。世界の片隅で起こった出来事を逐一知っている(記憶している)のがすごいし、報道されていない情報を知っているのもすごい。どこからそんな情報を仕入れるのでしょう?世界中に仲間がいてインターネットで情報交換をしているのでしょうか?そのへんを取材してほしかったと思いました。

話の内容に新鮮味がなくとも、少々気になる言葉がいくつかありました。その中からひとつ。
「知識人は戦争に反対しない」という言葉が印象に残っています。
こう聴いただけなら、知識人だって戦争に反対するだろう、チョムスキーもおかしなことを言うくらいに聞き流していたかもしれません。ところが、このドキュメンタリーを見るずっと前に、加藤周一の著書(「私にとっての20世紀」)で、同じようなことを書いていたので印象に残ったのでした。

加藤周一の言っていたことを、お茶屋の言葉に置きかえるとこうなります。
歴史的事件について「あれは、これこれこういう事件だった」と言うためには、原因を探り当て、その原因から結果に至るまでの経緯の一つ一つをつなげる作業が必要ですが、この作業に精通していればしているほど、結果が必然的に思えてくるというのです。
例えば、政治学あるいは歴史学専門の学者であれば、その学問が進むほど、現在起こっている戦争について、「これがああなって、あれがそうなったから戦争になった。ああなったことも、そうなったことも今となっては変えようがないから、戦争になるのはやむを得ない。」と思えてくるので、戦争反対と言えなくなるというのです。
わかったようなわからんような話ですが(^_^;、確かにそういうことってあるような気がします。また、それは知識人や学者に限ったことではないように思います。変に事情通になって(知ったかぶりを含む)、「やむを得ない戦争だ」ということのないようにしたいものです。

チョムスキーは知識人ですが、知識人が陥るうえのような罠には嵌っていません。それは何でだろうと考えてみるに、やはり爆弾を落とされる側の立場に立っているからだと思います。
映画のチョムスキーは、柔和な笑みをたたえユーモアがありました。ユーモアは、他人への思いやりがないとなかなか生まれません。(と私は思っています。)
映画を見ながら、チョムスキーは、踏みつけられる人の側に立てる想像力とユーモアを持っている人だなあと思っていました。そして、見終わってから、チョムスキーだって不機嫌なときもあるだろうから、そういう顔も見てみたかったな〜と思ったことでした。

ユーロスペース(東京渋谷) 2002/10/13


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007 ダイ・アナザー・デイ
荒唐無稽な完全娯楽作
Die Another Day
監督:リー・タマホリ
ジェームズ・ボンド:ピアース・ブロスナン|ジンクス:ハル・ベリー|つるつるの悪役の人:だれ?

ジェームズ・ボンドが北朝鮮を脱出してからジンクス(ハル・ベリー)登場の肝心のシーンまで居眠りしていましたが(^_^;、普通におもしろかったです。ボンドが危機一髪を切り抜けるたびに、「うっそー!」((^Q^)きゃはははは)という感じで、ホント、あほらしくて楽しかったです。それに、悪役(つるつるの人)がカッコイー!この人を殺すのは、もったいないですねぇ。
始めの方で北朝鮮人の悪役をやった若手二人もカッコよかったです。特に部下の方。
将軍様は、(演じた人には申し訳ないけど)締りがなさすぎ。
フェンシングの人は、ヒュー・グラントとジュード・ロウをミックスしたみたいな顔でありながら、魅力倍増とは言えないところが惜しい(笑)。
それから、将軍様とその息子の父子の葛藤があったりして、悪役にもドラマありですかと、これもちょっと可笑しかったです。息子とその部下は、仲良いし(笑)。裏切り者を含めて、悪役はまずまずでした。

というふうに楽しめはしたものの、今作の数々のアクションシーンで、前作『ワールド・イズ・ノット・イナフ』のテムズ川のボートチェイスに匹敵するような素晴らしいシーン(迫力満点、景色も満点)は、残念ながらありませんでした。『トゥモロー・ネバー・ダイ』の香港でのバイク・アクションに匹敵するようなカッコいいシーンもなかったし、アクション中に、変な笑いを取りすぎたんじゃないですか?あるいは火薬に頼りすぎ。もうちょっと、工夫してもらわんと。
北朝鮮、キューバ、アイスランドが舞台になっていたわけですが、いい絵が撮れてないのも残念なところ。どこでロケーションしたのかなあ。ともあれ、私にはあんまり記憶に残りそうな映画ではありませんでした。

高知松竹1 2003/03/18


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