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■かるかん>阿修羅のごとく|エデンより彼方に
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阿修羅のごとく
波風の立たぬところに阿修羅あり
監督:森田芳光|原作:向田邦子|脚本:筒井ともみ(2003年 日本 2時間15分)
三田綱子:大竹しのぶ|里見巻子:黒木瞳|竹沢滝子:深津絵里|竹沢咲子:深田恭子|里見鷹男:小林薫|勝又静雄:中村獅童|陣内英光:RIKIYA|坂東三津五郎|桃井かおり|木村佳乃|紺野美紗子|竹沢ふじ:八千草薫|竹沢恒太郎:仲代達矢

なかなか面白かったです。こういう画面の隅々まで丁寧に作りこまれた映画っていいですね。それに加えて、原作が定評のある向田邦子で、監督が森田芳光とくれば、ハズレはないのであります。味のあるコメディに仕上がっていました。
配役も完璧で演技陣はいずれ劣らぬ芸達者。大竹しのぶと桃井かおりの愛人と正妻対決なんか、笑わせながらも女の悲しさが漂う名場面。また、母の病室に集った登場人物が、それぞれの思いを浮気された母又は浮気した父に仮託して思いの丈をぶつけ合ったりぶつけ合わなかったりの修羅場のすさまじさ。
そんな役者揃いの中で一人あげるとしたら、『ピンポン』で眉毛と頭を剃って、CMではプラチナブロンドで、ここでは七三分けで緊張・恐縮ぶりをチャーミングに演じた中村獅童を!もう、さいこー!

ただ、なんか古いな〜と思ったんですよね。それは、猜疑心や嫉妬心を抱いて息が詰まる思いをしながら、模範的な主婦を演じている女性像が古いってことなんだと思います。若い四女の咲子でさえ、恋人の浮気を許そうと懸命で、減量中なのにラーメンを食べたことの方に怒りを傾注させているし。それだけ舞台となった二十数年前が古い時代になったということなのでしょうか。
仮に、この映画が阿修羅を阿修羅的に描いたとしたら、重苦しくなったでしょう。阿修羅をコミカルに描いたところが、この作品の新しさなのかもしれません。

それにしても昔は、男女関係で阿修羅になるのは女で、仕事関係で阿修羅になるのは男だったかもしれませんが、今はもう入り乱れていますね(多分)。昔も今も、感情を表に出さない方が丸く収まることというのはあると思います。そうすると丸く収まらないのは自分(の感情)であって、そこに自分自身との戦いが生じるわけですが、「雨降って地固まる」という言葉もあるように感情を表に出した方がよい結果になる場合があるわけでして。内なる阿修羅に止めておいても苦しいし、阿修羅を表に出して修羅場に立つのもしんどいし、やっぱ、悟りを開いてのほほんとするのが夢ですなあ。

高知東宝3 2003/11/09


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エデンより彼方に
理性の彼方に
Far From Heaven
監督、脚本:トッド・ヘインズ(2002年  106分)
キャシー:ジュリアン・ムーア|名前なんだっけ?:デニス・クエイド|レイモンド:デニス・ヘイズバート

おもしろかたです。トッド・ヘインズ監督作品は、『ベルベット・ゴールドマイン』しか見たことないくせに言うのもなんですが、こんなに堂々としたメロドラマを撮れる人とは思っておらず(別に嫌いだったわけではありませんが)、見くびっていてすみませんでした(平謝り)。
いかにも50年代の映画のようで、ひととき、クラシックな気分に浸らせてもらいました。

どこがメロドラマかといって、主人公キャシーの理性がぶっ飛ぶところです。レイモンドの娘が怪我をしたと聞いて彼の元に駆けつけるとき、彼女は世間の目も離婚のことも子供たちのことも頭から飛んでいました。これだけ理性がぶっ飛ばないとメロドラマにはならないんですね〜。
それから、人種差別や夫の秘密の問題を適度な比重で描いているのもよかったです。あまりそこに比重を置くとメロドラマというより社会派作品になってしまいますので。
メロドラマの定石で、あくまでも主人公に寄り添って撮られているため、私のお気に入りの俳優デニス・クエイドの出番は少なかったですが、とっても渋く暗く哀しく役を演じて、今まで見たことのない彼を見せてもらって満足でした。

Movie Junky 高知県民文化ホール(グリーン) 2003/11/12


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