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■かるかん>ブラッケージ・アイズ2003−2004
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スタン・ブラッケージ特集上映 ブラッケージ・アイズ2003−2004
プログラム3『アヴァンギャルド・ホームムービー』Filmes by stan brakhage:An Avant-Garde Home Movie(1961年4分)/Nightcats(1956年10分)/Loving(1957年5分)/Cat's Cradle(1959年8分)/Wedlock House:An intercourse(1959年12分)/Sirius Remembered(1959年11分)/Pasht(1965年6分)/Window Water Baby Moving(1959年12分)
プログラム4『ドッグ・スター・マン』Dog Star Man:Prelude(1961年26分)/Dog Star Man:PartI(1962年30分)/Dog Star Man:PartII(1963年7分)/Dog Star Man:PartIII(1964年8分)/Dog Star Man:PartIV(1964年7分)

全部で15プログラム(合計88本)をたったの4日間で上映するなんて、そんな御無体な。というわけで、プログラム3と4だけを見てきました。どちらも大変面白かったです。(でも、『ドッグ・スター・マン』は半分くらい寝てしまいました。言い訳すると、チカチカピカピカパッパッパという風に画面が動くので、どうしてもまばたきが多くなって、1時間くらい運転をしてきた目にはつらかったのです。)

プログラム3『アヴァンギャルド・ホームムービー』
ホームムービーって言うから、家でビデオを撮るときの参考になるかなと思いながら見始めたのですが、そりゃ、とんでもなかったです。なるほど、アヴァンギャルドだわ。
被写体に選んだものは、確かに身の回りのものだけど、一般の人々が撮らないようなものを撮らないような撮り方で撮って、凝りに凝った編集をしているのです。
夜の猫たちを監督自ら茂みに入ってとても近くで撮っているのですが、その撮っている様子を想像したら可笑しいですね。8ミリだか何だかのフィルムのついたカメラと照明を持って、地面に寝転がって撮ったんじゃないかな〜?よくやるな〜。それだけ、暗がりにぽつんとある光が何か気になったのでしょうね。何だろうと思ってカメラを持って行くと猫だった。見ていると動き回るので面白くて撮りました。という感じかな。
動かないものでも気になるのですよね。山で見つけたタヌキだかキツネだかの死骸。接写しております。接写することで細部を見ようとしているのでしょうか。日にちが経って雪が降って、あのタヌキだかキツネだかの死骸は、いったいどうなっているのだろう。そう思ってまた撮りに行きます。雪に埋もれているな〜。また、日にちが経って、どうなっているだろうと撮りに行きます。骨と毛皮が残ったか。まだ、ちょっと肉片もくっついてるかな。
こうして見ていると、今回の特集上映に「ブラッケージ・アイズ」と名付けたのは正解だと思います。観客はブラッケージの目でいろんなモノを見るのです。
黄色い葉っぱが画面いっぱいにさんざめいて「わーっ!(きれい、高揚感)」と思ったら、木の下では(というか土の上では)ブラッケージとパートナーのジェーンが愛の交歓。紅葉した葉っぱが愛の喜びを表すかのように動き、彼らの睦まじさが美しく見えます。
そして、愛の結晶がジェーンのお腹の中で動く(このシーンはたいへんゆったりとしていて幸せ気分が横溢しています)のも目撃できるどころか、出産シーンにまで立ち会うことに・・・・。『エイリアン』より衝撃でした。まさかそんなシーンがあるとは思いもしなかったので。でも、良いお産だったみたいで(それともカットしたところがあるのかもしれませんが)よかったね。おしまいに出てくる監督自身の嬉しそうな興奮冷めやらずという顔もよかった、よかった。

プログラム4『ドッグ・スター・マン』
万華鏡のお好きな方、麻薬をやってみたい方、頭の中がサイケデリックな方、『ドッグ・スター・マン』をどうぞ!
私の後ろの席の人は、うえのいずれにも当たらなかったのでしょうか、集中できなくて、もそもそ動く衣擦れの音がずーっとしていました。私はその衣擦れの音が気になり始めて、「う〜ん、そういうときは、寝ちゃえばいいんだよ」と心の中で教えてあげたら、今度はいびきの音がし始めて、いつしか私もグーグーグー(笑)。
別にストーリーがあるでなし、寝ても一向に構わなさそうな映画でありますが、もし、集中して見られたらおそらく様々な発見があっただろうと思われます。カットとカットの間には、連想ゲームみたいなつながりや、リズムでの関連があったような気がするので。フィルムが「つながっている」というのは大事ですね。半分寝るなんて(わざとじゃないけど)、もったいないことをしました。

『アヴァンギャルド・ホームムービー』といい『ドッグ・スター・マン』といい、何がすごかといって、「撮りも撮ったり、つなぎもしたり」というのがすごいと思います。ブラッケージが何に関心を持ったか、それをどう思ったか。思いを表現するために編集作業があるのでしょう。ブラッケージの目を通してモノを見ながら、ブラッケージの人をも見る。そういう楽しみがありました。
私が見た二つのプログラムは、カット割りが大変多かったように思いますが、他のプログラムはどうなんでしょう。何を撮っているのか、どう編集しているのか。特集上映の残り2日間の上映にも関心はあったのですが、他に見たい映画もあったし、休養もしたいし、結局パスしました。面白い映画を見る機会をまた逃してしまったかもしれません。

ブラッケージ・アイズ実行委員会、高知県立美術館 同美術館ホール 2003/11/14


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