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ベルリン、僕らの革命
怒れ若人、理想を求めよ
DIE FETTEN JAHRE SIND VORBEI(THE EDUKATORS)
監督:ハンス・ワインガルトナー|挿入歌:「ハレルヤ」レナード・コーエン作、ジェフ・バックリー歌(2004年/ドイツ、オーストリア/126分)
ヤン:ダニエル・ブリュール|ユール:ジュリア・ジェンチ|ピーター:スタイプ・エルツェッグ|ハーデンベルク:ブルクハルト・クラウスナー

始めの方でこそ左翼の映画かと思いましたが、さにあらず。この映画で描かれていることを簡単にいうと「若者はいつの時代も革命家」「若気の至り」「友情と恋愛の狭間にて」、そして「若人のなれの果て」でありまして、普遍性のある青春映画となっています。
それと、邦題がいいですねえ!(原題はドイツ語(?)なので意味不明なのですが、英語の題名の意味は「教育者たち」です。)

●ネタバレ感想
ピーターがいいんですよ〜。私は彼のスキンシップが好きだわ〜。関わった人に対しての愛を感じるので。
それに何より友だち思いで、恋人のいないヤンのために美女をダンスに誘ったり。ヤンを信じきっていて、ユールが自分に冷たくなっても、ヤンとユールが異常に接近していても、疎外感を感じながらも親友と自分の恋人の仲を疑うようなことはしません。そして、親友に恋人を取られたことがわかってからも、そのせいで絶交するなんて自分の誇りが許さんというところ(拍手)。こうして黄金の三角関係が成り立つわけです。う〜ん、青春や〜。
それに作劇上もピーターのキャラは、サスペンスを盛り上げました。ピーターって何をしでかすかわからないような不気味な風貌なの。いや、心は邪気がなくて、身体はセクシーなんですが、顔が怪しいです(笑)。誘拐されたハーデンベルクは、彼のおかげで血の気の引く思いをしたことでしょう。観客としてもドキドキでした。
親友の恋人と相愛になってしまい悩むヤン。ヤンとの仲がばれたのに「私を置いていくの?」と甘えるユール(げっ)。まあ、いずれも青春ですね〜。

もう一人の重要な登場人物、3人の若者に誘拐されたハーデンベルクは、かつては社会の変革を求めて活動をしていた人です。言わば3人の先輩ですが、現在は分別のある大人らしく生活しています。また、村の公衆電話ボックスでの機転の利いた遣り取りで、彼が一角の人物であることがわかります。
この人が、3人と対話することにより自分の若い頃(理想に燃えていた頃)を思い出し、3人に理解を示し、自分の生活を「果たして、これでよかったのか」振り返るところ(中でも雄大な自然を前に、これまでとこれから先に思いを馳せているらしいところ)は、味わい深いものがあります。
このような人物像にしたからこそ、ラストの警察への通報がちっとも姑息に見えません。若者を理解し、エールを送りながらも、彼らの方法が間違っていることを示したのだと受け取れます。

若者って正義感が強いゆえに体制の腐敗や矛盾には怒りを持ち、その体制を変えようとします。しかし、思慮分別が足らぬがゆえに変革を起こす方法を誤ることがあります。そして、年を取ると仕事に追われ、金はできても暇はなく、若いときの夢も理想も忘れ去り、すっかり時の体制側に組み込まれるのです。
この法則に従って、これまでの世の中ができて来たのであるならば、時の若者に力があるとき、革命が起こるのかもしれません。(年寄りに革命は起こせん。)革命には至らなくても、理想を求める若者の姿は普遍であろうと思います。
しかしながら、今の世の中に、この映画の3人のように理想を持って世の中を変えて行こうとする若者が、どれほどいるでしょう。ハーデンベルクが若かった時代は、世界的に見て若者に力があったような気がしますが、今はいかがなものでしょう。う〜ん、日本はどうかねぇ。がんばってほしいね〜。(私も気持ち半分くらいは、まだ若いつもりだけどね〜。)

映画のラストに「お前たちはきっと一生変わらない」という張り紙が出てきます。これは3人が高飛びしたあとの部屋の壁に残されたメッセージです。
一義的には、「警察=体制=大人」に対するメッセージだと受け止めることができます。しかし、それでは社会を変革しようとする彼らの挫折を意味することになってしまいます。変えようとする相手に「お前は変わらない」と言うのはね。
だから、私はこのメッセージは、作り手から3人の若者へ向けたもの、引いては映画を見ている若者へ向けたものだと思いたいです。「変わらず理想を追えよ」というメッセージではないでしょうか。

高知シネプラザ 2005/10/17


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