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■かるかん>ブラザーズ・グリム|春の雪|ALWAYS 三丁目の夕日
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ブラザーズ・グリム
詐欺師兄弟、魔物に誘惑される
THE BROTHERS GRIMM
監督:テリー・ギリアム(2005年/アメリカ/117分)
ウィル:マット・デイモン|ジェイコブ:ヒース・レジャー|モニカ・ベルッチ|ジョナサン・プライス

現実主義の兄と夢見る弟の兄弟げんかがおもしろかったです。きょうだいがケンカをするときは、常に本気だものねえ(笑)。「そうそう、あんな感じ」と思いながら見ておりました。
兄の心、弟知らずというのもグッド。詐欺師で女好きで逃げるが勝ちの卑怯者(?)の兄が、弟のお守りにうんざりしながらも弟思いをやめられない。きょうだいって、そんなものですよねえ。
現実主義の兄が超現実世界の虜になって、夢見る弟が超現実世界を壊さなければならないという、ファンタジー大好き人間のギリアム監督らしいお話もグッド。
ただし、ギリアム監督の映画としてみると、作りがやや荒いです。ギリアム監督のこれまでの作品は、現代の技術を駆使した特殊効果を用いながらも、それを目立たせず、かつ、繊細で美しい映像が見所の一つでした。
ところが、今作は特殊効果が目立ちすぎたため、超現実世界がいかにも作り物めいてしまいました。この映画は、グリム兄弟が、現実に超現実の世界に入り込んでしまうお話なので、超現実の世界にリアリティがなければ失敗なのです。
ともあれ、そこそこ楽しめたので、ギリアムファンとしては、よしとしています。

TOHOシネマズ高知2 2005/11/3


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春の雪
三島の美は死(であるべき)
監督:行定勲|原作:三島由紀夫(2005年/日本/2時間30分)
松枝清顕:妻夫木聡|綾倉聡子:竹内結子|本多:高岡蒼佑|清顕の祖母:岸田今日子|蓼科:大楠道代|門跡:若尾文子

うん、ゆっくり、たっぷり浸って見ることができました。それは、映像と妻夫木聡、竹内結子が美しく、それなりの見応えがあったせいだと思います。
庶民的イメージが定着しているせいで、令嬢役が懸念されていた竹内結子は、妻夫木聡とともに健闘しており、見る前からミスキャストだなんて言って申し訳ありませんでした。
二人とも微かな表情や声の調子を上手く作っていました。けれども、残念ながら表面的に感じられました。岸田、大楠、若尾の堂々たる人物の造詣ぶりを見ると、若い二人はまだまだと感じられないではありませんが、そう言うには少しかわいそうです。
と言うのは、この映画自体が表面的な感じがするからです。「美」を表面でしかとらえていないと思います。「美」を撮るという趣旨は正解だと思いますが、もっと死の匂いをさせなくちゃ。
原作は甘美な死の匂いでいっぱいです。清顕は登場したときから、「あ、彼は死ぬな」と思わせてほしいし、本多は登場したときから清顕の死を心配していてほしいです。美への殉死。死の演出。(ナルシスチックな死。←ここまで言っては、あからさまですか(汗)。)全編がそういうものでなくちゃ。う〜ん、ないものねだりでしょうか。原作に対する監督との解釈の違いをうんぬんしても始まりませんね。
原作を読んで楽しみにしていたのになかった場面。清顕と聡子が逢引をして、ことの終わったあと、聡子が清顕の目の前で蓼科に着付けをしてもらう場面。聡子は、お嬢様だから一人で着付けなんかしないのです。しかも、清顕の目の前で当たり前のように着付けをしてもらっている。清顕は、第三者である蓼科の闖入に気まずい。庶民ではとうてい考えられない場面なので、これを映画で見たかった(笑)。
タイから留学してきた王子とそのいとこは、イメージどおりで、清々しくてとてもよかったです。

TOHOシネマズ高知6 2005/11/3


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ALWAYS 三丁目の夕日
昭和の夕日よ、いつまでも
監督:山崎貴|原作:西岸良平(2005年/日本/133分)
鈴木則文:堤真一|トモコ:薬師丸ひろ子|一平:小清水一輝|六子:堀北真希|茶川:吉岡秀隆|淳之介:須賀健太|ヒロミ:小雪

素晴らしい!感動しました〜。前半笑いっぱなし、後半泣きっぱなしでした。
見るのも聞くのも嫌なニュース漬けの日々を送っていると、たまにはこういう人情物に泣き、笑いして、人間、こうありたいものだと原点回帰させられるのは、誠にありがたいものです。
また、昭和の風景や日用品を、ここまでよくぞ再現してくれましたと、美術さん、小道具さんに拍手。しかも、懐かしいだけに終わらせない脚本、お見事。その他の裏方さんにも拍手×拍手。
役者もそろっております。特に子どもが上手すぎないところが上手い!
監督は『ジュブナイル』『リターナー』の山崎貴。もう、今度こそ名前、覚えます!特殊技術効果で、この人の右に出る者はいないのではないでしょうか。そして、好きにならずにいられないような人物(監督から愛されて世に出たと思える人物)を撮るのですね〜。早くも次作が楽しみです。

TOHOシネマズ高知9 2005/11/6


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