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ミュンヘン
やめるが勝ち。やったら負けよのテロ活動
MUNICH
監督:スティーブン・スピルバーグ(2005年/アメリカ/2時間44分)
アヴナー:エリック・バナ|スティーヴ:ダニエル・クレイグ|カール:キアラン・ハインズ|ロバート:マチュー・カソヴィッツ|ハンス:ハンス・ジシュラー|エフライム:ジェフリー・ラッシュ|ダフナ:アイェレット・ゾラー|アヴナーの母:ギラ・アルマゴール|パパ:ミシェル・ロンズデール|ルイ:マチュー・アマルリック

サスペンスフルで、3時間近くがあっという間でした。
テーマ(ストーリー)については、あんまり言うことはないな〜(^_^;。
弾痕から吹き出る血潮が、飛行機の窓から見える雲にオーバーラップするところとか、血しぶきのきめ細かさとか、感心しました。

また、アヴナーが、ミュンヘンの事件を幾晩も夢で見るのですが、始めはパレスチナのテロリスト憎しという夢だったのが、アヴナーが暗殺を重ねるにつれて、夢の中で彼自身がパレスチナのテロリストとなっていくという描き方は、これぞ映画という表現でした。作品のテーマを戦慄の悪夢として、しかも無言で表現しており、お見事でした。

他の無言シーンで印象に残っているのは、アヴナーが復員(?)してからの妻とのセックス場面です。出兵(?)する前の睦まじいセックス場面との対比が効いていて痛々しかったです。先日見た『ジャーヘッド』が、頭をよぎったりしました。元のアヴナーには、もどれないのね(涙)。もとにもどれない夫と連れ添うことを思うと、妻の一言には複雑な心境になりました(涙)。一番心を動かされたところかもしれません。

一番感心したのは、華のない、よい面構えの俳優を揃えたところ。脇役に至るまで役の顔になりきれる、いい役者ばかりです。
それなのに、パンフレットで写真付きで紹介されているのは、アヴナーとその仲間とエフライムの6人だけ。ひどいパンフレットですな。
スティーヴ役の俳優は、どこかで見たと思ったらダニエル・クレイグ!『Jの悲劇』の線の細い学者とは全く違います。『ミュンヘン』ではマッチョに感じられたわ〜。『Jの悲劇』での色っぽさは何処に〜?
ロバート役は、マチュー・カソヴィッツだったなんて!

登場人物で最も興味深いのは、アヴナーへの情報提供者の親玉"パパ"でした。家族を養うために好きでもない仕事をこなさなければならないやるせなさをわかっている擬似庶民です。(「擬似」と書いたのは、本当の庶民はあんな仕事はしないから。)「どこの国の政府も信用できない」というパパの言葉は真理。アヴナーは、そのことを身を持って知ることになります。

個人的に最も好きなキャラクターは、パパの息子ルイ。いかにも胡散臭そうな風貌です(拍手)。パパの言うことはちゃんと聴いて、買出しのお遣いもするし、パパに気に入られたアヴナーにちょっぴり嫉妬。キリスト教徒の集った食卓で、アヴナーがユダヤ人であると知りながら、「彼に祈ってもらおう」と意地悪を言ったりして、いかにも小者なところが可愛いわ〜(笑)。
パパとルイの様子や、ファミリーのシーンを思い出すと、スピルバーグの『ゴッドファーザーIV』なんてイケるんじゃないの?(笑)

TOHOシネマズ高知3 2006/2/25
 
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