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SPIRIT
アジア万歳、田植えはいいね
SPIRIT(FEARLESS 霍元甲)
監督:ロニー・ユー(2006年/香港、アメリカ/103分)
フォ・ユァンジア(霍元甲):ジェット・リー|田中安野:中村獅童|ユエ・ツー:スン・リー|ミスター三田:原田眞人

感動しましたー!
始まってすぐの太鼓の音にワクワク。そして、いきなりジェット・リー扮するユァンジアが、列強の格闘家と対戦!いいですねー、いいですねー。だって、ジェット・リーのアクションを見に来たんだもん。四の五の言わずの即アクションに、気分は高揚でございます。しかも、決めのポーズが美しい!これでつかみはオッケーと思っていると、あっという間に30年をさかのぼる手際のよさ。
話も話の運びも正統派で、先の先まで読めたとしても、描いている内容(まさにSPIRIT)がよろしいですし、それに、まさかリー・リンチェイから日本人へのラブコールがあるとは思いもよらず、不意を突かれて思わず落涙いたしました。

●ネタバレ感想

武道を志す者は「己に勝つ」ことが大事と言われますが、これがわかりやすく描かれています。
ある程度強くなると、自分がどれくらい強いか試したくなるし、強さをひけらかしたくもなり、ユァンジアも慢心、増長、甚だしくなっていました。心技体とはよく言ったものです。クンフーを始めたことによって喘息だったユァンジアは身体が丈夫になり、技も並ぶ者がいないほど一流になりましたが、心が出来てなかったのですね〜。

心が出来てなかったことによるしっぺ返しは、痛かった(涙)。挫折というには、あまりに酷な痛手を負い、クンフーから遠ざかることになります。この遠ざかった間に精神修養をすることになるわけですが、田植えから学ぶというのがアジアらしくていいですね〜。速く植えればいいってものではなく、稲と稲との間隔を取らなければ育ちが悪くなるとか。また、田植えの合間に腰を伸ばして風を感じる姿には、お天道様のおかげで生きている人間の喜びとか謙虚さを体感したのではないでしょうか。

手加減というのは、相手より強い場合のみできることですね。最後の試合でユァンジアは、田中に対して手加減はしたけれど、全力で戦ったと思います。かつては技と体だけで全力で戦い人を死に至らしめましたが、田中とは心技体の全力で戦いました。中国人としての誇りが掛かった試合でしたが、己に勝ち、人命第一に戦えたのは、正に精神修養の賜物でした。(「己に勝てば、報復をせずにすませられる」ということもリンチェイの言いたいことだったみたい。)

それにしても日本の武道家田中は、ユァンジアの手加減を感じ取り、それが単なる手加減ではなく、心技体の心が備わってのものであることを見抜いたのは偉かったです。ユァンジアと同じくらい心が磨かれていたということでしょう。このように、精神性の大切さを理解できる同志として日本人が描かれているのが、私は嬉しかったです。
ユァンジアに毒を盛った三田は、利益のみを優先する悪しき日本人の姿。日本人には武道家田中のような日本人であってほしいと、リー・リンチェイは思っているに違いないです。と言って言いすぎなら、私自身がそう思っただけと言い直してもいいけどぉ〜(笑)。

おしまいに。
ユァンジアのSPIRITが空を駆けて、約束した少女のもとへ帰るラストシーンが気に入っています。やっぱりSPIRITは、空高く駆け抜けるイメージなんです。

TOHOシネマズ高知1 2006/3/21
 
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