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その土曜日、7時58分
すすんで距離を取りましょう
監督:シドニー・ルメット/アメリカ、イギリス/2007年/117分

兄アンディ(フィリップ・シーモア・ホフマン)と弟ハンク(イーサン・ホーク)は、それぞれがお金の必要に迫られる。兄は弟をそそのかし両親が経営する宝石店に強盗に入らせる。狂言強盗のつもりが、手違いで母親を殺してしまい・・・・というお話。
お金が元で根性が曲がった金畜生(こんちくちょう)の話かと思ったらさにあらず。『エデンの東』変奏曲とでも言いたくなる作品で、父親(アルバート・フィニー)に弟ほどには愛してもらえず、劣等感でいっぱいのアンディの姿が浮き彫りになってくるのであった。

母親の存在でかろうじて絆が保たれていた家族が崩壊する話のようにも思えたが、アンディの人物像が強烈なので彼についての話という気がする。(何せハンクは兄嫁と関係してたりするのだが、そんなことは吹き飛ぶくらいアンディが印象的だ(^_^;)

親の愛を実感できないのは辛いことだ。容姿についての劣等感も大きく、見た目が良くて愛される弟への嫉妬もつのる。学歴もあり良い職に就いているが、身分や社会的地位を築くことで劣等感から逃れようとしたのかもしれない。誰にも弱みを見せないことで自分を保っているから、妻(マリサ・トメイ)に愚痴をこぼすこともないだろうし、妻が去って行っても追いかけない。愛する妻にさえ心を許すことが出来ないとは(涙)。そこまでカッコつけることないのに。もし、頼りにされたら妻は嬉しかったと思う。

劣等感は優越感より始末が悪い。ドラッグを打ってベッドに横たわる男性(体型がアンディに似ている)を思わず撃ち殺してしまうのが象徴的だ。無意識のうちに自分を抹殺したいと思っていたのではないだろうか。
結末は更に悲劇だ。おそらく、父はアンディを理解できないままだったと思う。弁明の機会さえ与えなかった。
親子にも相性というものがあるから、アンディはこういう親とは(弟とも)物理的に距離を置いた方がよかったと思う。父を見限るべきだった。母がかすがいとなっていたから離れられなかったんだろうけど。彼は妻と旅行した思い出の地、リオに移住しようなどと冗談めかしていたが、本気で移住すればよかったのだ。

シネマ・サンライズ 高知県立美術館ホール 2009/8/27
 
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