なんとも心をくすぐられる映画でありました。けっこう好きです。
登場人物の関係や、一人一人の心模様が微妙なんですね〜。淡いというか、中間色というか、宙ぶらりんというか。変な映画でした。
トリップ教授(マイケル・ダグラス)は、小説の2作目が仕上がらず愛人は妊娠、クラブツリー(ロバート・ダウニー・ジュニア)は、編集者失格の烙印を押されグビ寸前、ジェームズ・リア(トビー・マグワイア)は、級友に最悪の小説と評され真っ暗、と三者三様の「どつぼ」にはまっているのですが、はた目には平静に見えます。悩みなどまるで他人事のよう。だけど、その「どつぼ」ぶりは、ちらりほらりと表現されていて、最もわかりにくいジェームズでさえ、自分の才能に自信が持てず、ずーっと不安だったことがわかります。
三者三様の「どつぼ」が「何とはなしに」解決してしまうところが、ふにゃふにゃとつかみ所がなく、白黒つけたい性格の人には「何じゃこりゃ」な作品だとは思いますが、現実の世界でも「何とはなしに」納まる場合もあるわけで、そういう曖昧さを初めて表現した作品だ!と思うと、何かすごくないですか?(笑)←ないない(^_^;。
それにしても、俳優は適材適所でした。風に舞う○○をつかまえようとするクラブツリーの動きは、ダウニー・ジュニアならではの可笑しさ。トリップ教授は、惰性で小説を書いているとジェームズに図星を刺されてショックんなんだけど、そのショックを最小限に表現したM・ダグラスのうまさ。(そういう最小限の感情表現が、この作品の魅力でもあります。)それと、T・マグワイアの不気味さは多分誰もが感心するところだろうけど、私はあのむっちりとした生白い身体が妙に生々しく、しまりのないのが魅力のこの映画にまったくもってふさわしいと思いました。
ところで、今日、雑誌「CREA(クレア)」を購入しました。クレアは年1回か2回くらい映画の特集をするのですが、これ、永久保存版ですよぉ。
今号はゴシップ集的かな。もちろん、ゴシップだじゃないけど。
女性を対象にした雑誌ですが、男性にも一度手に取ってご覧になる価値はあると思います。