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きまぐれ日記11月26日
高知シネマフェスティバル2000
『肉弾』

いや〜、すばらしい(拍手)。実行委員の皆さま、スタッフの皆さま、お疲れ様でした。ありがとうございました。
わたくし、25日は映画より優先すべきこと(友達)がありまして、本当に残念ながらパスしましたが、今日は井筒監督のトークも含めて全部見せていただきました。5本ともおもしろく(いや、『ガキ帝国』は私はあんまり面白いとは思わなかったのですが)、見れば見るほど頭が冴えてきました。
中でも『肉弾』はダントツでよかった!「愛する者を守るため戦うんだ」とか、「愛する者の仇を取るんだ」という気持ちを汲み取りながらも、戦争によって命と自由が奪われることを、悲憤を持って描いて痛烈でした。とても30年前の映画とは思えない新しさです。
また、この映画が作られたのは戦後二十数年の頃ですが、その頃既に戦争のことが忘れ去られようとしていて、岡本喜八監督はそのことに危機感を持っていたと思われます。なぜなら、戦争の犠牲となった人々の名前を叫び続ける主人公の声が、昭和43年に海辺で遊ぶ人々に全く届かないというのがラストシーンだからです。
それにしても、この映画を観てM首相を思い出さない人はいないでしょう。噂したので今ごろ風邪を引いているかも(笑)。『肉弾』で連呼されていた「神の国」という言葉は、抑圧と不合理の代名詞で、戦争に利用された言葉として使われています。それはまさしく戦争中に、そういう使われ方をしていたのでしょう。「日本は天皇を中心とした神の国」と発言したM首相の良識をあらためて疑う次第であります。

あと、井筒監督のトークを聴いて思ったんですが、悪い意味じゃないですよ、悪い意味じゃなくて井筒監督っていーかげんな御仁ですね。話にだいぶ、脚色ありとみました(笑)。映画監督にはもってこいの資質です。この人は決して窮屈な映画は撮らないでしょう。また、撮りたいものが浮かんでくるまで撮らないという姿勢には感心しました。

というわけで「青春を憎め!」と題された今年のシネフェスも無事終了。抜群の好企画なので、もっとたくさんのお客さんに来てほしかったけれど、『ガキ帝国』と監督のトークには観客も増えてよかったですね。
監督さんや俳優さんからのメッセージは、シネフェス2000のホームページで読めるのかな?会場に閲覧用の冊子がありましたが、集中して読めなかったのです。ぜひ、読みたいのでホームページの方へ行ってみよう。
とにかく、ATG映画はおもしろい!ポスターを見てもその面白さの一端を感じることができまする。日本映画が面白くないと言われるのは、おもしろい日本映画が作られはしても上映されないからです。今回の企画上映は、そういう現状を再認識させてくれました。たいへん意義深い上映会だったと思います。


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