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■くりからもんもん>とっておきの青春(5)『トレインスポッティング』
 

トレインスポッティング
TRAINSPOTTING

(監督:ダニー・ボイル/イギリス/1996/93分)

登場人物は、左から・・・・

  • ベグビー(ロバート・カーライル):アルコール中毒。暴力的。サイコパス。
  • ダイアン(ケリー・マクドナルド):中学生。セックス、ドラッグ、いずれもOK。
  • シック・ボーイ(ジョニー・リー・ミラー):007中毒。女たらし。
  • スパッド(ユエン・ブレムナー):ヘロイン中毒。気がやさしい。レントンと仲良し。
  • マーク・レントン(ユアン・マクレガー):ヘロイン中毒を克服。人生の分岐点で思案中。

ポスター『トレインスポッティング』
スコットランドの片田舎で自慢できるものといえば、ご当地出身俳優のショーン・コネリーの007。仕事もなくドラッグびたりの日々。主人公レントンは「選ぶんだ!人生を。ドラッグを断って。」と言いながら、なかなかドラッグはやめられません。
それでも「選ぶんだ!」と考え続けるレントンですが、UKの労働者階級の青年が果たして、どれほどの人生を選びとれるでしょう。選ぶだけの幅広い選択肢があるのでしょうか。現実の若者を生き生きと描いただけで、そういう問題が背後に立ちのぼってきます。

若者に仕事がないという問題はUKに限ったことではありませんが、時と場所が移って社会的な問題が解消されたとしても、人生の岐路に立つ若者はレントンと同じように悩むような気がします。
レントンは、どんな人生を選べばいいのか自分でもわかっていません。ただ、今とは別の人生を選ぶべきだと感じています。そして、試行錯誤の末に彼は選びとります。
でも、何かを選ぶということは、それ以外のものを切り捨てるということなんですね。こんな当たり前のことを私は『トレインスポッティング』を観るまで気づきませんでした。

レントンが切り捨てたもの、それはドラッグ、故郷、友だちです。ドラッグは切り捨ててよかった、故郷にはそれほど未練はない、でも、友だちスパッドとの別れは胸が痛いです。単に仲が良かったからというだけじゃなく、残していくスパッドの状況が絶望的に思えるからです。
それに、レントンの方も一つの選択をしたからといって順風満帆とは行きません。ラストシーンでは主人公の不透明な未来を強く印象づけられます。

この映画は、田舎のどうしようもない閉塞感と、無傷ではいられない青春の一コマを描いた作品ですが、その描き方たるやポップというかサイケというか汚物というか(笑)。内容は鬱積したものがありますが、表現方法は発散型で、笑いを取りながら疾走するようなテンポで進んでいきます。その笑いには毒があって汚物も出てくるので、万人受けする映画ではないようですが、私には複雑なテイストの青春映画として深く胸に残っています。


●サントラ必聴
サントラ『トレインスポッティング』#1
  1. ラスト・フォー・ライフ(イギー・ポップ)
  2. ディープ・ブルー・デイ(ブライアン・イーノ)
  3. トレインスポッティング(プライマル・スクリーム)
  4. 銀河のアトミック(スリーパー)
  5. テンプテーション(ニュー・オーダー)
  6. ナイトクラビング(イギー・ポップ)
  7. シング(ブラー)
  8. パーフェクト・デイ(ルー・リード)
  9. マイル・エンド(パルプ)
  10. フォー・ホワット・ユー・ドリーム・オブ(ベドロック)
  11. 2:1(エラスティカ)
  12. ア・ファイナル・ヒット(レフトフィールド)
  13. ボーン・スリッピー(アンダーワールド)
  14. クローゼット・ロマンティック(デーモン・アルバーン)
サントラ『トレインスポッティング』#2
  1. チューズ・ライフ(PFプロジェクト)
  2. ザ・パッセンジャー(イギー・ポップ)
  3. ダーク・アンド・ロング(アンダーワールド)
  4. 「カルメン」よりハバネラ
  5. スタチュースク(スリーパー)
  6. ゴールデン・イヤーズ(デヴィッド・ボウイ)
  7. シンク・アバウト・ザ・ウェイ(アイスMC)
  8. ア・ファイナル・ヒット(レフトフィールド)
  9. テンプテーション(ヘヴン17)
  10. ナイトクラビング(イギー・ポップ)
  11. アワ・リップス・アー・シールド(ファン・ボーイ・スリー)
  12. カム・トゥゲザー(プライマル・スクリーム)
  13. アトモスフィア(ジョイ・ディヴィジョン)
  14. インナー・シティ・ライフ(ゴールディ)
  15. ボーン・スリッピー:NUXX(アンダーワールド)
  16. クローゼット・ロマンティック(デーモン・アルバーン)

ソフィーの選択
SOPHIE'S CHOICE

(監督:アラン・J・パクラ/アメリカ/1982/151分)

実は『トレインスポッティング』以前に「選択=切捨て」の痛い映画を観ていたのでした。でも、悲劇として観ていたので、その選択にいくら胸を痛めても所詮は自分の身に降りかからない他人事だったのです。

作家志望の青年スティンゴ(ピーター・マクニコル)は、ユダヤ人生物学者ネイサン(ケヴィン・クライン)と影のある女性ソフィー(メリル・ストリープ)のカップルと仲よくなります。ともに過ごすうち、スティンゴは二人についての色んなことがわかってきます。ネイサンは実は統合失調症らしいということも。それを知って彼はソフィーに求婚します。ソフィーはそんな彼にアウシュビッツから逃れたときのことを話します。二人の子どもを抱えて逃げようとしたが、「子どものうち一人を手放せ、さもなくば二人とも焼却炉行きだ」と言われ、小さい方の子を手放したと。スティンゴとソフィーは、その晩結ばれますが、求婚されたソフィーが選択したのは・・・・・。

アウシュビッツでの選択は本当に胸が痛みます。でも、選択肢はそれより他にあったでしょうか。ソフィーは生涯その選択を乗り越えることが出来ず、その後の人生でよりよい選択肢があっても悲劇的な方を選んでしまうのです。

 
 
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