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戦場のピアニスト
戦場での自己紹介。
The Pianist
監督:ロマン・ポランスキー
ウワディスワフ・シュピルマン:エイドリアン・ブロディ

私にとっては、あまり心を動かされるような映画ではありませんでした。なにせ、ピアニスト役のエイドリアン・ブロディの怒ったときの眉はどんなになるのかなあとか、ピアニストは体力いるけど腹ペコでよくピアノを弾けたなあとか、それよりも、よくピアノを調律してあったなあなどと考えていたくらいですから。
でも、2時間半を退屈することなく見れたし、文句のつけどころもあまりなく、りっぱな作品だと思います。(ただし、カンヌ映画祭の最高賞であるパルムドールを獲得したのは、審査員が未だかつてない真面目なポランスキー作品に意表を突かれたせいだと思います(笑)。)

この映画の一番おもしろい見方は、もし、自分が家族を皆殺しにされ、身包みはがれて飢え死に寸前のときに「お前は何者だ?」と訊ねられたとき、何と言って答えるかを想像することかもしれません。
「わかりません」というのも一つの答えだとは思いますが、私は満腹の状態の今現在、訊ねられても答えに窮してしまいます。

●ネタバレ気味
うえの問に対して主人公は、「ピアニストです」と答えるわけですが、彼が生き延びれたのはピアニストだからという訳ではなくて、本当に運がよかったからだと思います。彼はどの時点で死んでいてもおかしくありませんでした。

彼が、地下活動をしている同胞に手伝わせてくれと言ったとき、「ピアニストだから」と言って断られるけど、本当はピアニストだからというわけではないと思います。彼がぼんぼん育ちで地下活動の足手まといになりこそすれ、味方を危険におとしめることになるかもしれないと、その地下活動をしている人はわかっていたんじゃないでしょうか。だってねえ、主人公は終盤、ナチスの将校からもらったオーバーコート(軍服)を来たまま見方のところへ飛び出して行くんですけど、そんなことしたら撃たれるに決まっているではありませんか。気持ちはわかるし、私もやってしまいそうなことですが、地下活動は、万事そつなく、危険に臨んでは機転を利かせて切り抜けることが必要でしょうから、この主人公には不向きなんです。

ドイツの将校が主人公を救った理由も、主人公がピアニストだったからというよりも、将校は戦況を把握していて無益な殺生をする気にならなかったという感じがします。もし、彼のピアノが気に入ったのだったら、もっと弾かせるだろうし、「必ずラジオを聴く」と言ったのも戦争が早く終わることを望んでいる意味合いが強いのではないでしょうか。
それとも、あの将校もピアニスト(というより愛好家?)だったのでしょうか?ショパンばかりの中にポッカリ、ベートーベンの月光が鳴っていましたが、もしかして将校が弾いていたの?(うっそー(^_^;。)ピアノを見つけて夜な夜な、部下に運転させてあの廃墟に来ていたのでしょうか?(まさか。)それで、愛好家のよしみで見逃したの?だとしたら、ピアニストだから助かったというのは、1%くらいの割合で認めてもいいかな(笑)。う〜ん、それにしても謎です。>あの将校が夜中に廃墟にいた理由。

私は『戦場のピアニスト』というタイトルと予告編から、漠然と戦時中もピアノを弾いているのではないかと思っておりました。(ナチスのためにピアノを弾いて戦後に糾弾されるのかもしれないとも思っていました。)でも、ピアノを弾くシーンがほとんどないのを見ていて、「戦場のピアニストはピアノが弾けないのだ!」と当たり前のことに気がづいて、「ピアノが弾けなくてもピアニストなんだ!」と当たり前ではないことにも気がつきました。
通常、他人はその人がピアノを弾けないとピアニストとは認めません。主人公は、自分がピアニストであることを証明するために弾き始めたのでしたが、いつのまにか弾きたいから弾く本来のピアニストの姿になっていました。(←ここが感動のしどころかな?)

勉強になったこと。ユダヤ人が同朋を収容所送りにしていたことや、ドイツ人将校がユダヤ人ピアニストを助けたことは、驚きもしませんでしたが、ユダヤ人が地下活動をしていたことは初めて知り、それがポーランド人より先んじていた(ユダヤ人の活動に鼓舞されてポーランド人の地下活動が始まった)ように描かれていたのは、へぇ〜と思いました。

高知東宝3 2003/3/8


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