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■かるかん>アカルイミライ|ブレッド&ローズ
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アカルイミライ
ハイイロノゲンジツ、フアンナミライ、アカルイミライハドコニアル
監督、脚本:黒沢清
雄二:オダギリジョー|守:浅野忠信|守の父:藤竜也

う〜ん、浅野忠信がちょっとカッコよくて、オダギリジョーがちょっと可愛らしくてよかったんですけど、よくわからない映画でした。

映像は、まさに灰色の現実を映し出したようでした。雄二の見る未来の夢は、彼の不安が見させる夢でしょう。妹とその恋人のように定職に就いて地道に働くことができない、子どもっぽさから一歩抜け出せない、もっと違う生き方があるはずだけどそれがわからない、そのような不安が垣間見させる怖い夢。そんな夢は私も遠い昔に見ましたが、今や妹とその彼の側になっちゃったからな〜。

雄二は、守のことをあんまりわかってないんだけど、不安な夢を払拭してくれる存在に思えたのでしょうね。でも、赤クラゲの猛毒による被害のニュースを見て、守にもらった夢からは覚めたみたい。雄二は、守ほど攻撃的ではなかったのでしょう。守から「行け」(攻撃)のサインをもらっても行かなかったし。何をしてよいやらわからないのが雄二なのだと思います。

守もアカルイミライを夢見てはいなかったと思います。現実の閉塞感から抜け出すために赤クラゲを飼っていたのでしょう。赤クラゲは、ゆらゆらと自由に泳いで、俺に干渉するヤツは刺してやるという気分の象徴かな。そういう気分を知らない守の父親は、川をクラゲでいっぱいにするのが息子の夢だと信じて、クラゲでいっぱいの川を見て本当に嬉しそうでした。これを守が見ていたら、毒気を抜かれたかも(笑)。

結局、この映画の中にはアカルイミライはなかったですよね。職場の上司(団塊の世代)の虚しさ。守の父も仕事しているだけ。背負っているものとか、考えていることとか、あんまりなさそう。最後の高校生たちの未来もからっぽのような気がします。妹やその恋人だって先が見えてる(笑)。
だいたい、明るい未来って夢でこそ描けるのであって現実にはないですよね。夢でさえ明るい未来を描けないのが今の世の中なのでしょうか。

「アカルイミライ」というタイトルに引きずられて、私はうえに書いたようなことを思ったのですが、もう一つ、父と子という観点でもこの映画を見ることができました。
守と父の断絶を雄二と守の父によって埋めるみたいな。



●ネタバレわからないところ
ラストがわからないですね〜。守の父親は、赤クラゲに刺されて無事だったの?雄二はどこへ行ったの?あれは守の幽霊?それとも、雄二が息子とも思える存在になったことを表しているの?ラストシーンを修理した(と思われる)青い扇風機にしたのには、どういう意味があるの?どなたか教えてたもれ。

MovieJunky 県立美術館ホール 2003/06/19


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ブレッド&ローズ
透明人間、現る!
Bread&Roses
監督:ケン・ローチ|脚本:ポール・ラヴァティ
マヤ:ピラール・パディージャ|ローサ:エルピディア・カリージョ|サム:エイドリアン・ブロディ|
ペレス(管理職):ジョージ・ロペス|ルーベン(弁護士志望):アロンソ・チャベス|
カメオ:ティム・ロス、ベニチオ・デル・トロ、ロン・パールマン

感動しました〜〜(涙)。さすが、ケン・ローチ監督、1時間50分の間、1秒の緩みもありません。緩みがないのに窮屈ではなく大らかで、しかも、たいへん力のある作品でした。何も言うことはありませんので、好きなところなどを羅列します。当然ネタバレです(笑)。

●好きなところ
頭の堅いロバと言われた守衛さん、カッコイイー。

マヤが清掃員になり立てのとき、仲間が掃除機の当て方やエレベーターの溝掃除のし方を教えてくれます。単純作業はこのように工夫することで、能率がよくなったり楽しくなったりするものです。楽しそうでよかったです〜。

マヤの直情径行な性質。あんまり痛い目にあったことがないから、感情表現が素直で喜怒哀楽がハッキリしています。喜ぶべきところで喜び、怒るべきところで怒り・・・・という風に大変共感できるキャラクター。

ルーベン。彼の真面目さが好き。大学に入ろうと頑張っているところや、マヤのことが好きで、マヤがサムと踊っているところをしょんぼり見ているのがいいですね〜。首になった女性について「お袋を思い出す」と言うところも。
マヤがルーベンに万年筆を渡すところも好き。入学許可証だけより、ずっとずっといい!アメリカ一の弁護士になってくれ!

マヤが留置所から出てくるのを仲間が待っていて、ローサも離れたところで待っていて、皆がローサを呼ぶところ。ローサに気兼ねしないでいいよという皆の気持ちが嬉しい。

マヤとローサの別れのシーン。かつて、姉を裏切り者となじった妹。裏切り者というなら言え!と辛い胸のうちを爆発させた姉。別れは悲しいけれど、離れていても心の絆はより強くなっていることでしょう。

●笑えたところ
俳優も招かれたパーティーに乱入してデモも成功。その高揚感からマヤがサムに迫る(笑)。

ガソリンスタンドで。閉じ込められている店員に知り合いが「パンツ上げろよ」と言うところ(なははは)。

留置所で3人の男性が偽名を使うところ。多分、中南米では有名人なんだろうな〜と思いつつ、はっきり知らないとろがちょっと悔しいけれど(クス)。

●圧倒されたところ
姉の痛ましい告白。裏切り者には、こんな事情がある、裏切り者こそ最も痛い思いをしている、裏切り者を描くならここまで徹底して描け、ここまで徹底されるともう裏切り者とは呼べない(涙×涙)。
怖いものなしのマヤに比べて、姉のローサはあまりにも辛い思いをしてきたのですね。姉の密告に限らず、いろんな言動の裏には、つらい体験があったのだということを忘れちゃいけませんね。

●反省したところ
マヤがガソリンスタンドからお金を盗んだとき、ルーベンの入学許可証のためだし、現実には許されないけど映画の中だからいいかと思ったんです。ところが、ケン・ローチは許しませんでした。映画の中とはいえ、たとえ罪もないのに解雇された友達のためであろうと、誰かが働いて稼いだお金を盗むのは許されないことなのですね(反省)。う〜ん、さすが、ケン・ローチ。
ただし、密入国の手引きをする業者で、金品を巻き上げたあげく、約束の金額じゃないことを理由にマヤを拉致してセクハラしようとする男から、蛇皮のブーツを盗んで売るのは許されるのであります。う〜ん、さすが、ケン・ローチ(笑)。

シネマ・サンライズ 県民文化ホール(グリーン) 2003/06/21


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