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ホテル・ハイビスカス
いただきマンモス、ハイビスカス。夢の楽園、行きたい納豆。
監督、脚本:中江裕司|脚本:中江素子(2002年 日本 1時間32分)
美恵子:蔵下穂波|父ちゃん:照屋政雄|母ちゃん:余貴美子|平良とみ|登川誠仁

クスクスと思わず笑ってしまう楽しい映画でした。どのエピソードも同じ調子で描いているので、心を揺さぶられるところはありませんが、少女の夏休みの出来事が元気いっぱいに、かつ、大変のんびりと描かれており好感が持てました。

美恵子の母ちゃんや父ちゃんなど、登場人物に味があり魅力的です。また、人間同士や人間と自然(精霊)が、誠に大らかに関わりあっているのが気持ちがいいです。
驚いたことに米軍との関わりも実に大らかに描かれています。子どもたちが、「警告」の看板を無視して鉄条網をくぐり抜け、こともなさげに米軍の演習場に入って行くのです。銃の音とかしてるんですけど(汗)。行ってはいけないと言われても行くのが子どもではありますが。基地に家屋敷を取られた人のことよりも、危険区域や米兵との関わりが牧歌的に描かれていることの方が興味深かったです。
それから美恵子が一人で父ちゃんを尋ねて遠出をするのですが、外泊しているにもかかわらず、家族の者は心配な様子もなく、美恵子自身も一人旅にあまり不安げな様子がないのが、これまた摩訶不思議な感じ。子どもが一人で旅しても心配いらない環境っていいなあ。

亡くなった人やご先祖様を迎えて偲ぶというお盆の心については、沖縄だけじゃなくて大和にもありますよね。でも、沖縄のお盆を濃く感じるのは、なぜでしょう。地上戦で何十万もの人が亡くなったせいでしょうか。おばあのように儀式をちゃんと伝承して行く人がいるせいでしょうか。儀式を伝承して行くんじゃなくて心を伝えて行くのかな?

この映画を見ていると、沖縄はやはり楽園だと思いました。昔は地上戦があって今は基地があって、楽じゃないよとも思うけれど、ホテル・ハイビスカスに住むような人が数多くいる限り楽園なのではないでしょうか。ということは、楽園に住みたいと思ったら、ハイビスカシスト又はハイビスカシアンになれば、そこがもう楽園、なのですね。にゃははは。(V ブイサイン)

あたご劇場 2003/10/18


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