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ミリオンダラー・ベイビー
MILLION DOLLAR BABY
監督:クリント・イーストウッド|原作:F・X・トゥール|脚本:ポール・ハギス|音楽:クリント・イースドウッド(2004年/アメリカ/133分)
フランキー・ダン:クリント・イーストウッド|マギー・フィツジェラルド:ヒラリー・スワンク|スクラップ:モーガン・フリーマン

感動しました〜(ToT)。
脚本と演出、すばらしいですね〜。
初めから終わりまで、あの物悲しいと言うか寂しいと言うか、郷愁を帯びた音楽がぴったりの雰囲気の作品で、スクラップ(モーガン・フリーマン)のモノローグが、これまた酸いも甘いもかみ分けたうえに適度にくたびれていて、それでもって控えめで優しいぬくもりのある声と調子で、その雰囲気を維持し続けておりまして、雰囲気だけで涙腺を刺激されましたが、そのうえさらに物語にも胸を打たれました。
名作は様々なことを感じさせてくれますが、『ミリオンダラー・ベイビー』もボクシング、敗者、夢、人生、親子、生死、神などいろいろ感じさせてくれました。
もちろん、技術的な面で、脚本、音楽、演出、撮影、俳優といった点でも感心しきりです。最も感心したのは、この映画が娯楽の範疇に収まっているということです。

●ネタバレ感想

この映画は、人と人は、血のつながりがなくても血を分けた肉親たりえることを見せてくれた作品であり、血液評論家として高い点数を進呈したいと思いました。
ボクシング映画ですから血はいっぱい出てきますが、肝心なのは見えない血です。「モ・クシュラ」を「私の血」と訳したのは、うまかったですね。「私の娘」という意味であろうと予想していたのですが、「私の血」と訳したことによって、二人の絆がより強く感じられました。また、この訳によって、フランキーとマギーの絆と、それぞれの家族(血縁)との関係の対比が一層生きてくるような気がします。

胸を抉るような結末ですが、尊厳死についての作品ではないし、全編郷愁を感じさせるような演出が(フランキーとスクラップの過去やマギーの必死さなど物語としても)胸を締め付けるほどに切なく、正統派娯楽作として完璧だと思います。
特にスクラップのモノローグが、実はフランキーの娘あての手紙だったとわかるラストにはヤラレました。スクラップがどれだけフランキーのことを思っていたか、わかる以上に心に沁みます。
ラストシーンは、マギーとレモンパイを食べたあの道端の店の窓に、フランキーの影らしきものが映ります。フランキーの影であってほしい。スクラップといっしょにそう願わずにはいられないラストシーンでありました。

●好きなシーン

マギーの最後の対戦相手、ドイツの青い熊の挑みかかる表情。凄みがありました〜。彼女がマギーをぶちのめした後、マギーが意識を失う様子を心配そうに見ている表情がよかったです。あの一瞬の表情に、事の成り行きは彼女の本意ではなかったことが見て取れてほっとしました。

●まったくの余談

車の助手席に座ったマギーが、微笑みを交し合う犬を連れた女の子。イーストウッドの一番下の娘なのだとか。
その娘さんが大きくなって、父親が亡くなってからこの映画を見たとき、父の愛情を感じるだろうな〜。
そう思うと『グッドモーニング・バビロン!』のラストシーンを思い出して、「いや〜、映画って本っ当にいいものですね」と久々に一人ごちたのでした。

高知松竹ピカデリー2 2005/6/8


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電車男
ネットの影響の理想形
監督:村上正則(2005年/日本/1時間41分)
電車男:山田孝之|エルメス:中谷美紀

いやー、感動しましたー。
電車男にとっては高嶺の花(実は菩薩)とも思えるような女性に、いっぱいいっぱいのアプローチをするところが、実に真摯で正統派、かつ、嫌味なくコミカルでした。
電車男を支援する「名無しさん」が、いいんですよね〜。電車男に触発されて、それぞれの「名無しさん」が前向きな姿勢になるラストがさわやか〜。(ネットがこういう形で映画に登場するのは、世界初ではないでしょうか?)
また、パソコン画面から高架を走る電車がある風景に変化するタイトルバックや、アスキーアート、秋葉原のネオンに溶ける山場のシーンなど、様々なシーンが美しく丁寧に作られていて、映画的なのが嬉しかったです。
恋愛あきらめ症候群に陥っている人やお疲れ気味の全国の老若男女を、ポジティブな気持ちにさせて映画館から送り出してくれる作品だと思います。

TOHOシネマズ高知7 2005/6/11


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