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ヴェニスの商人
虐げられたユダヤ人

監督:マイケル・ラドフォード(2004年/アメリカ、イタリア、ルクセンブルグ、イギリス/130分)
シャイロック:アル・パチーノ|アントーニオ:ジェレミー・アイアンズ|パッサーニオ:ジョセフ・ファインズ|ポーシャ:リン・コリンズ|ジェシカ:ズレイカ・ロビンソン

あの有名な「ヴェニスの商人」が、こんな話だったとは。結末の「血を流さずに肉を切ること」というオチだけを知って、全部知った気になっていたとは、ワタクシもめでたいなあ。金貸しのシャイロックが、ユダヤ人だということさえ知りませんでした。
ユダヤ人は虐げられていて、シャイロックは積年の恨みを晴らすため「借金の型に契約どおり肉をもらう」と主張するに至ったということが、状況としても気持ちとしてもよくわかりました。もう、シャイロックが可哀想でたまらなかったです。裁決も「血を流さずに肉を・・・」と言うだけでなく、キリスト教に改宗させられるので、私は可哀想を通りこしてキリスト教徒の非道にむかっ腹が立ちました。
シェイクスピアの時代は、ユダヤ人を金貸しの業突く張りとして描き、おしまいにコテンパンするような劇を上演して受けていたのでしょうか。現代では、そんな劇にするわけにはいかず、映画もユダヤ人寄りの演出となっています。シャイロックには全く救いがないのですが、観客のために後味を少しでもよくしようと、作り手が苦肉のショット(キリスト教徒と駆落ちをしたシャイロックの娘が、父親を思っている)をラストシーンにしています。

それと、ビックリしたのは、アントーニオとパッサーニオの友達以上、恋人未満な関係。パッサーニオがアントーニオに無心するのは寝室だし〜〜〜。アントーニオは、愛するパッサーニオの目の前で、自分の身体が抉られるなら本望とばかり、もろ肌脱ぐのです。(ジェレミー・アイアンズだから、何とも言えん色気が〜〜〜。)
シャイロックのアル・パチーノもアントーニオのジェレミー・アイアンズもよかったのですが、パッサーニオのジョセフ・ファインズが今一つ。始めアントーニオの気持ちを知っていて利用していると思ったのですが、裁判の段になると友人として真剣に心を痛めているようだったし、いったいどっちやと。それに宝の箱選びが成功するような知性の持ち主には見えなかったし、他の私好みの俳優で見たかったな〜。

おしまいに。「ヴェニスの商人」でユダヤ人はキリスト教徒とちがって金融に利子をつけると言って蔑まれていました。ということは、昔はキリスト教徒も利子をつけるのは御法度だったわけで、イスラム教徒と同じです。勉強になるな〜。本当かしら。シェイクスピアの戯曲を読んでみなきゃね。

DVD 2006/8/20


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