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■かるかん>ハンニバル・ライジング|クィーン
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ハンニバル・ライジング
ハンニバル・レクターは二度死ぬ

人喰いハンニバルの過去を知る映画でありました。ハンニバルは、いかにして壊れたか。妹ミーシャを殺されたと同時に彼も死んだのでありました。したがって、十代のハンニバル(ギャスパー・ウリエル)は復讐のために生きているようなもの。母とも慕う(?)レディ・ムラサキの「許すのよ」という言葉にも惑わされることはありません。
ハンニバルも人の子。復讐とムラサキの間で迷ってもいいんじゃないかと思いますが、妹への想いはとても強く、復讐することに迷いなし。そんなわけで、葛藤のないドラマはやはり物足りないのです。ムラサキのキャラも中途半端だし。
それにエロが足りないよ〜。『羊たちの沈黙』ではレクター(アンソニー・ホプキンズ)とクラリス(ジョディ・フォスター)の間に、『ハンニバル』でもラストシーン付近のレクターとクラリス(ジュリアン・ムーア)の間に、『レッド・ドラゴン』ではレクターとグレアム刑事(エドワード・ノートン)の間にエロスが漂い、ダラハイド(レイフ・ファインズ)に至っては一人でエロっている(笑)のが大変よかったのです。
ところが、今回はハンニバルが復讐の余禄として殺人のエクスタシーを感じるのですが、あんまりエロくないというか(ちょっとだけエロいと言うべきか?)でして。ハンニバルには、殺人の行為を楽しむのではなく、もっと心理的に濃厚にいたぶって相手の反応を楽しんでいただきたかったと思います。(う〜ん、ムラサキとはある程度まで共犯関係になって、彼女との間にエロスを醸し出せていれば面白かったのに。そうすると、レクターとクラリスあるいはグラハムとの同類的関係とも重なるし。日本趣味に力を入れているのは、私は楽しめたけれど、今にして思えばハンニバルとムラサキの関係を濃くすることに力を入れてほしかったですね。)

それにしてもウリエル君、やっぱり、いいわ〜〜。『かげろう』でその美貌と演技力にノックアウトされてから注目していましたが、『ロング・エンゲージメント』だけじゃ寂しかったよぉ〜。
今回見事な主役っぷりで。この若きハンニバルには、マジでおぞ気立ちました。怖すぎです。(『パシフィック・ハイツ』で愛するマイケル・キートンのサイコパス演技を見て、「わかったわかった。こういう役も嵌るのはわかったから、もう二度とやらないでぇ(涙目)」と思ったのを思い出しました。)
人殺しを楽しむ様子も怖くてよかったですが、妹を何していたと知らされたときの切れ具合、あの突き刺さるような痛ましさ。ハンニバルは二度も死んだのだな〜とちょっともらい泣きしたのでありました。

TOHOシネマズ高知2 2007/4/21
 
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クィーン
制度じゃないよ、人間だよ

スティーブン・フリアーズ監督は、心理劇がうまい!社会的背景は描かれているものの、この監督の本領は心理劇に発揮されるのだと思います。
そんなわけで、この映画も女王としての職務を全うしようとする忍耐強い女性と、革新の機運に乗って首相となったものの何事も無難にやりすごそうとする男性の言外の遣り取りがおもしろかったです。更に言えば、ブレア首相(マイケル・シーン)がエリザベス(ヘレン・ミレン)女王に信服し、エリザベス女王はそれを当然このようにあるべきと受け止めてから、初めてブレア首相を信頼できるに至ったお話として楽しめました。

また、考えさせられたこととしては、制度というのは、どんな人物が権限を持つ立場になったとしても一定の結果を得られるように作られているはずですが、やはり誰が権限を持つかによって微妙に結果が異なってくるのはいたしかたないということです。
立憲君主制のもと、女王の権限はかなり制限されていますが、エリザベス女王がブレア首相に及ぼす影響は立憲君主制を超えるのではあるまいかと、そんなことを思わされた作品でした。(でも、これはフリアーズ監督が言いたかったことではないと思います。フリアーズがそんなことを主張したなら、社会派監督ってことになるよね。ありえないな〜(笑)。)

TOHOシネマズ高知3 2007/4/21
 
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