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■かるかん>サウスバウンド|キングダム 見えざる敵
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サウスバウンド
家内安全は夫婦円満から
監督、脚本:森田芳光|原作:奥田英朗
上原一郎:豊川悦司|上原さくら:天海祐希|洋子:北川景子|二郎:田辺修斗|桃子:松本梨菜|巡査:松山ケンイチ|校長先生:平田満|区役所のおばさん:吉田日出子|お祖母ちゃん:加藤治子

豊川悦司、サイコー(^o^)!悦っちゃんのベストアクトと思います(拍手)。悦っちゃんてば、演技力がないことはないけれど上手い俳優とは言いがたいと常々思っておりました。台詞回しが軽いんです。だから、シリアスな場面でも悦っちゃんのセリフで笑えることがあります。(例:NHKのドラマで宮沢りえと共演した「牡丹灯篭」(タイトルうろ覚え)。筏に二人で乗ったとき言った「立つと揺れますぅ」には妹と爆笑でした;;;。)だけど、その軽さがリアリティを発揮することもあります。『トイレの花子さん』(松岡錠司監督)で小学生の父親役で、強盗だか殺人鬼だかに襲われそうになったとき言った「ちょ、ちょっ(と待て)」は、咄嗟の一言は正にこんな風であろうと感心しました。(ちなみに『トイレの花子さん』は、とてもよい映画です。ちょっぴり怖くて面白くてハートがあります。小学生の兄妹の遣り取りなんか葛藤があっていいですよ〜。お茶屋の感想はこちら『トイレの花子さん』
そんなわけで、豊川悦司はシリアスには向かない、もしかしたらコメディしかできないかもと思っていたところへ、我が意を得たりのコメディで私はかなり笑わせてもらいました。悦っちゃん演じる一郎は元過激派のアナーキストで、ちょっと困った人なんですが、過激なことをやっていた頃から比べると多分、アナーキストぶりもこなれてきて相手と対話する楽しみのようなものが生まれており、傍から見ている分には楽しめました。う〜ん、まあ、観客5、6人で笑っているのは私だけでしたけど(^_^;。

この映画は、二郎(小学六年生)の視点から描かれており、二郎から見た父親は東京では「どこへ出しても恥ずかしい」存在だったのが、沖縄へ来てみたら「かっこいい」存在に大変身。そりゃあ、働く父、正しいと思ったことを貫く父はかっこいいでしょう。
ただし、二郎自身は東京でも正しいと思ったことを貫いていたわけだから、別に父を鑑としなくてもよい子に育っていたわけで、母と同じ過ちを犯したことにも早晩気がついてしっかり生きていけるでしょう。これは両親の存在意義は薄いぞ(笑)。というのは冗談で、やはりさくらと一郎の共通の規範で育てられたから、東京での二郎の行動があったのだし、沖縄では両親の駄目押し、教育の総仕上げにあったと(笑)、そう思うわけです。なにより一方通行ではない夫婦の愛があり、親子の愛がありました。

沖縄での一郎の戦いについて。
アナーキストだから国家権力はもとより、法権力をかざして立ち退きを迫る不動産会社(なんかのコンサルタント?)に立ち向かうというのはあり得る図式だし、二郎が「お父さんは何も悪いことをしていないのに(立ち退けなんて)」というのは一つの見方だと思います。それに「違うと思ったことに立ち向かう」ことが出来ない者にとっては、一郎がまぶしくかっこよく見えます。更に世の中、法律が全てではないというのもわかります。だけど、何だか共感できないので(だって土地の所有権は相手にあるわけだから、私なら悔し涙を飲んで立ち退くもん)、権力者があまり好きでない私でも全面的には一郎の応援はできなかったのです。
一郎の戦いはわかるし、まぶしいと思いながら、一方で共感できないのは妙な感じです。この妙な感じを若干救ってくれたのが、私の友達の四季さんでした。
一郎の戦いは、ウタキという聖域を守る戦いでもあったと聴いて「なるほど」と思ったのでした。要するに私は一郎の戦いは反権力のための戦いとしか受け止めてなかったのですが、ちゃんと彼には守るべきものがあったのだとわかって納得できたのでした。確かに映画の中でも先祖から受け継がれた大切な土地のような説明はありましたが、その大切さの度合いを全くわかってなかったので、一郎の戦いが駄々っ子的に見えていたのでした。

ラストについて。
ラストは苦かったです。逃げるが勝ちと言いますが、私にはそんな爽快感はありませんでした。
上原家は言わば理想郷を求めて東京から沖縄へ来たわけだけど、さくらと一郎は更に南のパイパティローマへと船出することになりました。サウスバウンド(南へ転がる)は、理想郷を求め続けるということの象徴なんでしょうか。
日々、大なり小なり戦いはあるわけで、自分が正しいと思っていたことが間違っていたり、正しくてもどこかでくじけたり妥協したり戦う勇気がなかったり面倒くさかったり。そんなとき、宝くじが当たって南の島で暮らせたらなぁと(しみじみ)。
パイパティローマへの船出は、理想郷を「求め続ける」前向きなラストというより、勝ち目のない戦いから逃れるだけのように思えました。
う〜ん、家族の映画と思って観ていたのに、感想を書くと理想だの戦いだのの比重が重くなってしまいました。変だなぁ(笑)。

余談ですが、この映画で一番好きなセリフは、「お父さん、固いこと言わないでください」。意表を突かれ笑いました。この沖縄の校長先生くらい人間がこなれると自由でいいなぁ。

TOHOシネマズ高知3 2007/10/6
 
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キングダム 見えざる敵
子どもが世界を結ぶ

感動しました〜。渋いです〜。アメリカ娯楽映画の定石とも言える運びで、どういう結末になるかは見ているうちに見当がつきます。だけど、枝葉が見事だし、今日的なテーマだし・・・・・・、無駄に火薬を使っていません!爆弾、銃撃戦、カーチェイスあり。息詰まるような思いをさせられましたので、監督のピーター・バーグの演出力は大したものだと思います。
サウジアラビアの外国人居住区で爆弾テロが勃発。FBI捜査官フルーリー(ジェイミー・フォックス)、サイクス(クリス・クーパー)などが現地入りし、アル・ガージー大佐(アシュラフ・バルフム)、ハイサム軍曹(アリ・スリマン)らと協力して犯人を捜そうとするが・・・・というお話。
女性捜査官メイズ(ジェニファー・ガーナー)を入れることによって、イスラムの女性の扱いが垣間見えるのも面白かったです。

●ネタバレ感想

 

殺されたFBI潜入捜査官、現地に飛んだ捜査官、現地でFBIを迎える憲兵、現役テロリストのそれぞれの家庭、元テロリストが社会奉仕している場所、いろんな場所に子どもがいます。子どもが殺されたり、子どもに殺させたり、もう、たくさんですよね。子どもが可愛いのは世界中どこでも同じ。子は鎹(かすがい)と言いますが、子どもは世界の鎹になり得るんじゃないでしょうか。
テロの首謀者にも子どもがいることを描いてみせた作り手の志に拍手。「爆弾を作るものは爆弾にやられる」やラストのセリフが印象深い脚本はマシュー・マイケル・カーナハン。来年の『大いなる陰謀』(R・レッドフォード監督、メリル・ストリープ、トム・クルーズ出演)の公開が楽しみです。

しかし、どこへ行ってもアメリカ人て自信満々だなぁ(笑)。ジェイミー・フォックスだから偉そうな感じはしないんですけどね。アラブ人アル・ガージー大佐がものすごく謙虚に描かれていて、世界中でアラブ人の好感度アップは間違いにゃい!おまけに憲兵になったのは超人ハルクがきっかけとは、ここまで徹底されるとアメリカの観客もアラブ人に親近感を持ってくれるでしょう!

TOHOシネマズ高知6 2007/10/13
 
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